長崎県自民支部も雇調金 事務員休職、43万円返還へ

 自民党の元衆院議員、冨岡勉氏(73)が代表を務めていた政党支部「自民党長崎県第一選挙区支部」が昨年、新型コロナウイルス対策の雇用調整助成金(雇調金)約43万円を受け取っていたことが15日、政治資金収支報告書で分かった。事務員2人の休職分で、返還手続きを進めているという。
 雇調金はコロナ禍で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用維持を図るため休業手当の一部を国が助成する制度。「最近1カ月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している」などの要件があるが、業種は問わない。コロナ対策の助成金を巡っては、寄付などが収入源の政治団体の受給が相次いで発覚し、国会で問題となっている。
 同支部の昨年の収支報告書には、「その他の収入」欄に10月16日付で「職業安定局」から、「29万7540円」と「12万9512円」と記載されている。職業安定局は雇調金を所管する厚生労働省の部局。冨岡氏の事務所によると、4月21日~5月20日と、5月21日~6月20日に、コロナ禍で業務量が減少したため東京と長崎の事務員各1人を休職させた。両期間の助成金の額が異なるのは休んだ日数が違うためという。
 同事務所は取材に「関係省庁などにも確認・相談した上で助成を受けた。だが党の方針に従い、返還に向けて手続きを進めている」とコメントした。
 冨岡氏は衆院議員を4期務め、今年10月の衆院選には出馬しなかった。同支部の代表も既に交代している。


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