森良太×渡辺諒 - 盟友同士である、真逆の音楽家たち。

その場でそのまま出せるという素直な所があるから話していて寧ろ、気持ちが清々しいなといつも感じます(渡辺)

――12月22日に新宿ロフトで開催します「DREAM MATCH 2022」公演に出演するにあたって2人の馴れ初めや、思い出話等を伺わせてください。まず2人の出会いはどこだったのでしょうか?

渡辺:

Brian the Sunの2015年にあった『シュレディンガーの猫 』のツアーだったかな。ANTENAが仙台公演と高松公演の2箇所に入れてもらったのが、ちゃんと話した最初の絡みでした。その時に「白い部屋」って曲がめっちゃいいねと話をしたぐらいで終わったんですけど、その後仙台公演があってその時にすごい仲良くなって。

――対面した時の第一印象は覚えていますか?

渡辺:

初めてBrian the Sunを生で見たのは新宿ロフトで開催していた「平成デモクラシー」という公演でした。その時に俺らも出演していて、トリがBrian the Sunだったんです。ライブ中、ずっとお客さんに怒っていて。なんでこんなやばい奴らを呼んだのだろうって思っていました(笑)。それが最初の印象だったのでツアーに誘われた時も大丈夫かな、ちょっと気難しいタイプの子なのかなと思っていました。でも話したら全然そんな事なくて。理由がある事に対しての怒りだったり不安だったりを、その場でそのまま出せるという素直な所があるから話していて寧ろ、気持ちが清々しいなといつも感じます。

――森さんは渡辺さんの第一印象はどうでしょうか?

森:

最初から一貫して印象は変わってないですけど、謎が多いなと思っていて。話をしたら心の底から本音で話をしてくれて、仲良くしてくれているのですが、私生活が未だに見えないというか。普段、何しているのだろうというのが全く想像つかない。

――2015年に出会い、段々と距離が縮まっていく事になったきっかけはなんだったのでしょうか。

渡辺:

最初は『シュレディンガーの猫』のツアーで仙台に呼んでもらって。その時に良太も似たような環境で、「今までの環境とは違う所で活動しているんだよね」って話をしてから仲良くなって。その後、弾き語り公演も呼んでくれて、その時は単身で大阪に乗り込んで、すごく仲良くなったのがきっかけでした。

底知れないですね。掴みどころがない。いい意味で。(森)

――お互い感じるバンドの魅力を聞かせてください。

森:

渡辺諒は底知れない人間なので、結構、極端に方向転換している事も分かるし、でもサウンド自体は現代的なサウンドを取り入れているんですけど、歌詞の中心にある事は人間の普遍的な事であったり、「人ってそうだよね」みたいな事を改めて気づかせてくれる歌詞の優しさも魅力だと思うし、それでいて毎回どういうものを仕掛けてくれるか分からないトリッキーさがある。底知れないですね。掴みどころがない。いい意味で。

渡辺:

さっき良太が俺に対して不思議な人って言っていましたけど、逆に良太は裏表が全く無いので、そこに惹かれているのだろうし、俺の中では曲云々じゃなくて、人前で酔っ払った時に潰れた姿を見せるってNGな事なんです。それは自分の弱みを見せている事にもなるから。酔っ払った自分が見せられる人間は俺が出来ない分惹かれるんですけど(笑)。

森:

そう言ってくれているけどだらしないだけ(笑)。

渡辺:

楽曲で思っている事を素直に表現して、頭の中でいつも色々なことを考えているから、考えている事を考えたまま歌詞に出してくれるのを見た時に不思議だなと思う。謎解きゲームのひとつとして、結局この人何を言いたいんだろうって探りながら見ているし、文学的な歌詞なんだけど、ライブは人間的な所がある。歌詞は難解で何を言いたいんだろうって、謎解きゲームなんだけど、ライブを見たら人間的な普遍さがある。自分にないものを出しているから楽しいんだと思う。

――その印象は出会った時から変わらないですか?

渡辺:

変わってないですね。 ――森さんはどうですか?

森:

そんな事を思ってくれているんだなと心の中でメモを取ってました(笑)。出会った時のANTENAは、ギターロックサウンドだったんですよ。ギターロックサウンドのANTENAもめっちゃ好きだし、ある時、ガーンとシフト変更した時があって。

渡辺:

『天国なんて全部嘘さ』のあたりかな。

森:

新しくこういう事をやろうと思うんだよって音源を送ってきてもらって、車でずっと聴いていたんですけど、やる事が変わっても芯は一緒ってよく言われるけど、それ聴いた時に真ん中にある根幹ごとそっちにシフトしたんだなと思って、それはそれでめちゃくちゃ正直じゃないですか。諒くんは断ち切る力が強くて。過去やってきた事とか、一旦捨てれるんです。それってけして過去を否定しているんじゃなくて、次に潔く行くための大事なステップ。それを人は中々出来ないから、思い切りのいい所ってすごいなと思います。

――その話を聞いてどうでしょうか。

渡辺:

そうなのかなって(笑)。良太と話していて、楽曲だったりライブのやり方だったり、お互いの表面的な間逆な所は惹かれ合うというのはさっき言っていて思ってる事ですが、根本的な死生観は多分似ている所も多くて。根本が似ているから、表現は何をやっていようがOKみたいな。

自分達がどう見えているかはめちゃくちゃ気になる所ですね(森)

――今回、両者のバンド編成でツーマンの話を頂いた時はどう感じましたか?

