わがまち回顧2021 南島原支局 みずなし本陣 営業終了

11月に営業終了した道の駅「みずなし本陣ふかえ」=南島原市深江町

 かつては市を代表する観光拠点だった道の駅「みずなし本陣ふかえ」(長崎県島原市深江町)が11月で営業を終えた。隣接する県の土石流被災家屋保存公園を訪れた行楽客が閉ざされた門を不思議そうに眺めていた。
 開園から22年。誰もが笑顔になるはずの空間から人が消え、時間の経過とともに寂れていく喪失感が迫ってくる。園付近はまだ地域住民も多いが、市内を巡ると過疎化に伴い荒廃した里山や耕作放棄、空き家が多い。地域の悩みは深い。
 島原半島の南端に位置し県都長崎市まで車で約2時間。交通の便は悪く企業進出や人口流入は望めない。自分たちの地域にどう人を集め、稼ぐのか。行政任せにせず、市民が見直す必要がある。
 雲仙・普賢岳中腹に広がるすそ野には「おいしい食材」「手付かずの自然」があふれている。農業産出額は約16%の県内シェアを誇り、天草諸島を眼下に望む台地や夏に突如現れる「白洲(しらす)」など一度は行きたい絶景ばかり。地域でしか味わえない商品や体験できないサービスを生み出すことで、街の魅力向上や地域活性化につながるはずだ。
 主なニュースは▽コロナ禍で成人式中止▽電子地域通貨「MINAコイン」運用開始▽3小学校が統合し、新「有家小」が誕生▽旧大野木場小焼失30年▽県が土石流被災家屋保存公園の屋外2棟を解体撤去へ


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