北九州市の『未来の人口予測』 2045年の推計人口は70万人台に?

総務省は先月、2020(令和2)年国勢調査「人口等基本集計」を公表し、人口減少数は北九州市が全国で最大となったことが分かりました。北九州市は「あたらしいことを、はじめやすい都市。」をコンセプトにした「New U」プロジェクトを開始するなど移住者や関係人口の増加に努めていますが、将来の人口予測はどうなっているのでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所」は、日本の将来の推計人口・世帯数を公表しています。2018年に公表された「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」より北九州市の推計人口を抽出してみました。

国立社会保障・人口問題研究所とは

国立社会保障・人口問題研究所は1996年、「厚生省人口問題研究所」と「特殊法人社会保障研究所」との統合によって誕生した国立の研究機関です。厚生労働省に所属しており、人口・世帯の動向を把握するとともに、社会保障政策や制度などに関する研究を行っています。

「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」は、2015年の国勢調査を基に、15年10月1日から45年10月1日までの30年間について、5年ごとに性別・年齢別の将来人口を推計したものです。

日本の推計人口 少子高齢社会が顕著に

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」によると、2030 年以降に全都道府県で総人口が減少し、45年の総人口は東京都を除いたすべての道府県で15年を下回る見込みです。

0〜14歳の人口割合は全都道府県でほぼ一貫して低下し、2045年に0〜14歳人口割合が最も大きいのは沖縄県(15.3%)、最も小さいのは秋田県(7.4%)。一方、45年に65歳以上人口の割合が最も大きいのは秋田県(50.1%)、最も小さいのは東京都(30.7%)と推計されています。

東京都、神奈川県、沖縄県では、2045年の65歳以上人口が15年の1.3倍以上となる一方、45年には12県で15年の65歳以上人口を下回ります。

福岡県の推計人口 45年に450万人台

福岡県全体の推計人口は2025年に504万2774人、30年に495万5295人、35年に484万1878人、40年に470万4812人、45年に455万4486人となっています。

2030年前後に500万人を割り、45年には450万人台になっているとの予測です。

2025年 5,042,774
2030年 4,955,295
2035年 4,841,878
2040年 4,704,812
2045年 4,554,486

北九州市の推計人口 45年には約77万人

北九州市全体の推計人口は2025年に90万9840人、30年に87万7426人、35年に84万2929人、40年に80万7022人、45年に77万1168人。

2025年〜30年の間に90万人、40年前後に80万人をそれぞれ割り、45年には15年の人口の約80%にあたる約77万人になると予測されています。

2020年 938,897
2025年 909,840
2030年 877,426
2035年 842,929
2040年 807,022
2045年 771,168

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門司区の推計人口 45年には15年比で約63%に

門司区の推計人口は、2025年に8万7723人、30年に8万1325人、35年に7万4844人、40年に6万8611人、45年に6万2787人です。

2030〜35年の間に8万人、35〜40年の間に7万人を割り、45年には15年の人口の約63%にあたる6万2000人台になるとの予測です。区別で見ると、門司区の人口減少率が最大となっています(2015年の総人口を100としたときの45年の総人口の指数が一番小さい)。

2020年 93,901
2025年 87,723
2030年 81,325
2035年 74,844
2040年 68,611
2045年 62,787

若松区の推計人口 45年前後で門司区と逆転

門司区の推計人口は、2025年に7万6895人、30年に7万3455人、35年に6万9916人、40年に6万6347人、45年に6万2884人となっています。

2035年前後に7万人を割り、45年には15年の人口の約75%にあたる6万2000人台になると予測されています。現時点では門司区の人口が若松区を1万人ほど上回っていますが、45年前後で同程度の人口になるとの推計です。

2020年 80,131
2025年 76,895
2030年 73,455
2035年 69,916
2040年 66,347
2045年 62,884

戸畑区の推計人口 30〜35年には5万人割れ

戸畑区の推計人口は、2025年に5万4064人、30年に5万1178人、35年に4万8380人、40年に4万5593人、45年に4万2884人となっています。

2045年には15年の人口の約72%にあたる4万2000人台になると予測されています。

2020年 56,957
2025年 54,064
2030年 51,178人
2035年 48,3,80
2040年 45,593
2045年 42,884

小倉北区の推計人口 45年時点での減少率は区別で最小

小倉北区の推計人口は、2025年に17万7318人、30年に17万3803人、35年に16万9687人、40年に16万4955人、45年に15万9799人となっています。

2045年には15年の人口の約87%にあたる約16万人になると予測されており、区別で見た時の人口減少率は小倉北区が一番低くなっています(2015年の総人口を100としたときの45年の総人口の指数が一番大きい=一番人口が維持できている)。

2020年 180,101
2025年 177,318
2030年 173,803
2035年 169,687
2040年 164,955
2045年 159,799

小倉南区の推計人口 25〜30年の間に20万人割れ

小倉南区の推計人口は、2025年に20万4478人、30年に19万8646人、35年に19万2300人、40年に18万5509人、45年に17万8520人となっています。

2045年には15年の人口の約83%にあたる17万8000人台になると予測されています。

2020年 209,486
2025年 204,478
2030年 198,646
2035年 192,300
2040年 185,509
2045年 178,520

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八幡東区の推計人口 40〜45年に5万人割れ

八幡東区の推計人口は、2025年に6万1821人、30年に5万8180人、35年に5万4702人、40年に5万1408人、45年に4万8421人となっています。

2045年には15年の人口の約70%にあたる4万8000人台になると予測されています。

2020年 65,456
2025年 61,821
2030年 58,180
2035年 54,702
2040年 51,408
2045年 48,421

八幡西区の推計人口 45年時点で唯一の20万人超

八幡西区の推計人口は、2025年に24万7541人、30年に24万839人、35年に23万3100人、40年に22万4599人、45年に21万5873人となっています。

2045年には15年の人口の約84%にあたる21万5000人台になると予測されています。現時点において市内で最大の人口を抱える八幡西区ですが、45年時点でもそれは変わらないようです。

2020年 252,865
2025年 247,541
2030年 240,839
2035年 233,100
2040年 224,599
2045年 215,873

人口予測はあくまでも「推計」

人口予測は緻密な計算に基づいたものですが、必ずしも正しいとは言い切れません。

例えば、今回参考にした「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」で示されている、北九州市全体の2020年時点の推計人口は93万8897人ですが、北九州市がホームページで公表している2020年9月30日時点の人口は94万5453人、2021年3月31日時点の人口は93万9961人となっています。これは2018年当時に推計・発表された予測よりも、実際の人口減少が抑えられていると見ることができます。

また、20年近く前に発表された推計人口とその後の人口を比べてみると、2〜3割程度の過大もしくは過小評価のあった自治体もあります。これは自然増減以外の社会増減(移住など)の未来予測は困難であることを示していると言えるでしょう。

日本全体の人口減少傾向は言うまでもないですが、地方創生・地域活性化事業の影響によっては予測を上回る人口になっている可能性もあるかもしれません。

※出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」

(北九州ノコト編集部)

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