わいせつ、飲酒で2人免職 和歌山県の懲戒処分7件10人に

和歌山県庁

 和歌山県は20日、職員の懲戒処分4件を発表、本年度の懲戒処分は7件10人となった。年度の半ばでありながら、監察査察課を設置した2007年度以降、最多の11件11人(14年度)に次ぐ多さとなっている。内容も悪質で、県児童相談所(児相)に一時保護していた女子にわいせつ行為をしたとして逮捕、起訴された福祉主事の男性被告(29)と、飲酒運転を繰り返していた紀南家畜保健衛生所の男性副主査(32)は同日付で懲戒免職とした。

 発表によると、児相に勤務していた被告は今年5~8月、入所している女子が18歳未満であることを知りながら、わいせつな行為を5、6回した。県の聞き取りに、被告は「やったらあかんことと知りながら、自制心がきかなかった。被害者に苦痛を与えて、健全な成長を阻害させたことは申し訳ない」と話しているという。この件では、一時保護態勢の管理が不十分だったとして、上司を戒告処分とした。

 一方、副主査は11月12日午後10時半ごろから翌日午前3時ごろまで、田辺市内の複数の飲食店で飲酒。駐車場に止めた自家用車で仮眠を取った後、5時半ごろに帰宅しようと運転したところ、警察官の取り締まりを受けた。酒気帯び状態で運転していることは自覚していたという。県の聞き取り調査で昨夏以降に6回、同様の方法で飲酒運転をしていたことも発覚。常習性を重く見て、処分を決めた。

 ほかに14年度から20年度まで、大量の事務処理を放置していたとして男性主事(29)を停職3カ月とした。当時、海草振興局建設部や海南工事事務所で、河川占用許可や道路占用許可の業務に当たっていたが、申請に関係する事務約700件を処理しないまま放置、占有料約700万円を徴収しなかった。さらに、約500件の申請関係の公文書を紛失させたことも判明。この件で当時の上司2人を戒告処分とした。

 主事は「事務処理が面倒だった。忙しさにかまけて放置してしまった」と話しているという。未徴収の約700万円のうち時効となった約500万円は、主事が県に弁済の意思を示しているという。

 さらに今年4月から所属していた港湾空港振興課で、部下の男性職員に対し、たびたび1時間を超えるような指導を続け、その中で人格や尊厳を傷つける発言をしたことで精神疾患に罹患(りかん)させたとして、課長補佐級の男性職員(45)を減給10分の1(1カ月)とした。

 本年度の懲戒処分はこれで7件、10人。そのうち飲酒運転に関係した3人はいずれも懲戒免職となっている。

 職員の懲戒処分が相次いでいることについて下宏副知事は20日、記者会見し「度重なる県職員の不祥事に関して、深くおわび申し上げる」と謝罪。再発防止に取り組み、県民の信頼回復に努めると述べた。今後、監察査察監が県内の各機関を回り、全職員に対し倫理意識の徹底を求めるという。

© 株式会社紀伊民報