楽天入りの西川遥輝、復活の鍵は? データから紐解く球界屈指の“強み”と復調の可能性

日本ハムから楽天に移籍する西川遥輝【写真:石川加奈子】

打率.233に終わった西川だが、出塁率はリーグで10番目の高さだった

日本ハムから“ノンテンダーFA”となっていた西川遥輝外野手が楽天に加入することが決まった。4度の盗塁王に輝いたスピードスターの加入は、今季3位に終わった楽天にどんな相乗効果をもたらすことになるか。ここではセイバーメトリクスの指標から、西川の武器と課題を検証してみたい。

今季の西川は開幕から打撃不振に苦しみ、シーズン中には新型コロナウイルスに感染し、戦線を離脱。その後も打撃の状態はなかなか上向かず、スタメンから外れることもあった。130試合に出場して、打率.233。24盗塁で4度目の盗塁王を獲得したものの、それ以外は厳しい成績となった。

打率.233は今季のパ・リーグ規定打席到達者29人の中で26位という低さだった。だが、西川の武器は打率よりも1割以上高くなる出塁率の高さにある。今季も出塁率.362と、打率よりも1割3分ほど高く、これはパ・リーグで10番目の高さ。楽天では浅村栄斗、島内宏明に次ぐ数字になる。

この出塁率の高さは、西川の大きな特徴だ。これまでも、出塁率は打率よりも1割から1割3分ほど高くなり、2020年も打率.306に対して、出塁率は.430をマークしていた。打率.250であれば.350から.380、打率.280であれば、.400前後の出塁率を期待できる。

「BABIP」が例年を大きく下回る.289と“運”もなかった

また、指標の上では、今季は“運のなさ”もあった。インプレーの打球がヒットになった割合を示す指標である「BABIP」は.289だった。このBABIPは平均して3割前後に回帰するとされ、左打者で足の速い西川はこれよりも高い数値が出る傾向にある。過去のシーズンを見ると、西川の「BABIP」は.350前後となっており、今季の.289はかなり低い数字だった。例年に近い「BABIP」になれば、大きく打率、出塁率の上昇が見込める。

現在、29歳の西川には、スピードの衰えを指摘する声もある。ただ、足の速さを評価する指標「スピードスコア」はほぼ例年と変わらない6.1を記録。球界全体で見ても、ヤクルトの塩見泰隆、西武の源田壮亮、阪神の中野拓夢、近本光司に続く5位に位置しており、まだまだ武器のスピードも健在と言える。

となると、やはりネックとなるのが守備面と言えるだろう。今季の守備の貢献を測る指標「UZR」は-0.4と守備位置の平均を下回る。外野手の送球による貢献を示す指標「ARM」も-0.8と平均を下回る数値に。肩も含めた守備面は懸念されている通りに課題だと言える。

ただ、今季、楽天で左翼を守った島内も「UZR」は-0.6で、西川を下回る。送球貢献の「ARM」は1.4と西川より上ながら、守備範囲の広さを示す指標「RngR」は-2.6と大きくマイナス。指標の上で言えば、西川と島内の守備の貢献は大きく変わらない。

高い出塁率とスピードは健在で、打撃面での復調も見込めそうな西川。守備面を石井一久監督がどう考えるか、ではあるが、果たして新天地で輝きを取り戻すことはできるだろうか。(Full-Count編集部)

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