「小さな出来事ではなかった」 DeNA編成トップが明かす複数年契約続出の出発点

DeNA・三嶋一輝、宮崎敏郎、桑原将志(左から)【写真:荒川祐史】

先手、先手の交渉で宮崎と6年、桑原と4年、三嶋と3年契約

DeNAは22日をもって仕事納め。今季は就任1年目の三浦大輔監督の下で6年ぶりの最下位に沈んだが、オフには宮崎敏郎内野手と6年、桑原将志外野手と4年、三嶋一輝投手と3年の長期契約を相次いで結び注目されている。三原一晃球団代表は「いくつか新しいやり方を試しているのは確か」と明かした。(金額は推定)

球団はまず、今季中に国内FA権を取得していた宮崎と6年総額12億円プラス出来高の大型契約を締結し、他球団への流出を阻止。順調にいけば来季中に国内FA権を取得する見込みの桑原、三嶋とも先手を打って4年、3年の長期契約を結んだ。

「少しやり方を変えた。例えば宮崎選手との交渉は(例年より)早めに始めました」と三原代表。「正直言って、昨年FAで選手が2人出ていってしまったことは決して小さな出来事でなかった。そのことから、いろんな工夫をして新しいやり方を実行しているのが現状です」と説明した。昨年オフ、FAで梶谷隆幸外野手と井納翔一投手を巨人に奪われた反省が出発点になったというのだ。

一方、プロ1年目でリーグ3位の打率.314をマークするなど大活躍した牧秀悟内野手が、プロ2年目の野手としては史上最高となる年俸7000万円で更改したのをはじめ、最下位シーズンにも関わらず昇給する選手も多い。三原代表は「査定の仕方に大きな変更は加えていません」と言うが、選手会長の今永昇太投手が「他の選手との契約を見ても、球団は全てのことをやってくれている。あとは選手の番。勝つことで応えたい」と感謝を口にしたほどだ。

藤田、大田、クリスキー…コロナ禍でも“攻め”の補強

現有戦力の流出を阻止する一方、楽天を戦力外となっていた藤田一也内野手、国内FA権を取得しながら日本ハムを自由契約となった大田泰示外野手、クローザー候補の新外国人ブルックス・クリスキー投手らを補強している。

三原代表は「野手陣に関しては藤田、大田と実績のある選手を補強できたが、投手陣はクリスキー1人で終わりというわけではない。今後もできることを全てやっていきたい」。チーム防御率が12球団ワーストの4.15に終わった投手陣の補強は、年明けも続けていく方針だ。

DeNAは2012年の球界参入以降、様々な企業努力で観客動員を右肩上がりに増やし、2019年には過去最高の年間228万3524人に達した。横浜ベイスターズ時代の2011年の110万2192人に比べると倍以上。ここ2年は新型コロナウイルス感染拡大による入場制限で苦戦し、戦力維持と補強の“原資”が気になるところだが、三原代表は「来年は(収容人数の)100%動員を目指して運営していきましょうという話をしている。見通しとしては多少明るいものが見えてきている」と語り、“攻め”の補強を続けていく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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