JPCZ

 厳しい暑さや激しい雨を繰り返し経験したせいか、ニュースの天気コーナーで聞き慣れない言葉と出合うと、また新手の気象用語か、とつい考える。先週お目にかかったのは「JPCZ」。結論を先に言うと“新顔”ではなかったが▲冬型の気圧配置が強まると、シベリア大陸から吹き込む冷たい風が朝鮮半島北部の山脈でいったん二分され、風下で再び合流する。この時に日本海の上空で形成される雪雲の発達しやすいラインを言うそうだ▲日本語では「日本海寒帯気団収束帯」。日本海辺りの等圧線が朝鮮半島側にくぼむのが目印で、強い寒気とのコラボで日本列島に大雪を降らせる原因になるらしい▲この週末は「12月としては記録的な強さ」の寒気が入り込み、雪の多い地方は「不要不急の外出を控えて」と気象庁。そんな天気にそれでも出掛けるのだから不要不急のわけがない…と余計な反論を思いついたが、文句を言う先が違う。県内の予報にも「雪」のマーク、丸くなって過ごす日曜日▲コロナ新変異株の市中感染が次第に広がり、首相が「帰省は慎重な検討を」と呼び掛けた。自身も里帰りを見送るという。北京五輪は事実上の外交ボイコットが決まった。日本の選択は結局、横並び▲紙面でも寒いニュースが幅を利かせている。歳末、風が冷たい。(智)

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