【MLB】「46本も打っていると難しい」 元メジャー二塁手を困らせる大谷翔平の凄さ

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

岩村明憲氏「最長弾には度肝を抜かれた」

エンゼルスの大谷翔平投手はメジャー4年目の今季、9勝&46本塁打と投打でフル回転し、日本人初の満票MVPに輝いた。Full-Count編集部では、大谷の活躍をテレビ解説者として見守ってきたプロ野球OBにインタビュー。今回はレイズ時代の2008年にはワールドシリーズ出場を果たし、現在はBCリーグ・福島レッドホープスで監督を務める岩村明憲氏の視点から「打者・大谷」を映像と合わせて振り返る。

【実際の映像】岩村氏が本拠地としたトロピカーナフィールドで放った驚愕のキャットウォーク弾

今年最も印象に残っている打席を聞かれた岩村氏は、「ホームランが1桁とか10本くらいだと決めやすいんですけど、46本も打っているとなかなか難しいんですよ」と困った様子で苦笑いを浮かべる。

「センター方向へ打った自己最長弾には度肝を抜かれたし、自分がホーム球場として使っていたトロピカーナフィールドでキャットウォークに当てた一発だと、実際の凄さが分かりますし」

自己最長弾とは6月8日(日本時間9日)の本拠地・ロイヤルズ戦で放った飛距離470フィート(約143.3メートル)の超特大アーチ。初回無死一塁、左腕・バビクから放った17号先制2ランには、大谷自身も驚いた表情を浮かべていたのが印象的だった。

レイズ本拠地・トロピカーナフィールドの天井ほど近くにあるキャットウォークと呼ばれる通路までかっ飛ばした一発は、メジャー初となる先頭打者アーチ。6月25日(同26日)に右腕・キトレッジの3球目チェンジアップを捉えた打球は右翼後方にある電光掲示板を越え、さらに後方にあるキャットウォークに飛び込む453フィート(約138メートル)弾だった。

「松井さんの記録を抜いてHR王争いをしたのは凄いこと」

岩村氏は2007年にデビルレイズ(現レイズ)に入団し、メジャーで4年間プレー。2年目の2008年には正二塁手としてワールドシリーズ出場に大きく貢献した。メジャーの厳しい戦いに身を置いていたからこそ、46本塁打という事実に驚愕する。

「やっぱり松井(秀喜)さんの記録(2004年の31本)を抜いて46本まで打って、ホームラン王争いをしたっていうことは凄いことですよ。日本人として誇らしい気持ちです。僕は日本でも46本も打ったことがない(シーズン最多は2004年の44本)のに、投げながらですから。バッターがピッチャーをやっているのか、ピッチャーがバッターをやっているのか、どっちがどっちか分からないくらいのことをやってのけた1年でしたね」

メジャー移籍当初は米国でも二刀流に懐疑的な声が聞かれたが、想像を超える活躍。岩村氏は「僕にとって大谷選手の今年一番は、オールスターでも二刀流を認めさせたこと。ルールを変えてしまったのだから、本当に凄いことですよ」と感心しきりだ。

来季以降の打者・大谷について「目標は青天井。本人はチームの勝ちに繋がる打席を一つでも増やしたいでしょうから、例えば500打席あればホームラン500本を目標としても不可能ではない。これまでみんなの想像を超えてきましたから、そういうところを目指していてもおかしくないですよ」と大胆に予想する。来季はどんな歴史を生み出すのか、今から待ちきれない。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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