【バレーボール】早慶戦直前!特別企画 男子副将対談 大塚達宣×永田将吾

左から慶大・永田、早大・大塚

第85回早慶バレーボール定期戦まであと2日。今回は早大・大塚達宣副将(スポ3・洛南)と慶大・永田将吾副将(総4・高松)の対談をお送りする。チームをまとめるお二人の副将としての役割や早慶戦に向けた意気込みなど、たっぷりとお話を伺った。

(※この取材は12月13日(月)に早稲田スポーツ新聞会と合同で行いました。)

――さっそく始めたいと思いますが、面識はありましたか?

永田 いや、まったくないです。

大塚 ないですね。

――では初めて認識したのはいつですか?

永田 僕は大塚くんが2年生の時の春高をテレビで見て、(大学に入って)僕が2年生の時のリーグ戦で初めて生で見ました。

大塚 僕は…すみません。存じ上げなかったので、今日がはじめましてです。

永田 いや全然大丈夫です(笑)。

――お互いのチームに知り合いやよく話す人はいますか?

永田 大塚くんの方がいそうじゃないですか?降(降小雨=商3・慶應)とか?

大塚 そうですね。同い年だと降とか。真古都(高倉真古都=商3・慶應)とかは中学選抜で一緒にやった経験とかもあるので、結構知ってます。

永田 僕は早稲田に知り合いはいないですね。同期もあんまり話したことないので、試合会場で会って早稲田の人と話すことはないかもしれないです。

――話してみたい人はいますか?

永田 僕は今日大塚くんと話せて嬉しいです(笑)。

大塚 ありがとうございます(笑)。僕は大体知ってるので、小出さん(小出捺暉=環4・駿台学園)とかも高校の時にやってるし、セッターの谷さん(谷舜介=環4・徳島城東)は高校生の時のドリームマッチとかで同じチームだったので、なんやかんや関係性はあって知ってるかなという感じです。

――お互いに聞いてみたいことはありますか?

永田 せっかくなので聞かせてもらおうかなと思うんですけど、早稲田って周りから見るとスーパースターというか、一人一人がすごい実力を持った人が集まったチームだなという見られ方をしてると思いますし、実際そうだと思うんですけど、僕のイメージだとお互いのプライドじゃないけど、今まで培ってきたバレーの経験とかでまとめづらいことがあると思うんですけど、今3年生が主将副将をするなかで、特に大塚君は五輪とかでチームを離れたりで大変だったと思うんですけど、何か意識していたこととかありましたか?

大塚 そうですね。僕自身はチームを離れている期間が長かったので、その分帰ってきてからは今まで以上にコミュニケーションをしっかり取るっていうのを大事にしていました。あとやっぱりこちらが求めていることをちゃんと体現してくれるメンバーがうちは揃っていると思うので、だからこそ高いレベルを僕たちが提案して、それに対してみんなもついて来てくれるチームなので、自然とまとまるというか、個人の力がすごくて、それが合わさって結果的にまとまるっていう形になっているだけだと思うので、そこまでまとめようという気はないですね。

永田 すごいですね。めちゃくちゃレベルの高い回答が(笑)。

大塚 いえいえ(笑)。次、僕ですか?

――バレーに関することじゃなくても大丈夫です!

大塚 どうしようかな。慶應さんの「大学の名前を背負ってる感」がすごいなと思ってて、早慶戦だったり、学校を上げてやるイベントだったりに熱が入ってるなと感じるんですけど、他の部活もすごいんですか?

永田 そうですね。野球部とかラグビー部とかは、慶應を背負っているというか、早慶戦に懸ける思いは、友達とかと話を聞いていても熱いのかなと思っています。特に野球部とか六大学の最後に早慶戦があって、そこに優勝が懸かっていたりするので、やっぱり試合の前とかは割とピリピリしてるっていう話は聞きますね。バレー部は正直背負ってまではないですけど、看板の部活は他の大学に比べたらそういう意識は強いのかなと思いますね。

大塚 他の部活の友達も「早慶戦の時の慶應は勢いがすごい」って言ってるので、慶應ってそういう大学なのかなって。

永田 どうなんですかね(笑)。OBとかは愛校心というか、気にかけてくれてるなっていうのは感じるので、就活とかも含めて組織的な縦のつながりは強い大学だなっていうのは感じました。

――お二人がそれぞれ早大・慶大に進学した理由やきっかけは?

