細麺派58% 太麺派上回る 皿うどん人気投票 食感、味付け、好みに地域差

 長崎県の郷土料理、皿うどん。油揚げした細麺とちゃんぽん麺を使った太麺のどちらが人気? 長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」が、LINEで実施した“人気投票”で、細麺を選択した人は58%に上り、太麺を選んだ42%を上回った。好みに地域差もみられ、おおむね県南部は細麺派、県北部は太麺派が優勢の構図が浮かび上がった。

 アンケートは11月下旬~12月上旬に実施。965人から回答があった。

 細麺派は年代別で40歳代だけ太麺派と拮抗(きっこう)したものの、他の年代では全て優勢という結果に。理由では特有のパリパリ食感を推す声が最も多かった。あんやソースと混ざってしんなりした状態を好意的に評価する意見も根強く、複数の食感を楽しめる点が世代を超えた支持につながったとみられる。「長崎人は細麺と決まっている」との声も相次ぎ、細麺に皿うどんの“王道”イメージを持つ人が一定数いるようだ。

 一方、太麺派からはもちもちした食感や食べ応えへの支持が聞かれ、少し焦げた太麺のおいしさを挙げる意見も。細麺は歯茎に刺さるという声も多数あり、細麺に否定的な層の受け皿になったことがうかがえる。「皿うどんはもともと太麺が始まりのはず」という主張も、少数ながら存在した。

 居住地別で細麺派が過半数を占めた市町は▽長崎▽諫早▽五島▽雲仙▽南島原▽長与▽時津▽佐々-。長崎市(回答総数473人)では3分の2が細麺を支持。諫早市(同107人)でも6割を超えた。太麺派優勢は▽佐世保▽島原▽大村▽平戸▽対馬▽東彼杵▽川棚▽波佐見▽小値賀▽新上五島-。佐世保市(同78人)、大村市(同87人)はいずれも太麺派が6割。松浦、西海両市は拮抗。壱岐市は回答がなかった。

 「皿うどんに何をかけて食べるか」は「ソース」が56%で最多。次点は「何もかけない」の26%。「酢とソースの両方(8%)」、「酢(7%)」は少数派だった。ソースを選んだ人は細麺派の6割に達し、太麺派でも約半数。地域別で長崎市はソース、佐世保市では何もかけない派が多数で、味付けでも南北差が現れた格好だ。性別ごとに見ると男女とも「細麺」に「ソース」が一番人気。

 「どのような手段で食べることが多いか」という質問には「作って食べる」43%、「店に食べに行く」38%が合わせて8割を占めた。「どれくらいの頻度で食べるか」は「月1回程度」65%、「半年に1回程度」25%、「週1回以上」5%、「1年に1回程度」3%、「1年以上食べていない」1%の順で多かった。(岩佐誠太)

◎「具の中に必ずイカを!」「栄養ドリンクの瓶にソース」

  こだわり、思い出続々

 こだわりの食べ方や皿うどんにまつわる思い出エピソードも数多く寄せられた。

 五島市の60代自営業女性は「具の中に必ずイカは入れること!」。西彼時津町の60代主婦は「翌日(細麺を)あんごと炒めて、ソースで味付けるとうまい焼きそばになる」と紹介。中には「残った皿うどんをみそ汁に入れるのが好き」という意見も。「えびのだしと牛乳」、アボカド、カレー粉を加えるといった多種多様なレシピも寄せられた。

 長崎特有の“皿うどん文化”を浮かび上がらせるエピソードも。長崎市の30代女性は、皿うどんを出前で取った際によく付いてきた、栄養ドリンクの瓶に入ったソースが「懐かしい」。対馬市の40代公務員女性は学生時代、進学先の県外で「皿うどんスープがスーパーで買えないことに衝撃」を受けた。佐世保市の50代女性は県外に就職した息子が「あのピンクとグリーンのかまぼこがなかった」と嘆いたという。

 皿うどんは食卓だけでなく、一人一人の人生にも彩りを添えている。長崎市の30代女性会社員は「つわりがひどくてほとんど食べられなかった時でも皿うどんとちゃんぽんだけは食べられました」。同市の60代男性会社員は「亡くなった母が作る皿うどんが人生で最高にうまかった」と懐かしんだ。

 東彼川棚町の60代自営業男性は「お客さまが来ると必ず出前を取り、皿を囲んで語らいながらいただくのが最高でした」。人が集まる時に大皿を囲む-。皿うどんは県民のだんらんのひとときと、切っても切り離せない存在といえそうだ。(北里友佳)

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