メタバース主要技術の特許件数は日本が世界2位!投資相次ぐ日米12銘柄を一覧紹介

2021年10月28日、フェイスブックはメタ・プラットフォームズ(以下、メタ)へと社名変更を発表しました。メタバースの構築に力を入れていくそうです。

この社名変更発表以降、メタバースやその関連技術への注目度が急上昇しています。今回はこのメタバース市場について解説します。


関連技術への投資額が急増

メタバースとは「超越」を意味する「メタ」と、ユニバース(世界)の「バース」を結び付けた造語で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実:現実の中に画像などを重ね合わせる技術)などの技術を活用して、人々と交流できる臨場感が高い仮想空間を指します。

メタは2022年の設備投資額を290億ドルから340億ドルを予定しています。2021年の計画である190億ドルから5~8割近く増加する計算となります。IT設備投資関連の企業に追い風となりそうです。

すでに株価が大きく反応した企業もあります。例えば、メタがメタバース開発で欧州内で今後5年間で1万人を採用する方針を明らかにした10月17日以降、人工知能(AI)半導体に強みを持つエヌビディアや、メタのデータセンターに同社の半導体が採用されたと発表したアドバンスト・マイクロ・デバイセズは上昇が目立ちました。

AR/VRによる経済効果は1.5兆ドルへ

メタの一連の動きで急激に名前が知れ渡ったメタバースですが、市場は既に存在しています。例えば、任天堂の「あつまれ どうぶつの森」や、ソニーグループやテンセントが出資する米エピックゲームズの「フォートナイト」といった仮想空間で遊ぶゲームなどです。

コロナ禍で広がった、「フォートナイト」上でのオンラインライブも一例です。アーティストが作り出すライブの世界に自分の分身であるアバターとして参加でき、その没入感がファンを魅了しています。ライブ後にはアバターのコスチューム販売が行われる等、新たな需要も生まれています。

英調査会社PwCによると、AR/VRによる世界の経済効果は、2019年に464億ドルでしたが、2030年には1.5兆ドルに拡大すると予測。2,340万人(2019年比28倍)が仕事でARやVRを使用するようになる模様です。分野別では、ゲームなどの個人消費が大半を占めますが、流通サービス、製造業、公益、インフラ等、多岐に広がります。

主導権を握るのは誰か

メタバース構築に向けた企業の動きを確認します。エヌビディアは仮想空間での共同作業の場「オムニバース」を2020年にローンチ。メタは、バーチャルオフィス環境「ホライゾン・ワークルーム」を2021年7月に提供開始しました。一方で、「ポケモンGO」を開発した米ナイアンティックは2021年11月、AR技術を使ったアプリを開発できるプラットフォームを開放すると発表しています。

現在AR/VR市場で主戦場となっているゲーム業界は、日本の企業がけん引してきました。AR/VRなどの先端技術の総称であるXRの特許件数は、米国に次いで日本が2位となっています。特許件数のみで判断はできませんが、高い技術やゲームに加えアニメなどの優良コンテンツをもった日本企業の活躍も期待されます。

もちろんメタバース普及に懐疑的な意見もありますが、大容量で同時多数接続が可能な高速通信規格5Gの普及により、環境は整いつつあるといえるでしょう。各社が投資を拡大させる中、仮想空間での交流が当たり前となる時代もそう遠くはないと考えます。

<文:投資情報部 金丸 裕美>

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