人事のプロが教える「就活の裏の本当のこと」 第5回 ガクチカが「書けない問題」を解決する

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「学生時代に力を入れたことは何ですか?」エントリーシートや採用面接で聞かれる定番の質問、通称「ガクチカ」です。「新型コロナのせいで、書くことがない」と悩む就活生が多く、昨年からよく相談を受けます。

サークル活動、バイト、留学など、ガクチカで書こうと思ってことが、コロナ自粛で無い。授業はオンライン、サークル活動も制限、アルバイトも「緊急事態による制限」などの影響で求人が激減。ままならない状況で2年過ぎてしまった、というのが実情のようです。

ご安心ください。就活生が考えるガクチカの内容、実は採用する企業側ではあまり重要視していないのです。

ガクチカはサークルやバイト活動ではない

企業側が求めるのは「人柄」(93.1%)、「自社/その企業への熱意」(78.3%)、「今後の可能性」(68.9%)がトップ3。「アルバイト経験」(26.3%)、「所属クラブ・サークル」(7.7%)の割合は少ないのです。※

※出典:「就職活動・採用活動に関する振り返り調査 データ集(2021年卒)」リクルート 就職みらい研究所

企業はあくまで学生の人柄や可能性を知りたいと考えていて、サークルやアルバイトといった経験そのものを聞きたいわけではないのです。

アルバイトやサークル活動ができなかったことを嘆くより、自己分析や他社ヒヤリングを通して、あなたの資質を知ること。エントリー先の企業がどんな人材を採用したいのか仮説をたて、自分の資質とエピソードを組み立てることにまず集中すればいいのです。

そのコツはこの連載の

1回目、2回目、3回目に書いたので参考にしていただければ対策はばっちりでしょう。

「学業で取り込んだこと」をガクチカのエピソードにする

そうは言っても、自己PRにつながるエピソードが少ないと嘆く人は多いでしょう。その場合は、サークル活動やアルバイト以外で学生時代に一番力を入れてきたことに着目すればいいのです。そう「学業」です。

学業と言っても、試験の成績ではありません。成績は過去の結果ですし、成績表をみれば分かります。キーになるのは、「取り組み姿勢」「取り組んだ施策」「その意図」です。まずは書き出してみましょう。個人で取り組んだレポート、テスト共同研究、卒研/卒論すべてです。

その上で、「なぜこの科目を選択したのか(選択科目)」「この科目に興味があったのか/得意なのか(必須・選択)」「取り組んでいる時、気分が上がった事、落ちた事、乗り越えた事」「成績結果から気付いたこと/学んだこと」を一覧で書き出してみましょう。オンライン中心であったからこそ感じた不安や工夫が必ずあったはずです。

うまくいったこと/よかったこと等のポジティブ面だけでなく、失敗した/苦手だった面も書き出し、それをどんな姿勢や工夫で乗り越えたかまで書くことがコツ。この一覧をみることで、大学時代の学習したプロセスを通して、ガクチカに書いてPRできるあなた独自のエピソードが浮き出てきます。例えば

・3年生まで苦手だった必須科目をどう工夫して乗り越えたのか
・最初苦手だったゼミのメンバーとの関係をどんな工夫や経験で乗り越えたのか
・オンラインゆえ、お手本がない中、学習上、どんな工夫をしたか
・コロナだった故、学んだこと、工夫したことはどんなことがあるか

など

コツは、ちゃんと全部書き出し、プリントアウトすることです。

全体を俯瞰すると自分の活動が線になる

大学で履修する科目は多岐に亘りますが、印刷すれば「全体を俯瞰すること」が可能になります。すると、「あれ、俺はこの局面、同じパターンでドツボにハマっているな」「先輩やYouTubeでみたマコナリ社長の一言で救われ、学んだことを素直にやったら乗り越えたな」など、経験一つひとつの点が線でつながり、エピソードとして浮かび上がってくるのです。

実際、コロナに関係なく、この方法で大学での学習プロセスを振り返ってガクチカや自己PRを考えている就活生は極少数で、あまり重要視していないので、面接官にとっても新鮮で記憶と記録に残りやすいもの有利です。

大学時代に「リアル」に学び、乗り越えてきた経験なので、作文を暗記したガクチカと異なり、自分の言葉で嘘偽りなく、細かい情景も浮かんで話しやすいことも差別化につながるのでお勧めします。

松本利明

まつもととしあき