ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた「原始星」の画像 NASAが公開

【▲ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた反射星雲「IC 2631」(左)とそれに抱かれた原始星「J1672835.29-763111.64」の拡大画像(右)。赤外線で撮影されている(Credit: NASA, ESA, T. Megeath (University of Toledo)】

こちらの画像は、11月17日にNASAが本日の1枚として公開した ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた反射星雲「IC 2631」とそれに抱かれた原始星「J1672835.29-763111.64」の画像です。スピッツァー宇宙望遠鏡とハーシェル宇宙望遠鏡によって予め確定された星間分子雲に存在する312個の原始星をターゲットとするハッブル宇宙望遠鏡による観測成果のうちの1枚になります。

ここに反射星雲とは星間物質の中にある塵が近くにある恒星の光を反射、散乱して、輝いている星雲をいいます。原始星J1672835.29-763111.64カメレオン座の星形成領域にあるこのような反射星雲IC 2631の中にあります。

このJ1672835.29-763111.64のような原始星は恒星が誕生する一過程にあります。では、恒星はどのようにして誕生するのでしょうか?

まず、星間分子雲の中に濃淡が生じ密度の濃い部分ができます。この密度の濃い部分を分子雲コアといいます。

この分子雲コアの中心部では、自己重力によってガスやチリが収縮し、やがて原始星が誕生します。原始星は、まだ核融合反応は起こっていませんが、中心部分がギュッと収縮し高温、高圧になることで輝いています。そして、その周りには原始星円盤が形成されると共に、原始星からは遅いガス流と速いガス流の2種類のガス流が噴き出します。

そして、その後、さらに周りからガスやチリが降り積もり、原始星はその質量を増していき、やがてその中心部分で水素の核融合反応が始まります。

ついに恒星の誕生ですね。

J1672835.29-763111.64のような原始星はこのような恒星が誕生する一過程にあるというわけです。

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Image Credit: NASA, ESA, T. Megeath (University of Toledo), and K. Stapelfeldt (Jet Propulsion Laboratory); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)
Source: NASA
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)

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