永田 僕は元々バレーがそんなに上手い選手じゃなくて、大学でバレーするかどうかも迷ってたんですけど、高3の時に国体に入れてもらって、その時に大学でも続けたい思いが強くなりました。その時に関東の大学で来てもいいよって言ってくれたのが慶應で、元々強いチームだなと思っていたので慶應に行こうと思いました。

大塚 僕はセカンドキャリアで保健体育の先生っていうのを考えていたので、まず保健体育の免許をしっかり取れる大学を考えて、バレーのレベルでいうと関東が一番高いので、関東でバレーボールもしながら、教員免許も取れる大学っていうのを考えていました。そのなかで自分の頭で考えてやるバレーっていうのがしっかりしているのが早稲田大学だったので、そういうのも含めて早稲田大学に進学しました。

――実際入ってみてどうですか?高校までとの違いはありましたか?

永田 慶應も自分で考えてやるバレーというか、そういう練習が多いのかなと思います。今の星谷監督もそうですし、宗雲前監督もそうですし、別にお仕事をされている方なので、平日の練習はなかなか来れなくて、学生主体で考えてやることが多いので、土日の試合でどういうプレーがしたいのか、どういう戦術でいきたいのかっていうのは基本的に平日に選手が考えてやっています。それは高校生の時はなかったことだと思いますし、元々僕は高いレベルでしていなかったので、慶應じゃなくて、関東の周りのチームをみても高校までとは全然違うなというのは感じますね。大塚くんは、どうですか?

大塚 小中学生の時はやらされるバレーが多いと思うんですけど、僕は中学生の頃からありがたいことに環境に恵まれて自分たちで考えてやるバレーをやらせてもらって、その環境が自分に適しているなと感じて、高校で洛南高校を選んだのも自分たちで考えてやるバレー、どうやったら勝てるのか自分たちで考えて学生主体で動くチームっていうのを選んできていたので、そのスタイルっていうのは大学に行っても変わらないというか、カテゴリーが上がっていくにつれて、その質っていうのは高くなってきていると思います。今だと早稲田大学で教えてもらっていることにプラスで、代表経験で得たものも自分たちの考えのなかに取り入れて、バレーボールをしているので、そういうチームを選んできたっていうと言い方悪いですけど、よかったかなと思います。

――お二人が副将に就任した経緯は?

永田 慶應は元々選手で決めるっていうよりは、OB会の方から指名していただくという形なので、経緯としてはOB会の方から納会の時に任命されて副将になりました。理由を直接は聞いてないですけど、捺暉がプレーで引っ張っていくタイプなので、その考えを言葉で伝えていくのが今年の僕の役割なのかなと思ってます。

大塚 副将をやってやろうって気は最初からあったんですか?

永田 いやー、あった訳ではないです。でも捺暉が主将っていうのは同期のなかでも自然な流れであって、誰が副将ってなった時に、個性というかキャラ的に僕なのかなって3年の後半くらいから思う部分は正直ありました。

大塚 そうなんですね。僕はチーム内で3年生が主体で引っ張っていくって形になって、例年4年生が教育実習でいない6月くらいに3年生が主体でやる時期があるんですけど、その時に僕抜きで同期のメンバーが頑張ってくれていたので、その方針に僕は全部任せました。そのなかで今まで僕は1年生の時からコートに入らせてもらっていたりとか、代表だったり、たくさんの経験をチームに活かすっていう意味も込めて副将に選んでいただいたと思います。でも主将副将っていう名前はありますけど、3年生全員でチームを引っ張っていこうという話はしていたので、強いこだわりはないんですけど、立場的にも自覚と責任を持ってコート内だったり、私生活であったりで自覚ある行動をしていかなければならないと思ってます。

永田 早稲田って自分たちの学年で決めるんですか?

