修学旅行で地域課題探求 長総大とJTBが開発 川棚高、ロボット工学など学ぶ

佐藤准教授(右)の講義を受ける川棚高生=長崎市網場町、長崎総合科学大

 長崎市の長崎総合科学大オープンイノベーションセンターと旅行大手JTBは、高校生が大学を「学びの場」にしながら地域課題を探求する初の修学旅行プログラムを共同で開発した。第1弾は16日、東彼川棚町の県立川棚高2年生60人が体験。大学の講義や大学生との意見交換を通して、高校生と大学生が本県の“今と未来”を見つめた。
 プログラムは大学の専門課程の中から、高校生が旅行前から関心のあるテーマへの問いを決め、実地学習や事後学習で検証し、解決策を考える流れ。海洋環境や長崎学など学部横断的な研究や人材を結び付けた6コースを設定した。
 同大が高校生の学習サポートを、JTBが旅行手配を担当する修学旅行プログラムは全国的に珍しく、今後、商品化を目指す。
 川棚高は、新型コロナウイルス禍で県外への修学旅行を断念し、身近な地域の魅力を知ろうと、今回のプログラムに変更。生徒たちは「さかなと海の環境」「長崎の近代化産業のルーツ」などの3グループに分かれて学習した。
 ロボット・人工知能(AI)を担当した佐藤雅紀准教授は、ロボット工学の基礎やコンピューターの成り立ちなど大学1年レベルの講義を実施。川棚高の筒井陽香さん(17)は「とても楽しかった。大学の雰囲気が味わえたし、大学生って、こんな環境で勉強しているんだということが分かった」と話した。

大学生活や目標などを大学生と意見交換する川棚高生たち

 この後、現役大学生との意見交換もあり、高校生たちは入試や大学生活、将来の夢などを質問。同大総合情報学科マネジメント工学コース2年の香月周さん(20)は「高校生がどんなことを考え、悩んでいるか聞いたり、自分の考えを伝えたりしながら、ともに学び成長できる機会になった。これからも高校生との交流機会をつくってみたい」と話した。


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