生まれ育った北海道鹿部町で町民栄誉賞を受賞
東京五輪で金メダルを獲得した日本ハムの伊藤大海投手が21日、生まれ育った北海道鹿部町で町民栄誉賞を受賞した。北海道栄誉賞に続く受賞。母校の鹿部小、鹿部中の子どもたちとも交流し、次の目標を2023年に北広島市で開業する新球場の開幕投手と沢村賞に定めた。
人口3700人の漁業の町に新設された町民栄誉賞の第1号になった伊藤は「うれしく思うし、一層頑張らないといけない」と表情を引き締めた。ルーキーイヤーの今季は五輪での活躍だけではなく、シーズン10勝を挙げてNPB新人特別賞を受賞した。2年目となる来季に向けて「難しいと言われるシーズン。初心を忘れず、いろいろな方を楽しませて感動を与え、全国に伊藤大海の名前を広め、鹿部町の名前がもっともっと広がってくれたらうれしい」と力を込めた。
午前中に訪れた鹿部小と鹿部中では、子どもたちに夢を持つ大切さを説いた。自らの次の夢については「沢村賞を獲りたいというのが1つ。そのためにはファイターズで優勝したいというのがすごい大きくて。まずはそこを目指してやっています」ときっぱりと言い切った。
オリックス・山本の活躍に「正直、あの表彰式もすごい悔しい思いで見ていました」
念頭にあるのは、今季投手4冠と沢村賞、MVPなどタイトルを総なめにしたオリックス・山本由伸投手だ。
「年齢的にはあまり変わらない中、もっともっと僕にもできる部分があると思うので。正直、あの表彰式もすごい悔しい思いで見ていましたし、まだまだ頑張らないといけないなと思いました」と出席した「NPB AWARDS」で改めて大きな刺激を受けた。
鹿部中1年に在籍している弟・駿航君からは「来年はタイトルを何か1つでも獲ってほしい」とおねだりされている。「沢村賞? それは、ちょっとおこがましいので。何でもいいので、まず1個獲りたいですね」と来季は山本の独壇場を崩すつもりだ。
その先に見据えるのは、23年に北広島市で開業する新球場の開幕投手。「そこの開幕投手をやりたいという気持ちがすごく強いので、来年1年間しっかりアピールしてやっていきたいなと思います」と語った。
鹿部町の子どもたちとふれあい「もっともっとみんなの自慢の先輩であれるように」
子どもたちと触れ合い、新たな交流にも意欲が湧いてきた。「夢を語り合う場をできる限り続けていって、1人でも多くの子が夢や目標を持つきっかけに携われたらなと思います」とイメージを膨らませる。同じ鹿部町出身で奇跡のリリーバーと言われた故盛田幸妃氏は盛田幸妃杯少年野球大会を地元で創設したが、伊藤は「生徒数もすごく減っているので、野球に限らず、何か新しい取り組みができたら面白いのかなと思います」と話す。
鹿部町の子どもたちを本拠地に招待するプランも温めている。「この状況が落ち着いたら、したいと思います。野球に興味持ってほしいというわけじゃないですけど、一生懸命やっている姿をテレビ画面越しではなくて、生で1度見てもらいたいなと思いました」とコロナ禍が収束後に実現を考えている。
「今日、子どもたちと接して、自分で言うのも何ですが嬉しそうにしていたのが目に見えて分かりました。それだけのことを今年1年間やってきたんだなと思いましたし、もっともっとみんなの自慢の先輩であれるようにやっていきたいと思います」と充実した1日を過ごした伊藤。当面は地元でトレーニングしながら、趣味の釣りでリフレッシュして来季に備える。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)