子供、家族、愛情 当たり前の日常を生きる人々の思いが交錯する群像劇 「三度目の、正直」公開決定

第34回東京国際映画祭コンペティション部門で上映された、野原位監督作「三度目の、正直」が、2022年1月22日より劇場公開されることが決まった。

「三度目の、正直」は、パートナー宗一朗の連れ子・蘭が留学し、言い知れぬ寂しさを抱えていた月島春たちを描いた群像劇。公園で記憶を失くした青年と出会った春。過去に流産も経験している春は、その青年を神からの贈り物と信じ、今度こそ彼を自らの近くで育てたいと願う。一方、春の弟・毅は音楽活動を続けている。その妻・美香子は精神の不調を抱え、心療内科医である宗一朗の診察を受けながら、4歳の子を育て、毅の創作を献身的に支えていた。すれ違う優しさとわだかまる不安。それぞれに「家族」のかたちを求めて生きる彼らだったが、正常と狂気の境目が緩やかに崩れ始める。

東京国際映画祭で本作を鑑賞した「偶然と想像」の濱口竜介監督は、映画祭のデイリーペーパー(10/31付)で、「主演の川村りらさんの感情に心を鷲掴みにされてしまい、日本でここまでジョン・カサヴェテスに近い作品を完成させたことに嫉妬を禁じ得ませんでした。」と賛辞を贈っている。

また野原監督が共同脚本を務めた「スパイの妻」の監督、黒沢清は、「地域コミュニティがとうにマボロシと化した地方都市で、普通の人々がただ普通に生きようとして直面する凄まじい苦悩と危機を、この映画は淡々と暴き立てる。何かが確実に崩壊している。しかし同時に、希望もそこにある。」とコメントを寄せている。

【作品情報】
三度目の、正直
2022年1月22日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:ブライトホース・フィルム
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