渡辺:

俺らなんだ? って。森良太バンド編成になってから、Brian the Sunの時とはもっと振り切った良太だと思うので、Brian the SunとANTENAで対バンしていた時とは楽曲性だったりと、より差が出るのかな。楽曲面で言うと、対(つい)になる所になるかなと思っていたんですけど、根本が同じだから、ライブを見ている人たちは、表現が違う同じ考え方をしている人達が、一緒にライブをやっても全部楽しめるのかなと思っているので、そういう時に化学反応が生まれるから、面白い日になりそうだなと思いました。

――森さんはどうでしょうか。

森:

ここ数年はANTENAもここからもうひと段階ブーストするのか、形を変えるのかみたいな時期なのかなと勝手に思っていて。虎視眈々と自分たちのタイミングを見計らっているバンドや、このままじゃ退屈だなと思っているのか、変わりたいと思っているのか分からないですけど、そういう雰囲気をANETNAから感じるというか、ずっと見ていてもずっと同じ事をやっている訳ではないので転がりながら形を変えていく人たちと一緒にやりたいと思うし、そういう人たちを見ているお客さんにとって、自分達がどう見えているかはめちゃくちゃ気になる所ですね。

――両者は、インディーズ時代の時から新宿ロフトに要所要所でよく出演してもらっていたので、そういった意味でも化学反応がありそうですね。

森:

会場の持っているパワーがあるので、ほかのライブハウスでは上手くいくのになって事があまり上手くいかなかったり、逆にほかのライブハウスで手が届かない所に手が届いいたり。ロフトはライブをするって事でプロフェッショナルの人が集まっているのでやりやすいんですけど、それが逆境に対して挑んでいくというスタンスでいくと、あまりにも整いすぎていて、そうそう音楽で勝負するんだったなという気持ちにさせてくれる。

渡辺:

ちょっと変わっているよね。雰囲気が。いつも出来ていたのに、嫌な感じじゃない違和感があって。それは何年経っても変わらないですね。

バンド編成となると強調というか、調和しようとしてやっている事なので、その割にはとんがった音楽になっていますけど、そういうふうに考えてやっています(森)

――バンド編成もやりつつ、個人でも活動されますけど、その違いを聞かせてください。

森:

バンドって人とやる事なので協調性が必要。協調性という言葉を聞くと人って合わせる事なのかもしれないけど、個性のとんがりを違う所に合わせたら丸くなっていくみたいな、それを社会性みたいな事を持ってやっているのがバンドで、ソロは完全に個人。自宅にいる時の自分は弾き語りで、人と関わる事をする時はバンドで。弾き語りはよりプライベートだし、バンド編成となると強調というか、調和しようとしてやっている事なので、その割にはとんがった音楽になっていますけど、そういうふうに考えてやっています。

渡辺:

俺も意識的には全く同じように思っているんですけど、いざやってみるとそんなに変わらない。バンドも家の中みたいな、甘える所は甘えるし、だらしなくする時はだらしなくするし、しっかりしろと言えばしっかりするし。うちのバンドメンバーはそういう感じなので、いざそこの場にいってみるとそんなに変わらない。どっちも居心地がいいし、バンドメンバーといても1人でいる時みたいな寂しさを感じる時もあるし、1人でいてもみんながいる感じの楽しさを感じる事もあるし。

――当日はどんな思いや気持ちでライブに挑みますか?

渡辺:

今から22日のために何か特別な事をやりますというよりかは、その場その場でやる事はいつもとあまり変わらないと思うので、個人的な思いや嬉しさはあるけど、バンドとしてのひとつの場所としていつもそこまで上下するわけではないです。それは個人として「今日楽しみだな」と思っているものは滲み出ると思うので、その瞬間の自分がどういう姿になっているのかは俺も楽しみにしています。

森:

この形態で対バンするのは初めてなので、初めて対バンする気持ちでやろうと思います。

個人的には挑戦とか、知らなかったものに触れてみるとか、好奇心に素直に従っていけるようになればいいなと思います(渡辺)

――2月22日に共演をし、2022年も色々とご予定があるかと思いますが、話せる範囲で教えてください。

渡辺:

2022年をなるべく早い段階から動き出せるようにして、個の中で自分のやりたい事だったり、信じているものを貫いた方がいいなと感じていた中で、自分自身に矢印を向ける事が多かったので、自分に矢印を向けた中でこれやってみたいあれやってみたいというのが出てきたので、個人的には挑戦とか、知らなかったものに触れてみるとか、好奇心に素直に従っていけるようになればいいなと思います。

――森さんは?

森:

決まっている事はあるんですけど、タイミング的に今は言えないことがあって。

渡辺:

俺は知っていますけどね(笑)。

森:それは楽しみにしてくださいという事と、ライブはやるので良いブッキングに呼んでください。

――最後に出演の意気込みを聞かせてください。

渡辺:

俺らANTENAは、今回の森良太バンド編成の最初2マンで呼んでもらったり、一昨年は「SUNSUNSUN」という企画を大阪でやっていた時も第1回目でANTENAは呼んでもらっている。第1回目というこけら落としを任せられる事が近年多かったので、そういう事を考えているとこれからの森良太バンド編成が続いていくような良い先駆けになるようにしたいなと思います。

――どうですか?

森:ぶっとばしてやるぜ(笑)。

© 有限会社ルーフトップ