北九州市民は『魚介好き』 年間支出金額が全国1位の魚種とは?

総務省は毎月、「家計調査」として一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約9000世帯の人を対象に、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを調査しています。

併せて、品目ごとの支出金額と購入数量について、家計調査を基に都道府県庁所在市と政令指定都市を合わせた52の都市(東京は「東京都区部」)のランキングを発表し、その地域差を明らかにしています。

水産物に関する支出金額を調べると、北九州市民は全国的に見ても「魚介好き」と言えることが分かりました。

北九州市は「魚介類」への支出金額で7位

今回は、家計調査の「1世帯当たり品目別年間支出金額及び購入数量(二人以上の世帯)」のデータを基にした、2018年~2020年平均の「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」を参考にしました。各都道府県の県庁所在市(東京は「東京都区部」)に、政令指定都市である川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市を加えた52の市・区部について、各品目の支出金額と数量をランク付けしています。

(提供:写真AC)

これを見ると、北九州市は「魚介類」の支出金額で、52市・区部中7位にランクイン。上位を東北勢などが占めるなか、九州では唯一のトップテン入りです。

全国平均7万5070円に対し、北九州市は8万1845円。ちなみに1位は青森県の9万1038円で、唯一の9万円代です。

【「魚介類」の金額ランキング】
全国平均 75,070円
1位 青森市 91,038円
2位 仙台市 89,873円
3位 富山市 85,325円
4位 秋田市 84,524円
5位 札幌市 84,409円
6位 静岡市 82,301円
7位 北九州市 81,845円
8位 大津市 81,470円
9位 横浜市 81,371円
10位 奈良市 80,770円

「生鮮魚介」「鮮魚」で全国2位

「生鮮魚介」と「鮮魚」の金額では、いずれも富山市に次ぐ2位。

生鮮魚介は全国平均が4万2165円のところ、1位の富山市(4万9184円)と約1000円差の4万8155円。鮮魚は全国平均が3万8743円のところ、1位の富山市(4万5720円)と約900円差の4万4826円となっています。

【生鮮魚介(金額)】
全国平均 42,165円
1位 富山市 49,184円
2位 北九州市 48,155円
3位 青森市 47,759円
4位 津市 47,523円
5位 大津市 47,140円
6位 京都市 46,962円
7位 横浜市 46,744円
8位 東京都区部 46,341円
9位 金沢市 46,001円
10位 奈良市 45,987円

【鮮魚(金額)】
全国平均 38,743円
1位 富山市 45,720円
2位 北九州市 44,826円
3位 大津市 44,100円
4位 津市 44,069円
5位 京都市 43,665円
6位 金沢市 43,123円
7位 奈良市 42,848円
8位 横浜市 42,795円
9位 東京都区部 42,354円
10位 堺市 41,670円

「たらこ」は福岡市に次ぐ全国2位

(提供:写真AC)

品目別では、「たらこ」の金額が福岡市に続いて2位。1位の福岡市(5818円)に対し、北九州市は4653円となっています。全国平均は2103円のため、いずれも2倍以上の支出金額となります。

3位の青森市は3505円と、福岡県の2市が飛び抜けて高い金額であることが分かります。

【たらこ(金額)】
全国平均 2,103円
1位 福岡市 5,818円
2位 北九州市 4,653円
3位 青森市 3,505円
4位 秋田市 3,317円
5位 山形市 2,894円
6位 新潟市 2,699円
7位 長野市 2,696円
8位 前橋市 2,661円
9位 水戸市 2,616円
10位 川崎市 2,500円

「いわし」の支出金額は全国1位

魚種別で北九州市が全国1位となったのは「いわし」。全国平均490円に対し、北九州市は1157円と2倍以上の金額です。

(提供:写真AC)

理由は明確ではありませんが、北九州市小倉の郷土料理「ぬかだき」の材料としていわしが用いられていることも要因の一つかもしれません。ちなみに、2位の鳥取にもいわしを使用した郷土料理「いわし団子」があります。

【いわし(金額)】
全国平均 490円
1位 北九州市 1,157円
2位 鳥取市 1,072円
3位 鹿児島市 1,011円
4位 大分市 940円
5位 金沢市 921円
6位 長崎市 870円
7位 青森市 771円
8位 山口市 739円
9位 松江市 737円
10位 津市 702円

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「他の鮮魚」は全国1位、「マグロ」は全国50位

(提供:写真AC)

北九州市は「他の鮮魚」の金額も1位です。これは主要な魚種以外のいわゆる地魚や、流通量が比較的少ない魚種の消費金額が多いものと思われます。

一方で、一般的に大衆魚と言える「マグロ」や「カツオ」については、支出金額・数量ともに全国平均と比べ少なくなっています。「マグロ」は金額・数量ともに52市・区部中50位、「カツオ」の数量は51位でした。全国平均(金額)が5278円なのに対し、北九州市は1384円と約4分の1程度の金額です。

【マグロ(金額)】
全国平均 5,278円
48位 福岡市 1,615円
49位 大分市 1,590円
50位 北九州市 1,384円
51位 松江市 1,291円
52位 長崎市 1,111円

一般的に九州圏ではマグロやカツオよりも青物や白身魚が消費される傾向があるとされていますが、実際に支出金額・数量で比べて見ると一目瞭然です。北九州市に限らず、九州の各都市においては近場で多様な地魚が多く獲られていることが、ランキングに反映されているのかもしれません。

「さしみ盛り合わせ」も金額で全国1位、数量で全国2位

「さしみ盛り合わせ」との項目もあり、北九州市は金額で1位、数量で2位にランクイン。金額は全国平均4585円に対し、7306円。数量は全国平均1497gに対し、2359gとなっています。

北九州市は「生鮮魚介」「鮮魚」でも上位に入っており、「魚介好き」よりも「生の魚介好き」もしくは「刺身好き」といった方が正しいかもしれません。

【さしみ盛り合わせ(金額)】
全国平均 4,585円
1位 北九州市 7,306円
2位 富山市 6,316円
3位 福岡市 6,070円
4位 福井市 5,946円
5位 長崎市 5,896円
6位 浜松市 5,543円
7位 津市 5,541円
8位 鹿児島市 5,452円
9位 長野市 5,424円
10位 横浜市 5,206円

(提供:写真AC)

5位にランクインしている長崎市は、観光PR事業の一環として、長崎の魚を宣伝する「さしみシティ」プロジェクトを展開しています。「刺し身」を観光資源とする、とても画期的な取り組みです。家計調査のランキングを見ると、北九州市も「刺し身好き」をもっとPRしてもいいのかもしれません。

市内にはここ最近でも、海鮮丼を楽しめる「金のどんぶり」の1号店が小倉南区徳力に、2号店が小倉北区・鳥町食道街内にオープンしています。北九州市民の「魚介好き」「鮮魚好き」「刺身好き」をもっとPRして、鮮魚や刺し身を扱う飲食店を応援するような取り組みがあっても面白いですね。

※出典:総務省 家計調査「1世帯当たり品目別年間支出金額及び購入数量(二人以上の世帯)」より2018年~2020年平均の「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」

(北九州ノコト編集部)

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