漢字&日本メーカー大好き! アメリカの日本車系カーマニアが着ているTシャツは「中毒者」!?

近年、アメリカは空前の「日本車旧車ブーム」が巻き起こっている。いや、正確に言うと旧車だけではなく、新車も日本車がスゴイ人気だ。フォードFシリーズやダッジ・ラムなどのピックアップトラックを除くセダン+SUVの乗用車カテゴリーでは、1位から8位まですべて日本車が占めている。そんな中で、子供のころから日本車と日本ブランドが当たり前に身近にあったアメリカのカーマニアたちはどのような趣味嗜好を示すのだろうか。今回はアメリカのカーマニア事情にも精通する自動車ライター 加藤 久美子さんが、現地での最新情報をお届けする!

アメリカの日本車マニアに大人気のTシャツ [Photo:加藤 博人]

新車のみならず旧車も…日本車を愛でる文化が定着したアメリカのカーマニア事情

日本に先駆け2018年に北米ニューヨークショーでまず先行発表された現行型「トヨタ RAV4」

SUVの本場、アメリカにおける新車販売の1位はトヨタ RAV4、2位.ホンダ CR-V、3位.日産 ローグ(日本名:エクストレイル)、4位.トヨタ カムリ、5位.トヨタ カローラ、6位ホンダ シビック。上位の1位から3位まではSUVが独占する。

新車も旧車も、アメリカで日本車は非常に高い人気を誇っている。トヨタ、ホンダの人気は80-90年代から続くものだが、近年はマツダとスバルの人気が急上昇している。2021年のコンシューマーレポートで自動車ブランド1位に選出されたマツダはCX-5やCX-30が特に人気だ。

ここは日本にあらず! 日本の旧車がナンバープレートごと北米にやってきた!?

ちなみに新車と旧車では同じ日本車でも好む層が異なると思われそうだが、アメリカの若者たちにとって「子どもの頃、家のクルマが日本車だった」という20-30代も少なくない。幼い頃から慣れ親しんできたブランドに信頼と親しみを覚えて惹かれるのは自然な流れと言えるだろう。

ということで今回は、昨今の(とくに2014年頃から)日本車旧車ブームで急増中の日本車「オタク」たちがどんなTシャツを着ているのかを調べてみた。

2021年10月末に筆者が訪れた「JCCS(日本旧車集会)」の会場で見つけた熱狂的日本車オタクが着ていたTシャツを何点か紹介してみよう!

「JCCS(日本旧車集会)」の会場で見つけた熱狂的日本車オタクが着ていたTシャツコレクション!

スケートボードの有名ブランド『DGK』とのコラボで製作された「雷鳴」Tシャツ。なお同シリーズで1999年型NSXをモチーフにした「白鳥」Tシャツもある。,こちらが「白鳥」Tシャツ。AE86が雷鳴でNSXが白鳥。どのような由来なのだろうか…
スケートボードの有名ブランド『DGK』とのコラボで製作された「雷鳴」Tシャツ。なお同シリーズで1999年型NSXをモチーフにした「白鳥」Tシャツもある。,こちらが「白鳥」Tシャツ。AE86が雷鳴でNSXが白鳥。どのような由来なのだろうか…

JCCS(日本旧車集会)とはJAPANESE CLASSIC CAR SHOWのことで、今年10月の開催で16回目を迎えた。昨年はコロナでオンライン開催となったため、今年初めて会場で取材することができた。

アメリカでも人気キャラクターである「初音ミク」のTシャツ。「初音ミクGTプロジェクト」はグッドスマイルレーシングが中心となり、2008年から日本国内最高峰の自動車レース「SUPER GT」に参戦している。左隣はR-Rydeと言うハイクラスなレストア車だけがメンバーになれるカークラブが作成したTシャツ。日本政府の紋章「桐紋」(五七桐花紋)に注目!

例年、ロングビーチで開催されてきたが、今年は大谷翔平選手が所属するエンジェルスのホーム「エンジェルスタジアム」での開催となった。出展台数は約500台、そして来場者はなんと1万人超!入場には長い列ができていた。

