生理の乱れ ワクチンが原因? 接種によるストレスの可能性 産婦人科医の長崎県医師会長

 新型コロナウイルスワクチン接種後に「生理(月経)の周期が乱れた」。長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」に、長崎市内の40代女性からワクチンの副反応を心配する投稿が届いた。厚生労働省はホームページで米ファイザーやモデルナのメッセンジャーRNAワクチンが「生殖器に直接作用して不正性器出血や月経不順を起こすことはない」と説明。一方で副反応のストレスや発熱で月経周期の乱れや、不正性器出血が起こる可能性は「考えられる」とする。長崎県医師会の森崎正幸会長(産婦人科医)に生理とワクチン接種の関係を聞いた。

 女性は7月に2回目の接種を終え、その際に発熱や倦怠(けんたい)感があり、「ここまでは許容範囲だった」。ところが、9月に生理が1週間遅れ、さらにその後、1カ月もたたず生理が始まった。「これまで妊娠期以外1度も周期が乱れたことのない私にとって驚愕(きょうがく)の出来事だった」と振り返る。

 当初は更年期や過労などを疑ったが、周りの複数の人も周期が乱れたり、出血量が増えたりしたことから「ワクチンが影響しているのではないか」と考えるようになった。現在は周期の乱れはなくなったという。

 森崎会長は厚労省の見解同様、「ワクチンの成分そのものが原因ではないと考えられる」と話す。自身が経営するクリニックに生理不順の相談はコロナ禍前から「結構多い」とし、一般的な要因として体重や環境の変化、精神的なストレスを挙げる。その上で「ワクチンを打ったことによるストレスや発熱などの体調不良が主な原因ではないか」との考えを示す。

新型コロナウイルスのワクチン接種と生理の関係について語る森崎会長=長崎市茂里町、県医師会館

 新型コロナに感染した人のうち4人に1人の割合で生理に関する何らかの異常があったという報告を紹介。「感染すると急激に体重が減る人もいるし、発熱、精神的なストレスもある」と要因を推測。「多くは1~2カ月で正常に戻っている」という。

 また生理の間隔について「25~38日という周期は正常。変化についても6日以内なら問題はない」とし、不安な人は「かかりつけの産婦人科医に相談してほしい」と話す。

 女性が投稿の中で「接種したことを少し後悔している」としていたことについては「感染した場合は重症化や死に至る可能性もある。周囲への気配りなど精神的なストレスも相当なものになる。後悔しないでほしいし、できれば3回目も受けてほしい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社