アノマリー「1月効果」を活用するなら買い場はクリスマス!?月毎の株価傾向で検証してみた

株の“ジンクス”のことを業界では“アノマリー“と呼びます。代表的なアノマリーの1つに「冬季五輪の年の株価は上がりにくい」というものがありますが、2022年は北京で冬季五輪が開催される年です。投資家にとって、とても気になる内容です。

一般にジンクスは、“たまたま”そうなっただけ、とされるものもの多いですが、アノマリーは背後に理由があるものが少なくありません。「冬季五輪の年に株価が上がりにくい」というアノマリーにも理由があります。

冬季五輪の年はちょうど米国の中間選挙の年と重なります。以前、「「米大統領選後は株高」相場のジンクスは今年もあてはまるのか」でも取り上げましたが、「米大統領選の年は株高」で「中間選挙の年は株価が厳しい」という傾向があります。

一般的に、就任した米大統領は、大統領は次の選挙でも再選を勝ち取るため、国民の痛みを伴うが国を良くするためにやらなければならない政策を任期の前半で行います。そして任期の後半は、多くの国民が喜ぶ景気刺激策を打ち出して、大統領選の辺りで景気が好調になるようにもっていこうとします。このため、任期の中間にあたる2年目に株価は厳しくなり、大統領選に向けて株高の傾向になりやすい”のです。

新年を迎えて冬季五輪・中間選挙は注目すべきアノマリーですが、今回は新春に注目のアノマリー「1月効果」を紹介します。1月効果とは、“1月は株価が上昇する傾向がある”というものです。実際に日経平均株価を使って確認してみましょう。


1月の株価が上昇しやすいワケ

第二次大戦後、東証が再開したのが1949年5月です。以後、1月に日経平均株価が上昇した月数は50回(月)ありました。2021年までに1月は72回(月)あったので、勝率としては、50回÷72回=69%と約7割の確率で1月は上昇しています。他の月と比べて1月の勝率が高いことが分かります。

なぜ、1月の株価は高くなるのでしょうか。
これにはいくつかの理由がありますが、新春における投資家の株式買い姿勢の高まりが大きな要因としてあげられます。

例えば、外国人投資家は12月のクリスマスシーズンには休みに入ります。12月中旬から年末までの2週間程度が休暇で、旅行などを楽しむ投資家が多いようです。この休暇中、相場が急落するかもしれませんので、休暇前に一旦、ポジションを調整しておいて、新年になって投資を再開する傾向があります。このような株式の買い姿勢が相場上昇をけん引すると見られます。

新春相場への期待も投資家の積極姿勢を高めることにつながります。足元では新年に活躍が期待される相場のテーマはどのようなものになるのか、その予想がマスコミなどでも取り上げられています。再生可能エネルギー、国土強靭化などが注目テーマとして期待されていますが、その関連銘柄などに投資家の物色姿勢が強まりやすい時期とも言えます。

「1月効果」を投資戦略に活かすには?

ところで、この1月効果を活かす戦略を単純に考えると、年末に投資して1月末に手仕舞うというものになります。ただ、本当にこのタイミングが妥当なのでしょうか。

そこで月単位でなく、もう少し時期を細分化して月を上旬、中旬と下旬に分けて見ることにしました。

例えば、12月下旬は勝率が72%となっています。これは東証再開以来の12月下旬に上昇した確率を示しています。実はクリスマスの日から年末にかけて株価が高まる傾向はサンタクロースラリーと呼ばれるアノマリーです(「聖夜は株価も上昇?「サンタクロースラリー」を徹底検証」 を参照)。

先ほど外国人投資家のクリスマス休暇を取り上げましたが、クリスマス休暇前にポジションを手仕舞まった後のリバウンド相場が背後にあります。

1月を見ると、上旬、中旬、下旬ともに高い勝率となっていました。ただ、2月上旬も勝率65%と高く、下旬の60%まで株高となる傾向が見られます。

このように見ると、1月効果を効率よく享受するには、クリスマス辺りに投資して、2月末当たりまで保有するということになるようです。

© 株式会社マネーフォワード