ピュアETCR改め、新生『FIA ETCR eツーリングカー・ワールドカップ』の2022年開催日程が発表

 TCR規定から派生した電動ツーリングカー選手権として、2021年に初年度シーズンが開催された『PURE ETCR(ピュアETCR)』が、2022年より『FIA ETCR eツーリングカー・ワールドカップ』へと進化し2年目のシーズンを迎える。その名称どおり世界戦へと昇格し、ヨーロッパとアジアで全7戦を開催するカレンダーが公開された。

 初年度はセアト・クプラ e-Racerを走らせたゼングー・モータースポーツ×クプラと、ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCRのヒュンダイ・モータースポーツN、そして唯一のセダンボディを持つアルファロメオ・ジュリアETCRを投入したロメオ・フェラーリ-M1RAと、合計3社のマニュファクチャラーが参戦。そのうち、セアトの電動ブランド大使でもあるマティアス・エクストロームが初代“ピュアETCR・キング・オブ・ザ・シーズン”の称号を獲得している

 そのピュアETCRから発展するかたちで始まる2年目の後輪駆動EVツーリングカー選手権は、来季5月初旬にWTCR世界ツーリングカー・カップとの併催でフランス伝統の市街地戦ポーで開幕し、同月後半にはイスタンブールでの1戦に向けトルコに上陸する。

 ストリート連戦を終えた一行はふたたびWTCRと合流してハンガリーでのイベントを終えると、スペインのハラマ、ベルギーのゾルダーでの単独ラウンドを実施。そして7月下旬にはシリーズ誕生の地でもあるイタリアのバレルンガで最後のヨーロッパ戦を終えると、海上輸送の間にブレイクを兼ねた中断を挟み、10月に韓国のインジェ・スピーディウムでシーズンフィナーレを迎える。

 初年度のイベントでは、各陣営2台のマシンを組み分けされた4名のドライバーでシェアし、A、Bの各プールから3台ずつのバトルであるラウンド1、直接対決のラウンド2、そして1台でのタイムアタックを経て、日曜6台で争うスーパーファイナル進出が確定する独自フォーマットで争われた。

 その点が、FIAワールドカップ・タイトルを争う2年目にどのように変化するかはまだ明かされてはいないものの、このオフにも車両製造のリードタイムが稼げることから、なんらかの変更が加わるものと予想されている。

 TCR規定を統括するWSCの責任者を務めるマルチェロ・ロッティ代表は、その名称を筆頭に変貌を遂げる2年目の電動ツーリングカー戦に向け「WTCRでの成功のステップに続き、ETCRに付与されたFIAワールドカップのステータスを非常に誇りに思っている」とEVカテゴリーのさらなる発展に向け意欲を示した。

初年度のイベントでは、各陣営2台のマシンを組み分けされた4名のドライバーでシェアするフォーマットで争われた
このオフにも車両製造のリードタイムが稼げることから、フォーマットにはなんらかの変更が加わるものと予想されている

■クムホタイヤがTCR用タイヤを開発。2022年から導入可能に

「世界的な知名度を誇るポーや、イスタンブールのダウンタウンなど、このカレンダーはストリートサーキットと常設トラックの素晴らしい組み合わせであり、パンデミックによって課せられた制限のため、シーズンの大部分がヨーロッパで開催されるのは論理的だ」と続けたロッティ代表。

「また、ETCRとWTCRが3つのイベントで週末を共有し、ツーリングカーレースの側面からモータースポーツファンに最高のサービスを提供できることもうれしく思う。電動ツーリングカーも素晴らしいショーを演じられると確信している」

「2021年に目撃した実績から言えば、ハラマ、ゾルダー、バレルンガのレイアウトはETCRの車両に完全に適合しており、ETCRワールドプレミアイベントの開催に成功したバレルンガをシリーズでふたたび訪れることに関して、個人的には非常にうれしく思っている」

 そのWSCグループは、クムホタイヤがTCR競技用の専用スペックを開発したと発表し、TCRヨーロッパのシーズンフィナーレの翌日にカタルーニャサーキットで行われた評価テストが無事に完了した後、WSCによって「規定に合致したタイヤ」であることが承認された。

「クムホタイヤのような重要なブランドが、TCRの競技を受け入れるためにこれほど大きな努力を惜しみなく与えてくれたことを喜んでいる。この新しいコラボレーションへの彼らの献身は、評価テストのために提供された彼らの製品の品質によって証明されている」と続けたロッティ代表。

「我々はつねに、TCRライセンスを持つ異なるシリーズのプロモーターに、同じタイヤを採用することを奨励してきた。これにより技術的なパートナーシップとトラックでのパフォーマンスが向上し、チームが異なるシリーズ間で競争しやすくなるからね」

 この新しいクムホタイヤのTCRスペックは、ヨコハマやグッドイヤーに並び、採用を希望する各TCRプロモーターの判断によって来季から利用可能となっている。

初代”PURE ETCR King of the Season”の称号を獲得したZengő Motorsport X CUPRAとマティアス・エクストローム
WSCグループは、クムホタイヤがTCR競技用の特注タイヤを開発したと発表している

■2022年FIA ETCR eツーリングカー・ワールドカップ暫定カレンダー

Round Date Circuit Country

Rd.1 5月6~8日 ポー市街地 フランス

Rd.2 5月20~22日 イスタンブール市街地 トルコ

Rd.3 6月10~12日 ハンガロリンク ハンガリー

Rd.4 6月17~19日 ハラマ スペイン

Rd.5 7月8~10日 ゾルダー ベルギー

Rd.6 7月22~24日 バレルンガ イタリア

Rd.7 10月7~9日 インジェ 韓国

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