新型コロナ禍の2021 ワクチンに緊急事態宣言…苦悩と今 岡山・香川

2021年は岡山・香川でもさまざまな変化がありましたが、やはり「新型コロナ」の影響が大きく出ました。緊急事態宣言にワクチン接種……新型コロナ禍の2021年を振り返ります。

医療従事者へのワクチン先行接種が開始

感染拡大を抑える切り札として期待された新型コロナのワクチン接種。医療従事者への先行接種は2月に始まりました。5月に高齢者への接種が始まると医療機関も対応に追われました。この時はまだ予約をとるのも一苦労でした。

(ワクチン接種の予約で電話を掛ける人)
「ツーツーだ。ツーツーいうことは話し中ということよね」

岡山県が緊急事態宣言の対象地域に

ちょうどこの頃、岡山県が緊急事態宣言の対象地域に追加されました。

(菅義偉 総理大臣[5月14日 基本的対処方針分科会当時])
「本日、緊急事態宣言の対象地域に北海道・岡山県・広島県を追加」

岡山県に出された緊急事態宣言で、百貨店など大規模な施設では一部の売り場を除き土日が休業に。

(飲食店を経営する人)
「開けてても同じなので」

飲食店には時短要請や休業要請が出され、夜の町は活気を失いました。

延期されていた成人式は中止が決まり、せめてもの記念にと振袖姿で写真を撮る新成人の姿がみられました。

(新成人)
「私たちが何したん、ていう思いがある」

新型コロナ感染の第5波

ワクチン接種が進められる中、夏には第5波がやってきました。新型コロナの1日当たりの感染者数は岡山・香川ともに過去最多となり、岡山県では8月18日に307人、香川県では8月19日に111人の感染が確認されました。

資料 モンスターバッシュ(2010年)

国営讃岐まんのう公園で毎年この時期に開催されていた中四国最大級の野外ロックフェス「モンスターバッシュ」は2年連続で中止になりました。

8月下旬には岡山県に2021年2回目の緊急事態宣言が出されました。

(池田動物園/忠政智登士 副園長)
「今年はもう2回目。去年からだと3回目」

(飲食店を経営する人)
「居酒屋にとってお酒を出せないのは致命傷」

休業を決めた飲食店。岡山・香川の町からまた人の姿が消えました。

ワクチン接種で落ち着いてきた感染状況

それでも、ワクチン接種が進むにつれて岡山・香川でも感染状況は落ち着いてきました。岡山・香川ともに4分の3以上の人が2回の接種を終えました。

【新型コロナワクチン 2回接種率】
・岡山…76.36%(12月21日時点)
・香川…76.14%(12月16日時点)

(川崎医科大学/中野貴司 教授)
「第5波は患者さんの数としてはピークが一番高くて本当に大きな流行だったと思います。感染は予防できなくても、重くなるのを防げるようであればそれは私たち人にとってメリットがありますから、そういった意味で3回目の追加接種が推奨されています」

12月1日には岡山・香川で医療従事者を対象にした3回目の追加接種がスタート。2022年からは、高齢者や一般の人にも対象が広げられます。

街に戻りつつあるにぎわい

そして今、少しずつにぎわいが戻ってきている場所があります。

昼間はカフェ、夜はライブハウスとなる岡山市の城下公会堂。月に20本近くあったライブや演劇は3分の1ほどに減ったままですが、秋以降はお客さんが戻りつつあります。

(城下公会堂/田辺光さん)
「コロナ禍の前と比べたら少ないのは少ないけど、何とか元気に営業している。(店を)継続できてよかったと思った」

注目の「モンバス」来年への思いは――

2年連続で中止となった「モンスターバッシュ」。主催するデュークは……

(「モンスターバッシュ」/定家崇嗣 プロデューサー)
「香川県内の感染状況だけでなく、やはり日本全体の感染状況と確認、協議しつつ慎重にいろいろ決めていきたいなと思っている2022ということになります」

年末年始に期待する飲食店

岡山市の飲食店は年末年始に期待を寄せています。

(「西龍軒」店主/三宅紳司さん)
「少人数の会食っていう形でご予約はいただいています。常に不安は抱えてますけど、その中で感染症対策を徹底して行っていくしかないとは思うんで、安心と安全を提供できれば」

オミクロン株の懸念

提供:国立感染症研究所

一方、国内で懸念されているのはオミクロン株の市中感染です。

(川崎医科大学/中野貴司 教授)
「次の流行、6番目の流行の原因ウイルスとして、オミクロン株がなる可能性はあると思います。病原体特異的な予防であるワクチン、日常生活の中で行っていく一般的な感染予防、この2つはまだしばらくは継続いただくことが必要だと思っています」

JRや空の便の予約率からも前の年より人の動きが活発になりそうな年末年始。新年を迎えた時、どのような状況になっているのかはまだみえません。

2021年の感染状況を振り返る

岡山県と香川県の新規感染者の推移をみると、2021年は1月、5月、8月と3つの山ができました。

岡山県では5月16日から6月20日と、8月27日から9月12日の2度「緊急事態宣言」が出されました。8月の1カ月の感染者は、岡山県では5000人を超えました。

ワクチンの接種率が高まるのに合わせるように新規感染者は抑えられていて、12月23日に発表された新規感染者は岡山県で1人、香川県は40日連続の0人でした。

一方、新しい変異株「オミクロン株」は大阪などで市中感染が確認されるなど警戒感が高まっています。

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