最下位シーズンでは異例の大判振る舞い? DeNAに今オフ長期契約が続出する理由

DeNA・桑原将志、宮崎敏郎、三嶋一輝(左から)【写真提供:横浜DeNAベイスターズ】

宮崎6年、三嶋3年などに続き桑原が4年契約

今季最下位に沈んだDeNAで今オフ、長期契約が続出している。21日には桑原将志外野手が横浜スタジアム内で契約更改交渉に臨み、年俸変動制の4年契約(来季年俸は5600万円増の1億500万円)を結んだ。宮崎敏郎内野手とも6年、三嶋一輝投手とは3年、大和内野手とは2年の複数年契約を結んでいる。(金額は推定)

年俸1億円突破を「(ルーキー時代の)10年前の自分には想像もできなかった」と喜んだ桑原。4年契約にも「全く予想はしていませんでした。本当に最大限に評価していただいた」と目を丸くした。

今季は不動の「1番・中堅」としてリーグ5位の打率.310、14本塁打43打点12盗塁をマーク。規定打席をクリアした上でシーズン打率3割を超えたのは、プロ10年目で初めてだった。ただ、一昨年と昨年は2年連続の不振で、特に昨年は1軍出場がわずか34試合、打率.139、1本塁打2打点0盗塁だった。

桑原は「2軍スタートとなった春季キャンプから、絶対見返してやるぞという強い気持ちで1日1日やってきた」と今季を振り返りつつ、「言い方は悪いけれど、僕にとって手応えがあったシーズンは今年1年だけ。それでも(4年契約という)評価を頂いたので、なんとか結果で恩返ししたい」と“想定外”の評価だったことを明かした。

主力の自覚促す意味も「全ての面で妥協は許されない」

現在28歳の桑原は順調にいけば、来季中に国内FA権を取得する。球団は、今季中に取得した国内FA権を行使せず残留した宮崎とも6年契約、来季中に国内FA権を取得する見込みの三嶋とは3年契約、海外FA権を取得した大和とは行使の上で2年契約を結んだ。

チームは過去に内川聖一(現ヤクルト)、村田修一(現巨人打撃兼内野守備コーチ)ら数々の主軸選手、昨季オフにも梶谷隆幸外野手と井納翔一投手(いずれも現巨人)をFAで他球団に奪われており、今オフは先手を打って流出を阻止した格好だ。今季中に取得した国内FA権を行使せず単年契約で残留し、将来的にメジャー挑戦を希望している山崎康晃投手だけが例外と言える。

長期契約には、主力としての自覚を促す意味もありそうで、桑原は「全ての面で妥協は許されないと思う。周りからの見られ方も変わってくるので、しっかり自覚を持ってやっていきたい」と表情を引き締めた。過去の例から見ると長期契約には、危機感を弱め成績低下につながりかねないリスクもあるが、球団はプラスの効果を見込んでいる。

一方、プロ1年目の今季からリーグ3位の打率.314を叩き出した牧秀悟内野手は、さすがに長期契約とはいかなかったが、プロ2年目の野手としてはプロ野球史上最高額の年俸7000万円で今月16日に契約を更改した。同20日のトークショーに牧とともに参加した三浦大輔監督が「保留して(額を)下げてもらうんじゃないかと思った」と笑わせたほどだ。

球界には「3年続けて活躍して初めて本物」という“格言”があるが、今オフのDeNAからは「活躍した年にはドンと上げる」という姿勢がうかがえる。チームが最下位に沈んだシーズンとしては、異例の大盤振る舞いにも見える。来季は選手がこれに応える番だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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