ボスニア紛争映画「アイダよ、何処へ?」が12月26日に上映  「ちむぐりさ~菜の花の沖縄日記」再上映も

▲「アイダよ、何処へ?」©2020 Deblokada / coop99 filmproduktion /Digital Cube / N279 / Razor Film / Extreme Emotions / Indie Prod / Tordenfilm / TRT / ZDF arte

 1995年、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で起きた「スレブレニツァの虐殺」を、史実に基づいて描いた「アイダよ、何処(どこ)へ?」(2020年、ボスニア・ヘルツェゴビナ・オーストリア・ルーマニア・オランダ・ドイツ・ポーランド・フランス・ノルウェー)が、12月26日(日)に山口県教育会館(山口市大手町2)で山口県内初上映される。時間は午後1時半、6時半からの2回。    

 監督・脚本は、自身も10代の時に同紛争を経験した1974年サラエボ生まれのヤスミラ・ジュバニッチ。ベルリン国際映画祭で金熊賞・エキュメニカル審査員賞・平和映画賞の三賞を受賞した「サラエボの花」(2006年)に続き、「サラエボ、希望の街角」(2010年)など、一貫してボスニア紛争の傷跡を映画化し、伝え続けている。今回の作品は、米アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート、インディペンデント・スピリット賞の外国映画賞受賞など、11ノミネート14冠を果たした。さらに大手映画批評サイト「ロッテン・トマト」では「100%」という高い満足度も記録している。    

 作品の原題「QUO VADIS, AIDA? 」は、新約聖書に出てくる言葉で、「戻る」を意味する。キリスト教を布教するペトロがネロ帝から迫害され、逃げようとする。その途中で死んだはずのイエス・キリストが現れた時、ペトロが発した言葉が「Quo Vadis, Domine?(主よ、どこに行かれるのですか?)」だ。これに対して、キリストは「君が逃げるのなら、私はもう一度はりつけになるべくローマへ向かう」と語ったことで、ペトロは戻る。作品名は、迫害を受けた後も故郷のスレブレニツァに戻り、平和を望みながら生きる女性たちの姿とペトロの姿を重ね合わせているという。    

 舞台は1995年、セルビア人勢力に占拠されたボスニア東部の町スレブレニツァ。そこで国連保護軍の通訳として働く主人公のアイダは、勤務中にある重要な情報を知る。セルビア人勢力に侵攻される恐怖の中で、避難場所を求め2万人の市民が国連保護軍の施設に殺到。彼女は夫と二人の息子を強引に施設内に入れるが、セルビア人勢力は国連軍との合意を一方的に破り、避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。アイダは愛する家族と同胞たちの命を守るため、あらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが――。    

 さらに、10時半、午後4時からは、11月にも同館で上映された「ちむぐりさ~菜の花の沖縄日記」(2020年、日本)が再上映される。沖縄テレビ放送開局60周年を記念したドキュメンタリー作品で、監督を務めたのは、同局キャスターの平良いずみさん。本土から沖縄に移り住んだ少女「菜の花」の目を通して、沖縄の現在と過去が伝えられる。

    

▲「ちむぐりさ~菜の花の沖縄日記」©沖縄テレビ放送

 前売り券は一般1500円。同館、山口市民会館、YCAMなどで購入でき、電話予約・当日受け取りでも適用される。当日券は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。予約・問い合わせは、主催の西京シネクラブ(TEL083-928-2688)へ。

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