わがまち回顧2021 島原支局 大火砕流惨事30年 防災誓い

北上木場農業研修所跡で地蔵に手を合わせ、犠牲者を追悼する遺族ら=6月3日、島原市北上木場町

 43人が犠牲になった1991年の雲仙・普賢岳噴火の大火砕流惨事から6月で丸30年の節目となった今年、追悼式やシンポジウムなどさまざまな関連行事が開かれた。市民らは自然の脅威と災害の教訓をかみしめ、体験を次代に継承し防災への誓いを新たにした。
 6月3日、市の追悼式で古川隆三郎市長は「大自然の脅威を学び、災害で得た経験を後世につなげたい」と決意を述べた。子どもたちは学校集会で災害を学び、大火砕流発生時刻の午後4時8分、被災地の北上木場農業研修所跡や定点で遺族らが黙とうをささげた。
 11月には地域防災力を高める全国大会も開催。噴火の記憶が風化し市民の防災意識が低下していると危惧される中、甚大な被害を受けた安中地区で自主防災組織を再構築した活動も紹介。同地区の横田哲夫自主防災会長は「大規模災害は行政任せでは対応できない。行政と消防団、住民が一体となって取り組む必要がある」と意義を語った。
 噴火災害を乗り越えた経験を生かし、災害への備えを常に怠らないことこそが火山と共生する道だろう。噴火災害で得た大切な教訓を後世に伝えていくことが不可欠だ。
 主なニュースは▽定点の「災害遺構」整備が完了▽雲仙砂防管理センターが開設▽雲仙岳災害記念館に「雲仙普賢岳噴火 太田資料室」完成


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