日課は『壁新聞』作り 交通安全など呼び掛ける 太田達也さん「ボランティアが生きがい」

防災教室の講師として自作の「壁新聞」を並べ、台風や大雨時の注意を呼び掛ける太田さん=長崎市三川町、三川地区ふれあいセンター

 事件事故、災害、気象…。長崎新聞の記事を切り抜く。それを模造紙や色画用紙に貼り付け、交通安全、防犯、防災を呼び掛ける壁新聞風ポスターやすごろく、かるたを作る。長崎市三原2丁目の太田達也さん(83)は20年前から、そんな一風変わった作品を生み出し、防災教室などの教材として活用している。
 「ボランティアが生きがいで、もの作りが趣味」。古里の佐賀県嬉野市で小学5年から中学2年まで朝夕、三差路の台に立ち、手信号で交通整理したのがボランティアの始まり。ボーイスカウト風の制服にあこがれたのが理由だ。
 手先が器用で電機メーカーに勤めていた頃は配電盤の組み立てなどを担当。定年退職後は「壁新聞」のほか、梱包(こんぽう)用のプラスチックひもで作ったペンギンや昆虫などの模型作りを楽しむ“アーティスト”でもある。
 長崎市の交通指導員として、通学路での見守り活動も熱心に取り組み、今年9月、県警本部長感謝状を受けた。浦上地区地域防犯リーダーや生涯学習1級インストラクターなど数多くの肩書を持ち、さまざまなボランティア活動を展開。自宅にはたくさんの表彰状や感謝状が並ぶ。
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 新聞記事を使った「壁新聞」を作ろうと思い立ったのは、交通事故防止への強い思いからだ。
 子どもやお年寄りに注意を促すには、実際に起きた事故を例示した方が説得力が増す。毎朝新聞を熟読し、気になった記事はすべて切り抜く。「仕掛け絵本」の要領で、人や車が飛び出す様子を表現できる「からくり」も。最近は世相を反映し特殊詐欺に関する作品が多い。
 「壁新聞」は、小学校の授業や高齢者教室、親子教室などで教材として使っている。先月開催された三川地区子ども防災教室では、気象関連の記事や写真、天気図などの切り抜きを貼り付けた新聞を用いて、台風や大雨時の避難をテーマに講話。手作りの「防災すごろく」も約30個用意し、参加した親子にプレゼントした。
 色画用紙の消費量が多くて家族にあきれられているが、「いつか自宅にある大小100点ほどの作品を会場に並べ、地元紙を使って『こんなことができますよ』と教えたい」。少年のような笑顔を輝かせた。

太田さんが制作した壁新聞やすごろくなどの作品

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