大塚 そうですね。自分たちの学年で話して、最終は松井監督だったりに「こういう形で行きます」という感じになるんですけど。僕たちは自然と僕のいない時期に流れでなった感じもあるので。

永田 来年もこの形で引き継がれていくんですか?岩本くん(岩本大吾=早大3年・市尼崎)が主将で。

大塚 そうですね。すでに新体制で練習も始まったんですけど、良くも悪くも新鮮味がないというか(笑)。自分たちのなかでマンネリ化しないように、新しい変化を求めてやっていきたいなと思うんですけど、そういった意味ではやりやすいのかなと思いますね。

永田 確かにそうですよね。1部で3年生が主将も副将も両方やってるチームって僕も聞いたことないので。

大塚 ないですよね。

永田 副将で3年生がいるチームはあると思うんですけど、うちもそうですし。主将も副将も3年生で引っ張っていくチームってあんまりないと思うので、プレッシャーはかかると思うんですけど、来年すごいんだろうなとは思いました。

大塚 ありがとうございます。

1年次からリベロとしてチームを支える永田

――チームでの副将としての役割はありますか?

永田 僕はリベロっていうポジション柄もあって、点数が取れるポジションではないので、コートの中の雰囲気を落とさないことですね。あとベンチに帰る回数が多いので、アナリストとか監督とかの考えとコートの中の選手の考えを擦り合わせて、ベンチがやりたいことと、コートの中でやっていることができるだけ近いバレーになるようにというのは心がけています。

永田 大塚くんはずっとコートの中にいると思うんですけど、チームの中ではどういうポジションなんですか?

大塚 副将って難しくないですか?

永田 そうですよね。

大塚 僕は副将っていうのは意識してないです。自分の役割を考えて、自分の立場を考えて、チームを引っ張る役割があると思っています。あまり副将って言葉にとらわれ過ぎずに、自分がやらなきゃいけないことっていうのを第一に考えているので、「副将って何するんですか?」って言われたら結構難しいかなと思いますね。そんなことないですか?

永田 僕もそう思います。さっき話してた時に、副将ってよりもリベロとして何しているかだったので。主将はチームの先頭に立つとか色々あると思うんですけど、それよりも、選手として自分がやらなきゃいけないことをどれだけチームのなかで100%やっていくかが重要かなと思います。特にうちの4年生は個性があって、それぞれの引っ張り方で最上級生の役割をしてくれているので、僕が副将として何かやるっていうよりは、選手としてチームに貢献できるかがこの一年間メインで考えてきたことなのかと思います。

永田 俺も大塚くんみたいなこと言えばよかった(笑)。今のかっこよかった。

大塚 でも思っていることは一緒なんで(笑)。

永田 副将って立場的に難しいですよね。

大塚 言われたら説明しづらいというか。こんな感じでいいんじゃないですか、僕らは。

永田 じゃあ同じ意見だったってことで(笑)。

――お二人は学年も違いますが、チームをまとめる上で聞いてみたいことはありますか?

大塚 やっぱり4年生の一年間って早いですか?やること一番多いじゃないですか。1年生だったら仕事とかで一杯一杯だと思うんですけど、4年生って周りを見ながらチームを動かしたりだとか、また違う大変さがあると思うんですけど、その一年間って早いですか?

永田 僕はこの一年間は、四年間のなかで一番早かったなと思ってます。自分たちで言うのもあれなんですけど、今年の4年生はあんまりしっかりしている人がいなくて、3年生の方が、それこそ降とかを筆頭にしっかりしていて真面目なので、チームをまとめるっていう意味では、3年生に助けられたなっていう印象の方が大きいですね。今年最上級生になったからといって、行動とか態度が変わった部分は正直なくて、楽しくバレーしていたら一年早かったなという感じですね。特に4年生は自分たちの意見がチームに反映されるっていう意味でも、そこに責任は多少なりともあると思うんですけど、その分自分たちのやりたいこととチームのやりたいことが一緒だったら、楽しい一年が過ごせると思います。今年の場合は慶應は2部だったんですけど、おかげさまで優勝できて、来年からは後輩たちが1部でやれるってことで、目標としていた結果が最低限はついてきているので、今年一年は楽しくて早かったです。

