旧グラバー住宅、全面公開 長崎の往事伝え国際性発信 来月、市民に無料開放

約3年ぶりに全面公開され、姿を見せた世界文化遺産の構成資産「旧グラバー住宅」。内装に加え、屋根や壁、庭の石だたみなども修復され、長崎観光の魅力がアップした=長崎市南山手町

 現存する日本最古の木造洋風建築「旧グラバー住宅」(長崎市南山手町)が24日、約3年ぶりに全面公開された。来年1月中、市民や市内の小中高大学に通う学生らを対象に無料開放する。
 同住宅はスコットランド出身の貿易商トーマス・グラバーが幕末に過ごし、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産に含まれている。2018年12月、半世紀ぶりの保存修理に着手し、ひび割れた外壁や屋根などを直して耐震補強を施した。今年11月までに内装とバルコニーの工事を終え、同18日から先行公開していた。
 新装した住宅内と庭園に3カ所ずつ、AR(拡張現実)技術を使った見学ポイントを設置。スマートフォンカメラを通して風景を見ると、往事の木や船、グラバー家族らが映し出される趣向を凝らした。

記念式典で旧グラバー住宅の全面公開を祝う関係者ら=長崎市、グラバー園

 現地で24日あった記念式典には田上富久市長らが出席。ブライアン・バークガフニ名誉園長は「グラバーらの功績だけでなく、長崎が持つ国際性などを日本の内外に伝えていきたい」と話した。
 愛知県から家族4人で訪れた三宅健太さん(38)=自営業=は、住宅を見て「洋風と和風が混ざり合っていて珍しい。庭もきれい。来て良かった」とほほ笑んだ。


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