長生きがリスクに?“人生100年時代”で変わった保険選び、新たに気をつけるべき点とは

「人生100年時代」と言われています。周りを見ても、90歳以上の方はさほど珍しくはありません。長生きをするのが当たり前の時代になってきました。

さて、寿命が延びたのですから、それだけ長い期間生きることになり、病気や介護のリスクは高まります。この「人生100年時代」に注目されるようになったのが、「生存リスク」です。

いままでは「死亡リスク」が最大の不安要素だったのですが、もう一つ、大きな問題として「生存リスク」にも対応していく必要が生じました。生存リスクに対応できるのは、「就業不能保険」「介護保険」「認知症保険」などです。さらに社会構造の変化などが重なってきて、保険選びの常識が変わってきました。

今までのような保険選びでは、大きなリスクをカバーできなくなってきたのです。今回は、「人生100年時代」に対応した保険の選び方について解説します。


「介護」は避けられないこと、備えもしっかりと

「人生100年時代」に対応して注目されるのは、やはり「介護保険」です。

80~84歳で要介護・要支援の人は27%、85歳以上では、59.3%です。85歳を過ぎると6割の人は介護が必要になってきます。長生きをすると要介護は避けて通れない問題でしょう。

要介護になった場合には、公的介護保険があり、自己負担は原則1割でさまざまな介護サービスを受けることができます。

とはいっても、介護期間は長期にわたることが多いですし、公的介護だけでは足りないこともあります。平均の介護期間は5年1ヵ月で、月額平均8.3万円の負担額が必要になるそうです。介護費用の総額は約580万円以上かかる調査もあります。

さらに注意が必要なのは、認知症になったときです。認知症の介護費用は高額になることが多いのです。認知症の発症率は、85~89歳では約半数以上の44.3%、90歳以上は64.2%というデータがあります。長生きをすると認知症は避けては通ることができない病気かも知れません。

介護にかかる費用は、老後資金とは別に余裕資金として準備をしておきたいです。もし、余裕資金が準備ができない場合は、介護保険を利用する方法があります。できるだけ掛け捨ての安い保険を利用したいですね。

共働き世帯は、保障を分散させる

以前の保険は、一家の大黒柱である世帯主が死亡すると、残された家族が経済的にとても困るので、高額な死亡保障を必要としました。

たしかに、1980年頃は、共働き世帯の2倍弱が専業主婦の世帯でしたから、この考え方は当然です。しかし、2000年前には、共働き世帯が多くなって、いまでは専業主婦の世帯の倍以上が共働きの世帯になっています。

それは家計のすべてを世帯主が負担ではなくなったということ。たとえ夫が死亡したとしても、妻も働いている場合には、収入がいきなりゼロにはならないわけです。

つまり、夫だけに高額な保障をつけるのではなく、夫婦に保障を分散させる時代になったのです。それも高額と言うよりも中程度の保障額です。もちろん、この保障額は家庭状況により異なります。たとえば子どもがいない家庭では保障額は少なくていいと思いますが、小さい子どものいる家庭では、教育費などを考慮した金額になります。

「生きるリスク」に対応した保障とは

共働き世帯では、一方への高額な死亡保障は必要性は低くなったのですが、生きて行くためのリスクが高くなりました。

2000年以降の日本では、実質賃金が下がっているにもかかわらず、教育費などは上がっているので、家計に余裕がない世帯が増えています。そのため貯蓄ができず、何かトラブルが発生したときの収入減に対応できなくなっています。この収入減が大きなリスクといっていいでしょう。

病気やケガで働けなくなった時の保障として「就業不能保険」が注目されるようになりました。生きている間の保障があり、死んだら保障がなくなります。まさに生きるための保険ですね。

いまや65歳まで働くのは、当たり前になってきました。さらに70歳まで働くのが一般的に。それに対応させるならば「就業不能保険」も検討しておきたいです。

「がんとともに生きる」を考えた保障を

「がん保険」も大きく変わりました。以前は「がん=死」のイメージがありましたが、いまはがん治療は日進月歩で進んでいて、「がんとともに生きる」と変わりました。

長期に渡るがん治療による収入減に対応する保険が増えてきたのです。とくにこの数年は、がん診断一時金が高額になり、抗がん剤治療給付金、自由診療に対応など、治療と生活の両方を保障する商品が増えました。

「長寿時代のリスク」に対応した保険選び

人生が長くなった分、生きることのリスクが高まりました。とはいっても、もっとも大きなリスクは死亡であることに変わりはありません。

そこで「死亡」のリスクに加えて「生きる」リスクに備えるのが、長寿時代の保険の選び方です。いままで備える必要のなかったリスクへも考慮した保険の見直しをするのが有効な方法です。

ご自分の長期的なライフプランを考えながら、保険を検討してみください。

[(https://www.amazon.co.jp/dp/4197105509/)

© 株式会社マネーフォワード