大塚 やっぱそうですよね。絶対早いだろうなと思って。やりがいは一番感じるじゃないですか、4年生が。

永田 間違いないですね。

大塚 自分たちのやりたい事とチームの方向がしっかり合っていたら絶対楽しいと思うし、充実していくと思うので。やっぱり先輩を見習って僕たちも頑張ります(笑)。

永田 そんなん言われたら恥ずかしい(笑)。恐縮です。でも自分達のやりたいことと、後輩のやりたいことが一緒じゃないと、チームとして分裂してしまうと思うので、そこは今年一年間僕らなりには気をつけたところだったんですけど、そこさえできていれば何にも変えなくても、大塚君が最初に言ってくれてたみたいに勝手にチームがまとまっていくなっていうのは思ったので。大変だなって思ったことは一年間あんまりなかったです。

大塚 参考になります。ありがとうございます。

永田 逆に僕が聞いてみたいのは、僕はリベロとしてコートに入ることが多くて、リベロは直接点数が取れない分、ほかのメンバーのサポートをしたり、ミスした時に声かけたりといった役割があると思うんですけど、スパイクを止められた時とか、ミスした時に、「いやー今声かけていいのかな」とか、特に僕が「打て!」とか言った時にシャットされたりした時に、「うわーごめん」とか思っちゃうタイプなんですよ。人にもよると思うんですけど、そういう時って整理したいのか、全然声掛けにいっていいのか、どうなんですか?早稲田ってどういう雰囲気でやっているのか気になります。

大塚 それ、同じことをリベロやってる友達にも聞かれました。「声掛けにいっていいのかな?」みたいな。でも僕は逆にスパイカーが自分から発していくべきだと思いますね。代表とかでもそうなんですけど、これがいい、これが悪いっていうのは、はっきりさせるべきだと思うので。指先狙いにいってアウトになったとかだったら、チャレンジしたミスなのでいいと思うんですけど、ミドルブロッカーのど真ん中に打って、シャットされたとかって明らかに考えてない証拠だと思うので、そういうのは周りから見ても分かるし。自分が一番分かると思うんですけど。そういう時に下向いてうつむいている子とかって声かけづらいじゃないですか。

永田 そうですね。

大塚 やっぱりミスしたら自分からコミュニケーションを取るのが大事だと思ってて、頭ごなしに「トス悪いやんけ」とかじゃなくて、「今のもうちょっとトスの高さ上げてくれん」とか、「今の打ち方は自分のミスやから」とか言ってくれるとセッターとかも楽だし、周りも楽だと思いますね。今の自分のミスって言うだけでもだいぶ切り替えられるじゃないですか。試合中に引きずってしまうとズルズルいってしまうことがあるので、やっぱりミスした人から、僕は言っていくべきだと思うので。

永田 なるほど。

大塚 その後にリベロとか、周りの選手の声掛けだと思うので、僕はスパイカーが決められないのであれば、スパイカーが悪いと思いますね。自分から言わないと周りの雰囲気も崩れてしまうので、僕はそういう所は意識してますね。

永田 この記事が出たら、うちのスパイカー全員に読ませたいと思います(笑)。

大塚 (笑)。なのであんまり気にしなくていいと思いますよ。声かけづらいなとか、迷っている雰囲気をスパイカーが出してるからそうなってしまうので、そういう時は大体スパイカーに問題があると思ってますね。

永田 じゃあもう一個いいですか。今までいろんなリベロをみてきたと思うんですけど、大塚くんが考えるいいリベロ、このリベロいたらチーム助かるなっていうのはどういうリベロだと思いますか?

