2021年に「株式SNSで最も注目された株式銘柄」ランキング

2021年の株式市場も、残すところあと10営業日ほどとなりました。2020年は、コロナショックの暴落を経て、新型コロナワクチン開発進展を受けた急上昇で幕を閉じた波乱の1年でした。それを受けた2021年は、バブル期以来の日経平均株価3万円台突破が期待されて始まりましたが、期待通り3万円台を回復した歴史的な1年となりました。

しかし国内の新型コロナ流行による経済回復の遅れや政治情勢などが重なり3万円台の定着とはなかなかならず、日経平均が大きく上下に振れる場面もありました。投資家にとっては銘柄選びがカギを握る1年であったとも言えるでしょう。

個人投資家はこの1年、どのような銘柄に注目していたのでしょうか。今回はスマートプラスのコミュニティ型株取引アプリ「STREAM」内の掲示板での銘柄別コメント数のランキングから、2021年の個人投資家の関心を紐解いていこうと思います。

※紹介するコメントは原文のまま表記しています。


株主優待、米国株式に関するコメントが上位にランクイン

まずは6~15位までを見ていきましょう。時価総額30兆円を突破した、日本最大の時価総額を誇るトヨタ自動車をはじめ、市場でも関心が高かった銘柄が上位に入っています。また昨年に引き続き、オリックスやすかいらーくホールディングスなど、株主優待で有名な企業も安定して多数の投稿を集めていました。

掲示板では、具体的な優待の内容などもやり取りされており、このような情報交換の中で投資興味が醸成されていることがうかがえます。

【オリックスについて】

オリックスの優待が初めて届きました。

皆さんが話題にしていた オオサンショウウオはコレかぁ〜(^^)

マゼランペンギンも可愛いらしいじゃない〜(^^)と、カタログを目にしたら嬉しくなっちゃいました!

これから仕事なので、帰ったら家族と何にしようか相談します。

パラっと見ただけですが、美味しそうなのが沢山ありますね!╰(*´︶`*)╯♡

先輩方のオススメは何ですか?

コレ 美味しかったよ〜のお話、聞かせてください

(ゆーさん、83いいね)

加えて、STREAMでは今年から米国株の取引も開始されたことにより、テスラ、マルケタ、ファイザーの3銘柄も上位にランクインしました。テスラ、ファイザーはコロナ相場において相場を牽引した銘柄でありますが、今年新規上場したマルケタが他の有名銘柄を差し置いて上位に入っているのは少し意外でもあります。取り扱い銘柄も多くない中でも、こういった銘柄にフォーカスが当たるのがコミュニティの特徴ともいえるのではないでしょうか。

またマルケタに関する投稿の中には、企業分析を簡潔にまとめているものもあり、個人投資家のレベルの高さがうかがえます。

【マルケタについて】

12日で、ロックアップが、修了したんですね‼️

今マルケタ研究しています。

商売をしている全ての企業のための、ガード発行プラットホームを提供するフィンテック企業。

銀行ではない一般のエンドユーザー会社が、独自クレジットカードを発行できるようにした世界初の会社です。

visa が銀行向けにカード発行機能を提供してきたビジネスに対して、マルケタは、カード発行して顧客ヲ取り込みたい会社すべてが、ターゲット。

ウーバーや、ドアダッシュの活用方法は、革命的で、他の決済サービスを提供する会社からも、認められている点がビジネスとしての強み。

10ドル台でためしがいしてみたいですね‼️

要チェックですね

(ゆーこ[専業投資家]さん、90いいね)

上位には「今年の顔」の銘柄がランクイン

続いて1位~5位までの銘柄を見ていきましょう。TOP5には、毎日のように市況欄をにぎわせた、今年の顔とも言える銘柄も上位にランクインしています。細かく見ていきます。

第4位には、ハイテク株と並び、景気敏感株の一角として急騰した海運株の中から日本郵船がランクイン。年初に2,000円台であった株価は9月には11,000円台まで上昇し、その後は反落したものの高水準での売買が続いています。

海運株で注目を集めたのは株主還元で、大幅増配を発表した日本郵船の配当利回りは10%近辺まで上昇しています。配当金の発表を巡っては、その水準が関心を集め、決算発表付近では大きな値動きとなりました。コミュニティ内でも配当に関する話題が展開されていました。

【日本郵船について】

権利日なのに下がっていると配当金目当てで安易に飛びついてしまいました。私は1株投資なので最悪軽傷で済みます。

ワクチンはブースター接種で来年3回目があるのは既定路線。治療薬が完成しても、今度は治療薬の輸送があるのでは

10月から小麦粉が値上げ。値上げ理由の一つが輸入の貨物船が足りていないこと。

ワクチン接種後、治療薬完成後、アフターコロナで半導体の供給量が戻って半導体の輸送が増えるのでは?

今日買って配当金をもらっても、来年、再来年まだ逃げ切れる機会はあるはずだと思ったので思い切って乗船しました。

権利日で下がって、権利落ち日であがるはずないので明日はもっと下がると思いますが。

(Sさん、95いいね)

第3位は2021年の相場の主役の1銘柄であるソフトバンクグループ。日経平均株価がバブル以来の3万円を突破した年初にかけて、一時1万円を超えるまで上昇するも、現在は下落基調が続き、コロナ前の水準となる5,000円台まで下げています。

海外の投資先の動向に左右されるため、グローバルな経済環境がコロナ禍から変わっていく中で、孫正義会長兼社長の経営手腕と、今後の株価推移に注目が集まります。

【ソフトバンクグループ】

もう少しで年高値から半額になっちゃうね!

半額セールと思えばお買得か?

株は下がったら買う上がったら売るが基本らしいが!

落ちるナイフは掴むな!とも言うし

上がり始めるのを待つのが正解かなぁ?

(干し芋さん、171いいね)

また、STREAMではコミュニティの活動に応じて獲得できるポイントを用いて株が当たる「株ロト」を実施しており、その当選対象の銘柄である日産自動車(第5位)、Zホールディングス(第2位)、楽天グループ(第1位)は盛り上がりを見せ、たくさんの投稿が寄せられていました。

初心者の方にとっては、「株ロト」のようなイベントをきっかけとし、先輩投資家と情報交換をしながら株取引に慣れていけるという環境が、投資継続の後押しとなっているかもしれません。

経済正常化も期待される来年の行方は?

例年、11~12月は年末ラリーとして上昇が期待される時期ではありますが、今年は様相が異なってきています。世界では新型コロナの変異種オミクロン株の警戒感が高まるほか、米国では高いインフレ率が話題となり株式市場にも影響を与えています。

また国内では11月以降、個人投資家に人気の新興市場、マザーズ指数は下落が続き、12月14日(火)には節目の1,000ptを下回り年初来安値を更新しました。

新型コロナに警戒しながら経済活動が再開していますが、株式市場の観点でいうと、アフターコロナの世界で以前と同じような経済活動が行われるのか、どの領域で新しいビジネスが定着するのかという点に視点が移っていると言えるでしょう。2022年はコロナ相場から頭を切り替えて違う視点で相場と向き合う必要があるかもしれません。

その年注目された個別銘柄は、ある意味その年の投資環境を表すとも言えるでしょう。年の最後まで目が離せない株式市場。1年を振り返りつつ、2022年の相場の準備を進めてはいかがでしょうか。

<文・Finatextグループ・アナリスト 菅原良介>

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