2021長崎スポーツこの1年<2> インハイ開催、国体は中止 アスリート「躍動と試練」

インターハイで2大会連続Vを果たしたソフトボール男子の大村工=福井県敦賀市総合運動公園野球場

 昨年、コロナ禍で史上初めて中止となった全国高校総合体育大会(インターハイ)。2年ぶりの開催となった今年は7月25日から8月24日にかけて北信越5県を主会場に30競技が行われ、県勢の好成績が相次いだ。
 ソフトボール女子の長崎商、セーリング女子の420級とコンバインドの長崎工はいずれも初優勝。ソフトボール男子は大村工が2大会連続で頂点に立った。重量挙げ男子61キロ級の酒井順一郎(諫早農)と合わせて金メダル5個を手にした。
 テニス男子個人ダブルスの今里翔吾・鳥井俊作組(海星)は県勢初となる3位入賞。バドミントン男子団体の瓊浦も3位に入るなど、県勢は16個のメダルを獲得した。8強以上は36種目で、直近の2019年大会(優勝4、メダル12、8強以上31)を上回る活躍だった。
 大会は感染者が急増する中、無観客で実施され、多数の競技で事前検査が徹底された。出場辞退が出るなど無事とは言えないまでも、対策が功を奏して高校スポーツ最大のイベントは“完走”。競技を終えた選手、指導者らは真っ先に運営への感謝を口にした。
 一方、三重県で開催予定だった国体は昨年の鹿児島に続いて中止に。同じく全国障害者スポーツ大会は19年の茨城が台風の影響で中止されていたため、3年連続で開催できなかった。
 三重県によると、県内の新規感染者が8月に急拡大。無観客開催の方針を示した17日は200人台、知事が中止の方針を表明した21日は400人台まで膨らんだ。
 折しも、九州地区は21、22日に本大会出場権を懸けたブロック大会を開催中。突然の中止表明に動揺しながらも、選手たちは諦めずに競技を続けた。だが、25日には中止が正式決定。県勢は計19競技41種目の代表権をつかんでいたが、無情の結末となった。
 ある競技関係者が「全国選手権よりも国体」と言うように、この大会を最大の目標とする成年選手ら多くの競技者にとって“輝く場”が失われた。結果的にコロナは9月以降落ち着き、国体も1カ月程度の延期や規模縮小が想定されていれば、全面的な中止を避けられた可能性はある。「アスリート第一」の実現には、より一層の工夫、熱意が必要になりそうだ。


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