大塚 たくさんのリベロの人を見てきたし、一緒にやらせてもらったんですけど、やっぱり代表とかでやっている方はもちろん1つ1つのプレーのレベルも高いんですけど、一緒にやってて感じたのは、出してる声っていうのがはっきりしていて。そういう所がリベロの役割なんじゃないかなと思ってます。実際、大学バレーをやっていても、自分たちは代表と比べたら劣ってるじゃないですか、そのなかでも代表の方がラリー中に出してる声って多いんですよ。それってやっぱりみんなできるから出さなくていいとかじゃなくて、上に行けば行くほどみんな出しているので、そういった所の中心にいるのはリベロになっているので、自分が代表を経験して帰ってきて、うちのリベロの荒尾くん(荒尾玲音=早大2年・鎮西)に、「リベロの人はどういう声を出してましたか?」とかも聞いてくれたりもするので、「こういう声掛けしてたよ」とか、「ラリー中こういう指示出してたよ」とかを伝えることはできるし、そういうのが僕のもう一つの役割なんじゃないのかなと思っているので、声で引っ張るっていうか、声でチームを動かすっていうのがリベロの役割なんじゃないかなと思います。

永田 今年東京五輪とかを観てて、無観客だったんで選手の声がめっちゃ聞こえるじゃないですか。こんな喋ってるんだなっていうのは思いましたね。

大塚 コロナで無観客になって、選手の声がよく入るようになったので、その方が僕は見てて面白いなとは思いますね。

永田 バレーしてる人からしたら、今こういう事言ってるんだとか、新鮮というか、代表の人でも逐一細かいこと話しているんだっていうのは感じましたね。参考にさせてもらいます。ありがとうございます。

――「うちの主将のここがすごい!」という部分はありますか?

永田 捺暉のすごいところは、みんながついていきたくなるような雰囲気を持ってる人だなっていうのは感じています。正直人前で話すのとかは上手いタイプじゃないというか、今年一年で何を話しているかよく分かるようになったんですけど、去年とか「は?」みたいなことを話してたんですけど(笑)。それでも捺暉さんが言うなら一回やってみようとか、捺暉さんが言ってるんだったらこれで失敗したり、負けたりしても仕方ないっていうような雰囲気を持っている人なので、それは努力してどうこうできる部分じゃないんだろうなと思っていて、今まで捺暉が培ってきた経験とか、生まれ持った才能があると思うのでそれは主将としてすごいなと思いますし、そういう人が自分の代の主将でよかったなと思います。

大塚 僕も捺暉さんについていきたいと思うっす。

永田 ほんとですか。今からでもぜひ慶應来てほしいくらいですよ(笑)。

大塚 あとちょっとで終わりなのに(笑)。

永田 いや、早慶戦で慶應のユニフォーム着てくれたら僕たちすごい助かるんですけど。

大塚 (笑)。相手コートでやっていても、それは感じます。やっぱありますよね。ついて行こうと思えるというか、この人なんかそういうオーラあるなと思ったので。

永田 じゃあほんとに間違ってなくて、すごい発言力があるとかじゃないんですけど、オーラとか人柄みたいな所がありますよね。

大塚 そうですね。

永田 慶應って経歴がある人、それこそ大塚くんみたいに春高優勝したみたいな人って全然いないんですけど、捺暉は数少ないそういう人なのに、1年生の時から経歴とか上手さとか関係なく、スタッフにも分け隔てなく平等に優しく話してくれるような人なので、そういうのもあって今の捺暉の主将像ができるのかなって思いますね。

大塚 うちの主将は小出さんとかの雰囲気とはまた違うんですけど。また違うみんながついていきたくなる感じですね。(小出さんとは)逆でよく喋るので、みんなから親しみを持たれてて、それはバレーボールだけじゃなくて、バレーボール以外の時間とかでも、下の学年からも慕われているような存在です。めっちゃ喋ること多いし、意味ないこととか、しょうもないことも普段から話すんですけど、でもやる時はしっかりやる人なんで、みんながついていこうと思える主将だと思いますね。

永田 僕は岩本くん全然面識なくて、試合で映像みたことぐらいしかないんですけど、めっちゃ叫んでますよね。

大塚 そうですね。盛り上げ役ですかね。尼崎の子なんで。

永田 そうなんですね。

大塚 まぁ元気だし、口数も多いし。でもそれが彼のいい所であって、チームの雰囲気もキャプテンだからって固くなっちゃうんじゃなくて、キャプテンだけど今までの自分らしさを忘れずにのびのびと走り回って叫んでやってくれているので、それに僕たちもついていこうというか。雰囲気がやっぱりできるので、そういう意味では助かっているなと思いますね。