まずは会場で見かけたTシャツコレクションの一部をご紹介しよう。

旧車専用のカスタムホイールを製作するLove20Beeのフーディ(フード付きのトレーナー)。ワイド化した旧車のボディに合わせてホイールをワイドに作り替えるブランドとして人気急上昇中。, 西海岸っぽいデザインがカッコいい『KARUMA』のTシャツ。人気の日本車もたくさん。西海岸というかハワイっぽい素敵なデザインだ。
旧車専用のカスタムホイールを製作するLove20Beeのフーディ(フード付きのトレーナー)。ワイド化した旧車のボディに合わせてホイールをワイドに作り替えるブランドとして人気急上昇中。, 西海岸っぽいデザインがカッコいい『KARUMA』のTシャツ。人気の日本車もたくさん。西海岸というかハワイっぽい素敵なデザインだ。
左はJDM EGOという旧車パーツのブランドが作るTシャツ「THIS CAR SHOW SUCKS!」とは「このカーショウは最悪だ!」という意味。右はロングビーチで開催されたフォーミュラドリフトの公式Tシャツ, 背中に「激椅子」、左腕に「日本一」。JDMのシートと言えばやっぱりBRIDE。ちなみに英語的な発音は「ブライド」だが、BRIDEは「ブリッド」と読む。Tシャツにもわざわざ発音記号(brid)がついている。
左はJDM EGOという旧車パーツのブランドが作るTシャツ「THIS CAR SHOW SUCKS!」とは「このカーショウは最悪だ!」という意味。右はロングビーチで開催されたフォーミュラドリフトの公式Tシャツ, 背中に「激椅子」、左腕に「日本一」。JDMのシートと言えばやっぱりBRIDE。ちなみに英語的な発音は「ブライド」だが、BRIDEは「ブリッド」と読む。Tシャツにもわざわざ発音記号(brid)がついている。
アメリカでも40年以上の歴史を持つTRDブランド。高い機能性と信頼性を有するトヨタ車用のパーツブランドとして人気が高い。, Tシャツのブランドは不明だがAE86のTシャツは複数遭遇した。イニシャルDのゲームも同様に人気がある。
アメリカでも40年以上の歴史を持つTRDブランド。高い機能性と信頼性を有するトヨタ車用のパーツブランドとして人気が高い。, Tシャツのブランドは不明だがAE86のTシャツは複数遭遇した。イニシャルDのゲームも同様に人気がある。

2021年のキーワードは「NSX」と「Z」! JCCS(日本車旧車集会)の公式Tシャツに注目

この「悟空」とは言うまでもなく米国で絶大な人気を誇るドラゴンボールの主人公「孫悟空」のこと。日本車ファンは日本のアニメも大好き!日本文化全部好き!という人が多い。

JCCSも第1回開催から公式Tシャツを販売している。基本は毎年作成されるポスターをベースにしたデザインとなるそうだが、採用される車種はどのように決まっているのだろうか?

JCCS主催者のテリー&コウジ山口さんに聞いてみた。

JDMに似合うシートと言えばやはり「BRIDE」。アメリカで見かける日本の旧車、特にカーショウに登場されるようなクルマはほとんどがBRIDEのシートを装着している。, JCCSの公式Tシャツ。ヴァーチャルイベントとなった2020年バージョンである。
JDMに似合うシートと言えばやはり「BRIDE」。アメリカで見かける日本の旧車、特にカーショウに登場されるようなクルマはほとんどがBRIDEのシートを装着している。, JCCSの公式Tシャツ。ヴァーチャルイベントとなった2020年バージョンである。

「ポスターのデザインは毎年、テーマを決めてそれに沿った車両を選んでいきます。今年はすでに早い時点でリュウ・アサダさん(今年3月に逝去した世界的ミニカーデザイナー)のNSXと、去年お亡くなりになってしまった全米Zコミュニティにおいてかけがえのない存在であった240Zオーナー、ジョニーさん(片山豊氏の元秘書でもある高齢女性)へのトリビュートが決定していたので、それに合わせて周りの車両も決めました。」

「2019年はRX-7が記念年でその前はハコスカが50周年だったのでボディに50を入れました。

何かしら毎年記念を迎えるクルマがあるのでそれらを優先して決めていきます。

イベント公式の記念Tシャツは開催当時の2005年から毎年必ずポスターイメージを基準にしたものを作っています。色や配置など微妙に変わる場合もありますが基本はポスターを反映しています」

シートやホイール、車高調など、日本パーツの人気も高い!

北米での人気が特に高い車高調メーカー「TEIN」のTシャツ。二筒流の免許皆伝となったダンパッチが描かれている。「二筒流」とはショックアブソーバの単筒式・複筒式の意味。テインには両方を作れる技術があることをアピール?, KARUMAはJDMモチーフにしたTシャツを数多く出しているブランド。こちらは花札の図柄をベースにVIPカスタムのレクサスLSが描かれている。
北米での人気が特に高い車高調メーカー「TEIN」のTシャツ。二筒流の免許皆伝となったダンパッチが描かれている。「二筒流」とはショックアブソーバの単筒式・複筒式の意味。テインには両方を作れる技術があることをアピール?, KARUMAはJDMモチーフにしたTシャツを数多く出しているブランド。こちらは花札の図柄をベースにVIPカスタムのレクサスLSが描かれている。

アメリカの日本車オタクたちが着ているTシャツはやはり、クルマそのものをモチーフにしたデザインが多かったが、シートやホイール、車高調など日本のパーツブランドも人気だった。

中には日本でしか販売されていないTシャツをわざわざ日本の友人に頼んで購入したという日本車オタクもいた。日本旧車の人気はまだまだ続きそうである。

「中毒者」この一言ですべてが分かる? DATSUN 240Z(日産フェアレディZ)に夢中なアメリカ人青年だと思われる。
デビューから50余年が経過したが、いまだに北米でも熱狂的なファンも多い初代「日産 フェアレディZ」(写真は北米仕様「DATSUN 240Z」)

[筆者:加藤 久美子(自動車ライター)/撮影:加藤 博人]

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