野球知識検定4級の過去問題でルールを学ぼう
皆さんこんにちは! 菊池柚花(きくち・ゆうか)です! 大好きな野球を勉強中です。現在は、このスポーツの奥深さを教えてくれる「野球知識検定」の4級取得を目指し奮闘中。今回も過去問題を通じて、皆さんと野球について楽しく学んでいきたいと思います。複雑な成立条件のある「振り逃げ」をテーマに、4級の過去問題を一緒に解いてみましょう。
【漫画で見る】野球はなぜ9イニング? 初心者にもわかりやすいルール解説
問題:三振してしまった打者が走者となり得る振り逃げ。その適用について、正しくないのは、どれ?
(1)2死満塁の状況では振り逃げは適用されない
(2)振り逃げが成立しても三振の記録がつく
(3)投手・捕手に暴投か捕逸が記録される
(4)無死か一死で走者が一塁にいるときは除く
問題と選択肢を読んだところで、早速ですがルールブックにあたる「公認野球規則」を確認しましょう。ただ“振り逃げ”という言葉はこの中には見当たらないので『打者が走者となる場合』について定められている「5.05」を参考にしていきます。「走者が一塁にいないとき、または走者が一塁にいても2アウトのとき、捕手が第3ストライクと宣告された投球を捕らえなかった場合」(5.05a(2))に、バッターは走者となることが認められています。
振り逃げできるのは「走者が一塁にいない」か「2死」の場合
この規定を読むと「走者が一塁にいない」もしくは「2死」という条件のどちらかを満たしている時に、振り逃げが認められることになります。両方を満たしている必要はありません。先ほどの選択肢を見てみると、(1)の2死満塁の状況の場合、一塁に走者はいるものの「2死」という条件を満たしているので振り逃げは成立します。よって(1)が正しくないので、この問題の正解になります。
いきなり答えが出てしまいましたが、他の選択肢も確認しておきましょう。先程の「5.05」を読めば(4)の選択肢は正しいことがわかります。2死ではない状況でランナーが一塁にいれば、振り逃げの対象外となるからです。
続いて(2)については「三振」について定めた規定を見ていきましょう。三振を記録するケースとして「捕手が第3ストライクを捕らえなかったので、打者が走者となった場合」(9.15a(3))も含まれていました。つまり、振り逃げが成立しても、打者には三振の記録がつくので(2)は正しいことがわかりました。
また「第3ストライクが宣告された投球を、捕手が正規に捕球した場合」(5.09a(2))は直ちにアウトになるという規定があります。さらに注には正規の捕球として「まだ地面に触れていないボールが、捕手のミットの中に入っているという意味」とあります。
そもそも振り逃げは、捕手が三振になったボールを上手く捕球できなかった場合に打者に発生する権利で、成功には投手の暴投や捕手の捕逸が不可欠な要因です。つまり(3)も正しく、この問題の正解ではありません。
振り逃げ「できない場合」が規定されている深~いワケ
選択肢を1つずつ紐解いて来ましたが、私が気になったのは“振り逃げ”に必要とされる細かい条件です。一体なぜ「ランナーが一塁にいない」か「2死」の場面でしか振り逃げが認められないのでしょうか?
もし一塁走者がいても振り逃げが認められたらどうなるか、考えてみてください。一塁を押し出された走者には進塁の義務が生じます。
そこで捕手が故意にボールを地面に落とせば、二塁→一塁と送球して併殺を簡単に取れることになりますよね。攻撃側にはむしろマイナスになってしまいます。2死であれば併殺になることはないので、一塁に走者がいても振り逃げが認められているのです。不公平なプレーを未然に防ぐために、振り逃げについては条件が厳密に定められています。
複雑な「振り逃げ」の規則は、初心者の私には難しいかと思いましたが、理由を知れば納得できました。ルールを知るだけでなく「なぜ」そうなのかを考えると、より理解が深まりますね。
※「First-Pitch」では、野球女子の菊池さんと一緒にルールを基本から学ぶ連載をスタートします。同じように野球を“勉強中”の少年少女や、保護者の皆さんにお読みいただければ幸いです。
【漫画で見る】野球はなぜ9イニング? 初心者にもわかりやすいルール解説
この投稿をInstagramで見る
First-Pitch-野球育成解決サイト-(@firstpitch_c2)がシェアした投稿
【漫画で見る】野球はなぜ9イニング? 初心者にもわかりやすいルール解説 signature
(菊池柚花 / Yuuka Kikuchi)
・【漫画で見る】野球はなぜ9イニング? 初心者にもわかりやすいルール解説