永田 僕は今の捺暉もすごい好きなんですけど、そういうキャプテンもついていきやすいだろうなっていうのもあって。

大塚 タイプ違いますよね。

永田 去年の祝太郎さん(吉田祝太郎=令2卒・慶應)とかは、今聞いてたら岩本くんみたいな感じなのかなと思って。プレーもそうだし、いっぱい喋ってチームの雰囲気とか、やらなきゃいけないこととかを明確にして、自分が雰囲気を作ってくれるタイプの主将はついていけばいいので、プレーとかも一緒に乗っていけばいいので、それはすごい楽ですよね。

大塚 そうですね。僕も助かってますね。

――お互いのチームの印象について教えてください。

大塚 慶應さんは早慶戦にかける思いがひしひしと伝わってくるので、毎年勢いもあって、それを跳ね返す勢いも出していかないといけないと思っています。そういう試合ってなかなかできないと思いますし、早慶戦というイベントの中でインカレやリーグ戦と同じような緊張感を持ちながら試合ができるのは、自分たちにとってもいい経験なのでこの機会は本当にありがたいなと思っています。

永田 僕たちはその真逆と言いますか、失うものがないので、日本一の早稲田に対してぶつかっていくだけというメンタルでやっているのに、それを横綱相撲で跳ね返されているというのが正直な感想です。1、2年生の時はフルセットで、去年はストレートだったんですけど、フルセットとはいえ要所は取られたなという印象が強いですし、去年は手も足も出ませんでした。それだけ勢いのあるチームを跳ね返すのはそんなに簡単なことではないと思うんですけど、それをいとも簡単にやってくるのはそれだけ実力の差があるからだと思います。個の力がすごいだけでなく、それがまとまってチームとしてすごい力を発揮してくる、大学で一番強いチームだなと感じます。

――永田さんにお聞きします。慶大の小出主将は「あえて色んな人に仕事を与えることで責任感を持たせるようにしている」とおっしゃっていたのですが、個人的に意識していたことはありますか?

永田 一応副将で4年生なのですが、後輩にため口を使われるくらいなので、チームに何かできたというよりは、後輩に助けてもらった感じなので、何かしてたっていうと難しいですね。強いて言うなら捺睴が考えていることをチームにどれだけ浸透させることを意識していました。後輩とも密にコミュニケーションを取って「捺睴がこういうこと考えているからこうしよう」とできるだけ伝えるようにしていました。

――秋季関東大学リーグ戦では1部昇格を果たしました。今シーズンを振り返っていかがですか?

永田 秋リーグは優勝すれば自動的に1部に上がれるということだったので、優勝を目標にしてきました。その中でうまくいかないセットももちろんありましたが、最終的に全勝で優勝できたので、結果としては良かったと思います。その反面、チームの中でインカレや早稲田と戦うとなった時に、同じ土俵で戦えるかと言えばまだまだなので、そこは成長の過程の一つのステップとして秋リーグを捉えていました。全日本インカレは日体さんとやるってことで、日体さんは1部で秋リーグ優勝していて強いチームということは分かっていたので、そこに対抗するために1カ月対策を練って挑みました。結果的には良いところまで追いつめられたんですが、スポーツは勝ち負けが大事になるので、悔い自体はありませんが、残念な結果だったというのがチームとしての感想です。

――ちなみに永田さんは卒業後もバレーボールは続けられますか?

永田 いや、本気ではやらないというか、クラブチームでは続けるかもしれないんですけど。

――これからもバレーには関わっていきたいですか?

永田 どうなんですかね。今はもうお腹いっぱいというか、満足してるんですけど、いざ離れてみると、コロナ期間とかもやりたくなったりしたので、意外とやりたくなるのかなとは思ってます。

――次に大塚選手にお聞きします。日本代表での活動もあって本当に濃い1年だったと思いますが、振り返っていかがですか?

