老舗の精肉店閉店、焼き肉店が受け継ぐ 藤沢駅北口

「地域に喜ばれる店を目指す」と、店名の由来を語る吉田さん=藤沢市

 藤沢駅北口・銀座通りの商店街の入り口に「まちの精肉店」を掲げる「肉屋 喜平(きへい)」が12月3日に開店した。80年以上続いた老舗精肉店が閉店したことを受け、藤沢市内で焼き肉店「ヨンドン」など6店舗を経営する吉田亘良社長(48)が店舗を新装し継承。これまでに培った仕入れのルートや精肉技術を生かし、「良いものを安く」をモットーにした店づくりを進めている。

 「店名には地域の人に喜ばれる店を目指すとの思いを込めた。人と人とのつながりを大切にした『まちの肉屋』を受け継ぐ」。延べ床面積約43平方メートルほどのこぢんまりとした店舗の所々にヒノキをあしらい、親しみやすく、温かみのある空間をつくり出した。

 銀座通りの商店街「サム・ジュ・モール」には鮮魚店や飲食店などの小売店が立ち並ぶ。吉田さんが老舗精肉店が閉店を決めたことを知ったのは今春。高校時代から親しんできた銀座通りに店を構えたいと考えていたこともあり、「まちの精肉店」の継承に名乗りを上げた。

 焼き肉のほか韓国宮廷料理、カフェなどさまざまな業態の飲食店経営を手掛けてきたが、小売店経営は初めて。しかも、周辺には大型商業施設が立地し、「野球に例えるなら、プロ野球の強豪チームに中学の野球部員が飛び込むようなもの。いばらの道が待っていると覚悟している」。吉田さんは表情を引き締める。

 「良いものを安く」という経営理念は飲食店と通底する。ヨンドンでは和牛の雌を一頭買いして良質な肉を廉価で提供していることで知られる。

 精肉店では、牛肉や豚肉をはじめ、藤沢産の赤鶏を使った商品を提供。焼き肉用の盛り合わせやメンチカツ、鶏の唐揚げといった精肉店ならではの手作り総菜、ヨンドンの人気メニューのキムチやカクテキ、チジミなどの韓国総菜も取りそろえる。

 「精肉にはこまやかな心配り、奥ゆかしさが求められる」と吉田さん。まちに溶け込むことを目指し、1年間は同店店主の仕事に注力する考えだ。

 「肉屋 喜平」は水曜定休。電話0466(23)2911。

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