香りで行う子どもの感性教育レポ!ゆずの香りから小学生のオリジナル絵本が誕生

普段、何気なく嗅いでいる香り。野菜や果物の香り、カレーライスやシチューの香り、外を歩いていると感じる草木や公園、雨の香り、洗濯物の香り、シャンプーの香り…。「いい匂いだね」など、いろんな香りを、子どもと毎日、感じていることでしょう。

そんな「香り」によって、子どもの感性教育ができるのをご存知でしたか? 香りは、思っている以上に奥深く、嗅覚を刺激し、子どもの感性をも刺激します。

今回は、香りによる新しい感性教育をご紹介します。

子どもにいい香りをもっと嗅がせたくなりますよ。

目次

●香りから言葉を紡ぐ教育プログラムとは?

その新しい香りによる感性教育とは、香りの超感覚体験をつくる共創型プロフェッショナル集団であるSCENTMATIC(セントマティック)株式会社が実施している、小学生を対象にした、香りを用いる感性教育です。

小学生にお題となるモノの香りを嗅いでもらい、その香りから言葉を紡ぎ出し、自ら物語や詩、絵などの作品を作ってもらうというもの。生まれた作品には優劣をつけず、すべての作品に対してオリジナリティを称えます。

第1回は「お花“ロスフラワー”の香り」、第2回は「地域特産“ゆず”の香り」をテーマに、そして第3回は2021年11月16日に「ゆずの香りを感じて自分だけのオリジナル絵本
をつくろう!」をテーマに実施されました。

SCENTMATICは、香りと言葉を相互に変換するAIシステム「KAORIUM(カオリウム)」を開発した企業。KAORIUMは、膨大な言語表現と香りの印象を学習した最先端のAIを活用して、これまで言葉で表現しにくかった香りを、より具体的な表現につなげるシステムです。言葉から感じられる香り、香りからイメージされる言葉、それぞれの切り口から双方を結びつけ、「香りと言葉の融合体験」を叶えることができます。

その知見を生かして企画されたイベントの特別授業では、子どもたちに香りから言葉を紡ぎ、自分だけの物語を創作する体験を提供します。香りを基点に言葉を連想していくことで、子どもたちの素直な感性を刺激し、自然と言葉があふれていきます。

第3回では、子どもたちが地元特産のゆずの香りを深く味わい、感性が刺激され、独創的な作品が多く生まれました。

小学生がゆずの香りから絵本の物語を作成!特別授業レポート

ではここで、第3回のイベントの特別授業の様子をご紹介します。

今回、特別授業に参加したのは、高知県高知市立義務教育学校「土佐山学舎」の小学校4年生、計18名。セントマティックは、土佐山学舎のこれまでの先進的な授業内容等に対して高い親和性を感じており、さらに土佐山学舎としても、これまでゆずに関する授業を多く行っており、生徒達もゆずに関する愛情が非常に強いことから、今回の実施に至ったそうです。

●特別授業の流れ

**1.ゆずの香りを感じる

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目を閉じて、深呼吸をしながらゆずの香りを嗅ぎます。

2.感じた内容を書き出す

どんな景色が思い浮かんだか、どこかで嗅いだことはあるか、思い浮かんだことをメモに書き起こします。

3.より具体化した感じた内容を書き出す

どんな季節、どんな天気、色・音・生き物で例えると何が思い浮かんだかをメモに書き起こす。

4.好きな言葉を選んで物語を作る

思い浮かんだ言葉からオリジナルの物語をノートに書きます。

5.発表し合う

生徒同士で自分達が作り上げた自分だけのオリジナルの物語を読み合います。

このような流れで行われ、ゆずの香りをもとに、小学生たちから思い思いの物語が生み出されました。

●参加した小学生の感想

参加した小学生は、特別授業の後、どんな感想を持ったのでしょうか? 2人の生徒の感想をご紹介します。

門田実侑(かどたみゆ)さん(10歳)

「ゆずからたくさんのことを物語にできたし、香りからたくさんのアイディアを出せました。いつもは目で見たことを書いていたけど、香りから色々な発想ができて楽しかったです。」

佐藤颯汰(さとうそうた)さん/9歳

「ゆずについて詳しく知らなかったけど、今日の授業でゆずに興味持ちました。ゆずの香りから感じた内容をもとに物語を作ったのでいつもとは違う内容になって面白かったです。また今日みたいな授業を行ってみたいです。」

●校長先生の感想

また、校長先生の竹崎優子さんは、次のような感想を述べました。

「元々、土佐山学舎としてはICTや先進的な取組を行ってきましたが、今回のゆずの香りによる感性教育を通じ、ICTがクローズアップされる現代において、人として『感情』を持つことはいつの時代にも重要なことであり、機械にはできない人間教育の重要性を改めて感じました。」

また、今回の感性教育を経て、今後、生徒達に期待したいことについては次のように述べています。

「感動するという体験をこどもの頃にいかに多く体験してもらえるかは非常に大切なことだと考えています。今回、嗅覚を通した新たな感動を生徒達が感じ取ってくれたことで、今後も嗅覚、そして五感を通した教育は継続していきたいと思います。」

●子どもの嗅覚を刺激する効果

セントマティックの取締役 渡辺晋さんは、子どもの嗅覚を刺激することの効果について、次のように話しています。

「東京大学東原研究室によると、特に何も意識せずに香りを嗅ぐだけだと右脳のみが働くが、香りを意識して匂いを嗅ぐと左脳も働き、右脳左脳の両脳を活性化することが判明しており、これにより子ども達の創造力も豊かにできるものだと考えています」

今回ご紹介した特別授業の内容は、家庭でも簡単に真似できそうです。ぜひ様々な匂いを嗅いで、子どもの嗅覚と感性を刺激しましょう。

今後も実施されるという、このイベント。子どもの嗅覚と感性を刺激することの効果やメリットが、どんどん判明することが期待されます。この子どもの進化した感性教育は、今後、広がっていくかもしれませんね。

【参考】SCENTMATIC

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