立憲・維新が野党第一党を争う/岸田内閣「様子見」ムード続く=2021年12月選挙ドットコム・JX通信社合同調査(米重克洋)

選挙ドットコムとJX通信社は、12月11・12日の両日、定例の合同調査を行った。このうち、電話調査では、岸田文雄内閣の支持率は38.6%(前月比マイナス4.4pt)、不支持率は28.0%(同プラス1.9pt)だった。主に10代から50代までの若い世代の回答が多いネット調査では、支持率は24.5%(同マイナス0.1pt)、不支持率は35.6%(同プラス4.0pt)だった。

内閣支持率はほぼ横ばい、態度未定層が未だ多数

電話調査では、岸田内閣の支持率は前月より4pt下落し、不支持率は2pt増えている。支持率は下落したものの、前回調査は衆院選で自民党が実質的に勝利した直後に行われており、水準としては10月の衆院選投開票直前と同程度に戻った格好だ。

内閣支持率推移(電話)

また、約3割は岸田内閣の支持・不支持について「どちらとも言えない」と答えているほか、支持・不支持ともに「どちらかと言えば」と消極的な選択肢を回答している人がそれぞれの半数以上いる。当調査と同様に、重ね聞き(「どちらとも言えない」と回答した人に再度「お気持ちに近いものは」などと聞く手法)の調査手法をとっていないNHK、朝日新聞などの報道各社の調査でも、内閣支持・不支持について「どちらとも言えない」などとする割合は2〜3割と高水準で推移している。こうした点から、多くの有権者は岸田内閣に対する積極的な評価を留保しており、いわば「様子見」ムードがなお続いていると言えそうだ。

立憲と維新の「野党第一党」争いが続く

政党支持率では、衆院選直後の先月から引き続き、立憲と維新の「野党第一党」争いが続いている。電話調査ではどちらも支持率10%を超えており、その差はわずか1.2ptだ。NHKなど他社の調査でも同様に立憲と維新が競り合う傾向はほぼ共通しており、読売新聞やJNNなどの調査では既に維新が逆転しているものもある。

2021年12月調査 政党支持率

来年夏に行われる参院選の比例区で、どの政党の候補者に投票したいかを聞いた設問では、自民25.2%、立憲18.3%、維新22.9%などとなった。つまり、支持率ではなく比例投票先として聞くと、既にに維新が「野党第一党」だ。年齢層や性別、岸田内閣の支持不支持に関わらず、概ね2割前後が維新を投票先として挙げているほか、「支持政党なし」とする無党派層でも自民に9pt、立憲に7ptの差をつけて全政党の中で第一党になっている。この傾向はネット調査でも同様だ。

対する立憲は、大きな変化が見られない。無党派層からの比例投票先としては自民(13.9%)を上回る15.4%を集めているが、先の衆院選で課題とされた若年層からの支持には特段回復の兆しはない。泉健太新代表のもとでどのような変化が見られるかが今後の注目点だ。

2021年12月調査 比例区投票先

政権交代の担い手は「立憲」より「維新」

調査では「政権交代の担い手として期待する野党」についても聞いた。結果、維新(電話33.3%、ネット22.5%)、立憲(電話24.3%、ネット7.4%)が多く、国民(電話4.7%、ネット3.7%)が続いた。「わからない」としたのは電話で25.1%、ネットでは57.6%だった。とりわけ若い世代の回答が多いネット調査で、野党への期待感や関心度合いの弱さが目立つ結果となっている。

電話調査の結果から内訳を見ると、維新はその支持層のほか、自民支持層、無党派層からも期待するとの回答を集めている。また、立憲支持層でもうち2割弱が「維新」を選んでいる。年齢層別で見ると、政党支持率と同様、50代以下では「維新」とする回答が「立憲」とする回答の概ね2倍程度ある一方で、60代以上では両者が拮抗する結果となった。

政権交代の担い手野党

18歳以下への10万円給付「全額を現金」7割超

個別の具体的な政策に対する考えも聞いた。

18歳以下への10万円給付について「全額を現金で給付するべき」とする割合が電話・ネットともに6割を超え、クーポンを使った給付(現金とクーポンの併用、クーポンのみ)を支持する割合は合わせても1割に満たない。こうした世論を反映してか、岸田内閣は自治体の現金給付をなし崩し的に容認する立場に転換した。

国会議員の「文通費」の使い道については電話・ネットともに8割以上が「すべて公開すべき」とした。また、新型コロナウイルスの変異種・オミクロン株をめぐる水際対策の厳格化については、電話で約7割、ネットで約6割が「評価する」とした。世論が引き続き、コロナ対策で厳しい感染対策を支持しやすい傾向が見てとれる。

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