入団の決め手に“トイレの綺麗さ”も…男性指導者が抱える女子野球の苦悩とは?

柏女子野球倶楽部の今野浩監督【写真:編集部】

柏女子野球倶楽部は「Enjoy Baseball」がモットー

女子野球の現場では、男子とはまた違った難しさがある。男性が指導するケースも多く、2020年に発足した「柏女子野球倶楽部」もそのひとつ。「体の構造も違うし、直接触れることもできないですから。言葉だけで指導するのが大切ですけど、難しいですね」。今野浩監督は、女子指導者の存在が必要不可欠だと考えている。

千葉県で4チーム目となる女子中学生の軟式野球チームで、部員数は28人に上る。モットーは「Enjoy Baseball」。ただ、“enjoy”の受け取り方には個人差があるようで「楽が楽しい選手と、勝つのが楽しい選手がいる」と話す。

意識差の違う選手が集まる理由はひとつ。女子チームの選択肢が少ないことだ。現在4チームある千葉県は多いほうだという。

入団の決め手は「ウォシュレットがあるから」など

「勝ちたいって入ってきた人もいれば、家が近いからなどもいます。あと一番は、ウォシュレットだと思いますよ。『河川敷の仮設トイレとかは使いにくいから』と、トイレが綺麗なウチを選んでくる人もいます」

メイン球場の沼南スタジアムには、トイレ設備の綺麗さだけでなく、カラフルな壁を取り入れるなど工夫も。そこが決め手で入団する選手も中にはいるという。

理由はどうであれ、まずは野球に触れてもらうことが未来にもつながる。「選手たちに指導者として戻ってきてほしい。新たなチームが増えれば、選手らの選択肢も増えますからね」。12月12日には、元女子プロ野球選手の小西美加さんを招待して女子のみの野球教室を開催。「とても選手の興味を引き付けるのがうまいですよね。この経験で将来指導者になりたいと思う人が増えれば」と願う。

今はその土台づくり。来年、柏女子野球倶楽部は3年目で、3学年が揃う。「勝負の年でもあるんです」。今野監督は、結果を求め、そして未来を見据えて、悩みながらも光る未来を追い続ける。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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