フォードを走らせるモーターベースがダン・カミッシュを起用。NAPAが新パートナーに/BTCC

 名門チーム・ダイナミクス所属時代にはタイトルコンテンダーとして活躍しながら、2021年は散発的な参戦プログラムに留まっていたダン・カミッシュが、来季2022年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権に向け新天地でのフルタイムシートを獲得。新たにNAPAオートパーツの支援を受け、NAPAレーシングUKのエントリー名へと改称するモーターベース・パフォーマンスに加入し、フォード・フォーカスSTを走らせることがアナウンスされた。

 2019年シーズン最終戦ブランズハッチでのブレーキトラブルにより、自身初のドライバーズタイトル獲得が夢と散った劇的な結末を含め、2年連続でランキングトップ3を記録していたカミッシュだが、2021年はふたたびポルシェ・カレラカップGBに本腰を入れ、新記録となる3度目のチャンピオンを獲得した。

 そのカミッシュはかつてのホンダ系ファクトリーチームを離脱後、2021年開幕戦で急きょ、BTCレーシングのピンチヒッターとしてTOCA共通エンジン搭載のFK8型ホンダ・シビック・タイプRをドライブ。いきなりの表彰台を獲得する活躍を演じて見せた。

 一方、フォード陣営の代表格として長年BTCCを戦ってきたモーターベースは2021年に体制変更を実施し、元F1ドライバーのマーク・ブランデル率いるMBモータースポーツがジョイントする形で、ジェイク・ヒル、オリー・ジャクソンの2台がMBモータースポーツ・アクセラレーテッド・バイ・ブルースクエアとして参戦。

 残る2台をモーターベース・パフォーマンス名義のレーシング・ウィズ・ウェラ&フォトン・グループとし、サム・オズボーンやアンディ・ニート、ジェシカ・ホーキンスらにマシンを託してきた。

 すでに来季も32台のTBL(TOCA BTCCライセンス/シリーズ参戦枠)申請が明らかとなったBTCCだが、そのうちNAPAレーシングUKのエントリー名を持つ2台のフォード・フォーカスSTの1台を、カミッシュがドライブすることが決まった。

2021年は2台がMB Motorsport accelerated by Blue Square(MBモータースポーツ・アクセラレーテッド・バイ・ブルースクエア)として、残る2台はRacing with Wera&Photon Group(レーシング・ウィズ・ウェラ&フォトン・グループ)としてエントリーした
2021年開幕戦スラクストンではBTC Racing(BTCレーシング)のFK8型ホンダ・シビック・タイプRをドライブしたダン・カミッシュ。レース2で2位表彰台を獲得した

■カミッシュに高い期待を寄せるピート代表

「2022年のBTCCシーズンに先駆け、こうしてNAPAレーシングUKに加入することができて本当にうれしい。チームオーナーであるピート・オズボーンに初めて会ったときから、このプログラムに参加したいという意欲が沸いたんだ」と、新たな契約締結の喜びを語ったカミッシュ。

「チームと充実した時間を過ごした後、これが関係者全員にとって非常にエキサイティングな時間になることは明らかだ。誰もがチームに最高のチャンスをもたらすため一生懸命取り組んでいるからね」と続けるカミッシュ。

「舞台裏で行われている作業を見ると、自信で満たされていく感覚だ。NAPAを代表することも誇りに思うし、今後も長く成功するパートナーシップの序章に過ぎないと確信している。僕にとってもBTCCの新しい章の始まりであり、再開するのが待ち切れない気分だよ」

 そのカミッシュを迎え入れた、サム・オズボーンの父でもある代表のピートは、彼の加入が「2022年のチーム計画の重要な要素だった」と歓迎の意を示した。

「来季は多くの点で我々にとって節目となり、特定のタイプのドライバーが必要であると認識していた。しかし才能に溢れたスピードのあるドライバーなど、早々いるものではないんだ。だが、ダン(・カミッシュ)であれば、彼の性格とともにその才能と経験に本当に信頼し、頼ることができる」と高い期待を寄せる。

「ダンは2021年に、ポルシェ・カレラカップGBでふたたび本物の成功を手にした。しかしBTCCでは“未完のビジネス”があることも確かだ。でも今は適切な場所にいて、北米ではアレクサンダー・ロッシやチェイス・エリオットらを支援してきた世界の巨人とともに、自分たちに何が期待できるかを正確に知っている」

「ドライバーとチームとして我々の目標は同じであり、トラックの内外で成功を期待し、一緒に『旅を楽しむ』ことを目指している。現在、チーム全体が興奮に満ちており、モーターベースの将来について本当に明るい見通しだよ」

シーズンエンドGARAでは、ポルシェ・カレラカップGBのチャンピオンとして登壇した
「自動車部品業界におけるアメリカの巨人を迎えられて光栄だ」と代表のピート・オズボーン

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