「長いキャリアの中でも、1度は挑戦してみたい」
DeNAの山崎康晃投手は17日、横浜スタジアム内で契約更改交渉を行い、1年契約を結んだ。プロ7年目の今季、国内FA権を取得したが、行使せずに残留。2019年オフから球団に伝えてきたメジャー挑戦願望については「強くあります」と改めて明言した。
「長いキャリアの中でも、1度は挑戦してみたい。いろんな方々に背中を押してもらえるようなプレーができるよう、頑張っていきたいです。いろいろな国際大会で、格上の打者と対戦することで成長させてもらってきた」。交渉後の会見で、山崎は偽らざる本音を口にした。
亜大3年時の2013年に日米大学野球選手権の日本代表に選出され、5試合中4試合に登板して計6イニングを無失点に抑えて最優秀投手賞を獲得。メジャーを意識するように。プロ入り後も主要な国際大会(2015年と2019年のプレミア12、2017年のアジアプロ野球チャンピオンシップ、2018年の日米野球、今夏の東京五輪)で、計15試合15イニング無失点と結果を残している。
今年10月に亡くなった母ベリアさんはフィリピン出身。プロ1年目の2015年のオフには「フィリピンにいる祖母と英語でコミュニケーションを取りたい」という理由で、米ロサンゼルスに3週間滞在し、トレーニングの傍ら語学研修に励んだほど、国際感覚は豊かだ。
「横浜のために来年は優勝する。その先に自分の夢もあります」
もっとも、昨年は防御率5.68と低迷し、シーズン途中に守護神の座を三嶋へ明け渡した。セットアッパーとしてスタートした今季は、三嶋の不調を受けてクローザーに戻った時期もあったが、9月下旬には3試合連続でセーブ機会に失敗。60試合3勝2敗27ホールド1セーブ、防御率3.27に終わり、チームも最下位。「たくさんのファンを裏切ってしまった」と責任を痛感している。
山崎はプロ入り後、主にストレートと落差の大きいツーシームの2球種だけで、最多セーブのタイトルを2度獲得するなど日本を代表するクローザーに君臨してきた。しかし、最近はスライダー、チェンジアップなどの習得に活路を求めて試行錯誤。今季もスライダーを多投した試合があった。メジャーで活躍するためにも、投球の幅を広げることが必要になりそうだ。
来季はまず守護神の座を奪回することが第一目標。「クローザーに戻って、満員の横浜スタジアムでヤスアキジャンプで締めたい」と誓い「横浜のために来年は優勝する。その先に自分の夢もあります」と語った。通算200セーブまであと30として迎える来季は、山崎の野球人生にとってターニングポイントとなる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)