ロールス・ロイス、IHIと日英の次期戦闘機用エンジンの共同開発を発表

By Kosuke Takahashi

英ロールス・ロイスは12月22日、日英双方向けの次期戦闘機用エンジン実証機を日本のIHIと共同開発すると発表した。

日本の防衛省とイギリス国防省が同日、日英両国による次期戦闘機エンジンの共同実証事業を来年から開始すると発表したことを受けたもの。

ロールス・ロイスは発表文の中で、「本エンジン実証プログラムは、日英両国が将来的に必要とする戦闘機を開発するための重要な一歩であり、将来的には日英両国における数百名の雇用創出につながる可能性がある」と述べた。

同社は次期戦闘機のエンジン実証機の共同開発を2022年初めから開始する予定。そして、「英国は計画立案、デジタル設計、革新的な製造開発に3000万ポンド(約45億円)を初期投資する」と説明。さらに2億ポンド(約304億円)の英国資金を投入して実物大の実証機を開発する方針を示した。

ロールス・ロイス防衛部門の事業開発・フューチャープログラム担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、アレクサンダー・ジノは「日英の業界からなるチームは、両国の次期戦闘機の要件を満たすべく、互いの技術を補完しあい、よりクリーンな次世代動力と推進力を促進する技術を提供するだろう。共同エンジンの実証プログラムは、世界最高の戦闘航空能力を結集する期待に満ちた喜ばしい機会であり、また、防衛航空宇宙産業の将来を支える革新的な重要技術の開発を可能にする」と抱負を述べた。

さらに、同社は「日本の政府と産業界が近年実施している技術プログラムに、英国がテンペストプログラムで開発する技術を合わせることで、世界有数のより高性能な次世代動力・推進システムの開発が可能になる」と説明した。

イギリスの次世代戦闘機「テンペスト」のコンセプト図(BAEシステムズ提供)

一方、日本の防衛省は22日、航空自衛隊次期戦闘機のエンジン開発をめぐり、英国とのエンジン共同実証事業を来年1月から開始すると発表した。また、岸信夫防衛相も同日、来年度当初予算案に次期戦闘機の研究開発費858億円を計上する方針を明らかにした。

日本側と歩調を合わせ、イギリス国防省も同日、イギリス政府のホームページを通じて日英両国による次期戦闘機エンジンの共同実証事業を開始する計画を発表した。

イギリスのベン・ウォレス国防相はコメントを出し、「インド太平洋地域におけるパートナーシップの強化は、われわれの戦略的な優先事項であり、アジアで最も親密な安全保障のパートナー国の1つである日本との今回の関わりはその明確な例だ」と説明した。そして、「日英両国の技術面と産業面の強みを生かし、次世代戦闘機の技術において幅広い協力関係を探っていく」と述べ、さらなる日英の防衛協力の深化を示唆した。

航空自衛隊の次期戦闘機をめぐっては、防衛省は三菱重工業中心の国産主導で開発を推進し、F2戦闘機の退役が見込まれる2035年からの配備開始を目指している。現在保有するF2と同数の約90機の導入を想定している。

防衛省はこれまで米軍とのインターオペラビリティ(相互運用性)の重要性を強調し、米ロッキード・マーチンをインテグレーション支援の候補企業に選定した。

その一方、英国との国際協力の道も探ってきた。英国は現行の主力戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」の後継として、次期戦闘機「テンペスト」の2035年までの実戦配備を目指している。これはF2後継となる次期戦闘機と同じスケジュールでもあり、日英の連携が進んできた。例えば、日本の防衛省は2021年度から予算41億円を投じ、次期戦闘機用の高機能レーダー技術についての日英共同研究を新規事業として始めた。

同時進行しているテンペスト開発計画の動向は、日本にとっても目が離せないものとなっている。

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