南米発の新型『トヨタ・カローラGRスポーツTCR』が最初のテストを完了。現地法人代表もドライブ

 アルゼンチンはコルドバ州北部アルタグラシアに位置するアウトドローモ・オスカー・カバレンで世界初公開された新型『トヨタ・カローラGRスポーツTCR(仮称)』が、無事に2日間のシェイクダウンテストを完了。人気ツーリングカー選手権、スーパーTC2000(STC2000)に参戦するTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)と、その母体であるトヨタ・アルゼンティーナが開発を担ったニューマシンは、地元法人の代表を務めるダニエル・エレーロの手でコースインし最初のラップを完了すると、その後はTGRAのエースであるマティアス・ロッシのドライブで精力的に周回を重ねている。

 WTCR世界ツーリングカー・カップを頂点に、ヨーロッパ、アジア、そしてサウスアメリカなど各地域のリージョン選手権や、日本を含む各国のTCR認可シリーズに参戦するべく、TCRを統括するWSCグループによるホモロゲーション登録作業の一環として、12月15日のシェイクダウンに続き同20日にもテストが実施された。

 2022年車両としての承認とカスタマーデリバリーを進めるべく、テストにはWSC技術部門の代表としてマッシモ・ガービンが同席するなか、まずはトヨタ・アルゼンチンの社長でありTOYOTA GAZOO Racingラテンアメリカ(TGRLA)の最高責任者であるエレーロが最初のドライブを担当。インスタレーションを経て、数周のフライングラップも敢行した。

「このカローラTCRの第一印象は素晴らしかった。マティアス(・ロッシ)が担当したテストプログラムは厳しいものだったが、結果はとてもポジティブだったよ。個人的にもエンジンレスポンスやコーナリングスピード、ブレーキングのすべてが気に入った。私自身、このクルマを運転した最初のドライバーであったことを誇りに思う。カローラには大きな可能性があると確信できたよ」と、その手応えを語ったエレーロ。

この新型TCRモデルは、テストを実施したアウトドローモ・オスカー・カバレンでお披露目された
直前にはアルゼンチン国内で人気のシルエット・ストックカー選手権“ACTCツーリスモ・カレテッラ”向けの新型モデルラウンチにも出席したマティアス・ロッシ

■世界中のトラックで「多くのカローラTCRがレースをするようになるだろう」

 一方、WSCの責任者でありTCR規定の仕掛け人でもあるマルチェロ・ロッティ代表も「トヨタ・カローラベースのTCRが、TGRAが計画する野心的なプログラムの開発段階に入り、最初のテストセッションを無事に終えたことを、とてもうれしく思う」と、新規マニュファクチャラーによる新たな車種の参入を歓迎する言葉を残した。

「このクルマは美しく、彼らのチームが従来より他のカテゴリー(STC2000など)で達成してきた成果を踏まえれば、すぐにそのパフォーマンスと可能性が証明されると確信している。だからこそ、実際のレースウイークでトラックデビューを飾る瞬間が待ち切れない」

「トヨタ・ブランドの魅力を考えると、まもなく世界中のトラックで多くのカローラTCRがレースをするようになるだろうね!」

 直前には同国で人気のシルエット・ストックカー選手権“ACTCツーリスモ・カレテッラ”向けの新型モデルのラウンチも行っていたTGRAは、このTCRシェイクダウンの模様を収めたムービーも公開。現地にはWTCC世界ツーリングカー選手権3冠を誇る地元の英雄、ホセ-マリア・ロペスも姿を見せていた。

 この新型『トヨタ・カローラGRスポーツTCR(仮称)』はオフの間も継続的な開発テストが実施される予定で、今後どのようなチーム体制を採るかはまだ詳細が明かされてはいないものの、2022年のTCRサウスアメリカ・シリーズで、まずは競争力を確認するために“準ファクトリー体制”でのデビューが期待されている。

ACTC用のボディカウルには『カムリ』をチョイス。TGRAは同国でのラリー活動のほかTOP RACEやTN、TC2000、そしてSTC2000と幅広い活動を展開する
地元法人の代表を務めるダニエル・エレーロも「カローラには大きな可能性があると確信出来たよ」と、その手応えを語った

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