大阪、京都、東京-。市中感染が相次ぐ新型コロナウイルスのオミクロン株の脅威が県内にも迫る。これまで幾度となく感染の波に翻弄(ほんろう)されてきた飲食店や介護施設、教育現場は感染の小康状態から再び「トンネル」に突入する事への不安を隠せない。
24日午後5時すぎ、宇都宮市中心部の繁華街・泉町。「割烹(かっぽう)たかしま」の女将高島智子(たかしまともこ)さんは予約客の来店を前に、テーブルやイスを念入りに消毒していた。
都内の市中感染確認のニュースに「いよいよ迫ってきた感じがする」と緊張感をにじませる。頭をよぎるのは営業時間の短縮や休業要請。「感染が落ち着いてお客さんが戻ってきて『頑張ろう』と思うとまた変異株。次から次に出てくる」
書き入れ時の年末年始は、感染状況が見通せないことで予約も直前にしか入ってこない。いっそう不透明な先行きに「やれることをしっかりやるしかない」と慣れた手つきで消毒作業を続けた。
「感染力が強いほか、どのような特徴があるのか分からない」。足利市の特別養護老人ホーム「まごころ」の施設長鈴木佑介(すずきゆうすけ)さん(41)は不安視する。隣接する群馬県桐生市の施設では12月にクラスターが発生し、オミクロン株でなくても危機が収まっていないことを再認識した。
オミクロン株が流行すれば、再び面会禁止の措置を取る可能性もある。入所者は2回のワクチン接種を終え、来年2月に3回目も予定されているが「オミクロン株にどれほどの効果があるのか」が気掛かりだ。
大阪府寝屋川市では教員1人のオミクロン株感染により、全校児童、教員へのPCR検査に追われた。
壬生町壬生小の中田智子(なかだともこ)教頭は「市中感染も時間の問題」と危機感をにじませた上で「感染が拡大した場合は、保健所などと密に連携したい」と気を引き締め直す。町教委は積極的にオンライン授業を活用してきており、担当者は「いつでもできる状態」と備える。
真岡西小は県の警戒度が上がった場合、調理実習など感染リスクが高い学習を取りやめる。大越武(おおこしたけし)校長は「何より児童の安全が第一」。児童の大半はワクチン接種の対象年齢未満だけに懸念も大きい。