盗塁を成功させる“極意”とは? 歴代7位の415盗塁誇る韋駄天が注視する投手の動き

盗塁王を4度獲得した元近鉄・大石大二郎さんが語る極意とは?

塁上での雰囲気づくりで相手バッテリーと駆け引き

盗塁を成功させるために必要なものとは? 盗塁王のタイトルを4度獲得した元近鉄・大石大二郎さんが“塁を盗む”極意を明かす。「足にもスランプがある」と考えていたからこそ、現役時代は成功の確率を高める方法を模索。少年野球や高校野球の選手にもヒントとなるはずだ。

わずか数秒で試合の流れを変える。盗塁は時に勝敗を決めることもある。大石さんは、その足で何度もチームに勝利をもたらした。盗塁王に4度輝き、プロ野球歴代7位の通算415盗塁(近鉄の球団記録)を記録している。

盗塁の結果を大きく左右するのがスタート。出塁すると、相手投手の足や手元など特定の場所に集中するのではなく、体全体を視界にとらえていた。

現役時代は近鉄で活躍した大石大二郎さん【写真:間淳】

スランプの時は塁上での雰囲気に工夫

「盗塁する時は、投手の体のどこかが動いたらスタートを切ります。投手によって違いはありますが、投球する時は肩、膝、腰など、どこかが動きます。その瞬間がスタートの合図でした」。塁上はもちろん、ベンチにいる時も相手投手の投球フォームを観察していた。

野球界では「打撃は水物」なのに対し、「足にスランプはない」と言われることがある。だが、この言葉に否定的だ。疲労や精神面は盗塁に影響するため「疲れがたまって反応が悪くなったり、スピードに乗れなかったりする時はあります。失敗が続けばスタートを切りにくくなるので、短期間のスランプになり得ます。盗塁はコンマ何秒の勝負。普段と感覚が違えば、スランプと感じる時もありました」と振り返る。

スランプの時は相手バッテリーとの駆け引きを大切にした。「盗塁すると相手に思わせて走らない。逆に気配を消してスタートを切る。雰囲気のつくり方を工夫していました」。盗塁は足の速さだけではないと話す大石さんの極意は、ジュニア世代が盗塁技術を一段高めるきっかけになりそうだ。(間淳 / Jun Aida)

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