電動化初年度の2022年WorldRX全12戦カレンダー発表。ノルウェー&南アフリカが復帰、規則も小変更

 2022年から電動最高峰“RX1e”クラスの導入を予定するWorldRX世界ラリークロス選手権の暫定カレンダーが、12月15日にフランス・パリで開催されたFIA世界モータースポーツ評議会(FIAワールド・モータースポーツ・カウンシル/WMSC)を経て発表され、ダブルヘッダー多数の全12戦をスケジュール。ノルウェーのヘル戦や南アフリカ・ケープタウンに位置するキラーニー・インターナショナル・レースウェイでの最終戦が復活し、規則面では新たに“スーパーポール”シュートアウトが導入されるなど、電動化時代に向けフォーマットの刷新も受けている。

 エレクトリック・ラリークロス初年度となる2022年シーズンは、7カ国にまたがる全12ラウンドを組み込む予定で、7月初旬にWorldRXを象徴するスウェーデンの“聖地”ホーリエスで開幕し、同月末には2021年タイトル決定戦の舞台となったドイツのニュルブルクリンクへと移動。これら2戦のシングルイベントを経た後、残りの5戦はすべてダブルヘッダーの形態を採る。

 8月中旬に開催されるノルウェーのヘル戦は、2019年、2020年と2年連続で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の余波でキャンセルされており、かつてはスケジュールの定番だった伝統のイベントが2年ぶりに復活。

 ラトビア・リガの歴史的トラック、ビチェルニエク国際スポーツベースでのイベントを経て、2週間後にはポルトガルの風光明媚なモンタリグレでの1戦を実施。10月初旬にはこちらもWorldRXイベントとして定着しつつあるベルギーのスパ・フランコルシャンが続き、11月には地域の防疫要件を遵守するという条件付きで、ひさびさの南アフリカに上陸してシーズンフィナーレを迎える。

 同じく電動のワンメイクシリーズとなる『FIA RX2eチャンピオンシップ』は、スウェーデン、ドイツ、ノルウェー、ラトビア、ベルギーでWorldRX併催となり2年目のシーズンを開催。欧州選手権のEuroRXはスタンド・アローンとなるハンガリーで開幕する全6戦が予定されている。

 一方、電動化に伴いスポーティングレギュレーションも見直され、WorldRX各レースの週末は、フリープラクティス直後に新しい“スーパーポール”シュートアウトを実施し、全ドライバーがスタンディングスタートから1周のタイムドラップを完了し、従来のグリッド抽選に代わってヒート1のスタート順が争われる。

 シングルイベントの場合は3ヒート、ダブルヘッダーの場合は2ヒートの構成となる週末は、各ヒートのフィニッシュポジションが続くヒートのスタート順を決めるため以前よりも重要度が増し、ヒート終了時のランキングはレースタイムの合計で確定する。

2022年から電動最高峰“RX1e”クラスの導入を予定するWorldRX世界ラリークロス選手権
2021年は雪中のタイトル決定戦となったドイツ・ニュルブルクリンクは、シングルイベントの第2戦に組み込まれた

■「素晴らしいシーズンになることを約束する」とシリーズプロモーター

 その後、全ドライバーとも“プログレッション”レースに参加し、ヒートの最上位ドライバーが最初にグリッドスロットを選択し、順にスタート位置を決めていく。この“プログレッション”ステージの上位10名がセミファイナルに進み、そこから上位5名(各セミファイナル上位2名と、より速いタイムを記録した3位のドライバー1名)がファイナルへと進出する。

 各ヒートともに最大5台のマシンが出走し、ファイナルも含め全5周にわたってのバトルを繰り広げる。チャンピオンシップポイントは、1位から15位までの内訳に従って週末の終わりにのみ付与され、この変更はWorldRX専用の“スーパーポール”シュートアウトを除き、すべてのFIA格式選手権に適用される。

 シリーズプロモーターのラリークロス・プロモーターGmbHでエグゼクティブプロデューサーを務めるアーネ・ディルクスは、今回の暫定カレンダー発表と規則改定に際し「WorldRXの新しい、エキサイティングな電動化時代の始まりに先駆け、シリーズがスタイリッシュに開始され、歴史を塗り替える素晴らしいシーズンになることを約束する」と決意を語った。

「まずWorldRXを筆頭に、FIA RX2e、EuroRXの2022年暫定カレンダーを発表できたことをうれしく思う。非常に愛されている伝統的なラリークロス・トラックから、世界的に有名な『象徴』とも言うべきモータースポーツ会場まで、このスポーツの最高のものをブレンドしたスケジュールだと確信しているし、我々も信念に基づきプランをまとめるため多くの努力を払った。シーズンフィナーレのために南アフリカに戻るという見通しを、誰もが歓迎してくれることを願っている」と続けたディルクス。

「また我々はチームにも相談して考えをまとめ、イベント形式を新たに開発し、WorldRXを既存のファンにとってさらにエキサイティングにし、新しい視聴者にとってより理解しやすくするための、いくつかの重要な変更について正式に合意した」

「週末の幕開けに『危険な要素』を加える“スーパーポール”シュートアウトの導入は特に楽しみだ。すべてのレースでインラインスタートが可能になり、アクションは毎回最初から最高潮になるよう設定された。皆の努力の成果を見るのが待ち切れないね!」

電動最高峰“RX1e”クラスに向けては、すでに4チームが正式に参戦を表明している
ノルウェーのヘル戦や南アフリカ・ケープタウンに位置するキラーニー・インターナショナル・レースウェイでの最終戦が復活する

■WorldRX世界ラリークロス選手権2022年暫定カレンダー

ラウンド 開催日 開催地
Rd.1 7月2~3日 スウェーデン/ホーリエス
Rd.2 7月30~31日 ドイツ/ニュルブルクリンク
Rd.3-4 8月13~14日 ノルウェー/ヘル
Rd.5-6 9月3~4日 ラトビア/リガ
Rd.7-8 9月17~18日 ポルトガル/モンタリグレ
Rd.9-10 10月8~9日 ベルギー/スパ・フランコルシャン
Rd.11-12 TBC 南アフリカ/ケープタウン

© 株式会社三栄