大塚 長かったと言いますか、本当に内容が濃い1年でした。濃い1年にさせてもらったのも早稲田のバレー部の皆さんが温かく送り出してくれたのもあったし、周りに支えられて今の自分があると思っているので、本当に支えられた1年だったなと思います。その中でも帰ってきて代表の経験も生かして、全日本インカレで優勝したい気持ちはあったので、それを達成することができてホッとしています。ですが、早慶戦がこの1年間の締めくくりになるので、もう一度ギアを上げてチームのみんなで頑張らないといけないなと思っています。

――代表に選出されて環境や周りが見る大塚選手への目も変わったと思いますが、「これだけは変えたくない」「これだけは変わらない」と思う部分はありますか?

大塚 周りの目はこの1年でいろんな人が見てくれるようになりましたが、だからこそ行動やバレーボールも変わってくると思いますが、それを変に意識しすぎて自分らしさを失うことが嫌だなと思っています。プレーは代表でいろいろ経験して変えられるものはありますが、僕自身のやり方は変えたくないと思っていたので、そこをぶらしてしまうと周りに流されてしまって自分の良さが消えてしまうので、そこだけは変えないようにしようと思っていました。

早稲田のエースでもあり、日本代表としてもプレーした大塚

――次にお二人にお聞きします。ずばり相手チームのキーマンは?

永田 見ていて早稲田は全員なのですが(笑)。その中で挙げるなら、忖度なしでやっぱり大塚くんだろうなとは思っています。全カレを見ていても大事なところとか、早稲田さんからしたら「ここ絶対1点欲しいんだろうな」という場面はトスが集まっていた印象があります。それを全て決め切っていたので、早慶戦でそのような展開に持ち込めるかどうかは僕たち次第ですが、持ち込めたとしたら大塚くんをどれだけ抑えられるかというのが、僕たちが唯一勝てる方法なのかなと思います。もちろん全員キーマンだと思いますが、やっぱり僕たちは大塚くんをマークするだろうなと思います。

大塚 ありがとうございます。恐縮です(笑)。僕はみんな大体どんな選手か知っているので、その中でも小出さんと永田さんの4年生の二人だと思っています。やっぱりチームって4年生が作るものだと思っているので、僕たちは3年生主体になっていますが、その裏では4年生が支えてくれていたので、4年生の力は大きいと思っています。慶應もよく点を取る選手は下級生かもしれませんが、僕は4年生の意地がカギになってくると思うので、その意地に負けないように僕たちも頑張りたいと思います。

永田 大塚くんに僕の名前を呼んでもらったことは今後語り継ぎたいと思います(笑)。

大塚 やめてくださいよ(笑)。

永田 言ってもらったように4年生の意地を見せられるように頑張りたいと思います。

――では最後に早慶戦への意気込みをお願いします

永田 早稲田は全日本インカレで日本一を取ったように、今間違いなく日本一のチームだと思います。そのチームに挑戦できるのは、もう今年は僕たちしかいないので、そこを倒して実質日本一と言えるように頑張りたいと思います。4年生は誰もバレーを今後続けないので、バレー人生で最後の試合になります。出る人も出ない人もチーム一丸となって早稲田を倒しに行きます!

大塚 伝統ある早慶戦という舞台で戦えることに感謝したいです。慶應は本当に力のあるチームだと思いますし、1部でもなかなかない高さを持っているので、チャンピオンチームとしての自覚を持ちつつ、それで受け身に回るのではなく、勢いだったり、4年生の思いであったりをプレーで跳ね返すくらいの強い気持ちを持って、こちらもこのチームでやる最後の試合になるのでチームで一つになって戦いたいと思います。そしてこの伝統ある早慶戦を楽しみたいと思います。

――ありがとうございました!

(記事:慶應スポーツ新聞会・持丸嘉昭、早稲田スポーツ新聞会・西山綾乃)

◇プロフィール◇

大塚達宣(おおつか・たつのり)

2000年11月5日生まれ/早稲田大学スポーツ科学部3年/洛南高/身長194センチ/最高到達点340センチ/副将・OH/背番号7

永田将吾(ながた・しょうご)

1999年4月16日生まれ/慶應義塾大学総合政策学部4年/高松高/身長166センチ/最高到達点300センチ/副将・Li/背番号7

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