わがまち回顧2021 諫早支局 開門問題 出口見えず

諫早湾干拓地を視察した金子農相(左から2人目)=諫早市、中央干拓地

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防開門問題は、解決の糸口を見いだせないまま越年することになった。
 2010年の開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審で福岡高裁は4月、和解への協議を漁業者側と国に提示。開門、非開門のいずれも前提とせず、国には協議での主体的、積極的な関与を強く求め、その出方が注目された。だが-。
 非開門の姿勢を堅持する国は「開門の余地を残した席には着けない」として、拒否。本県知事を務め、10月に初入閣した金子原二郎農相も「(開門せず、有明海再生に向けた基金で解決を図るとした)17年の大臣談話が最終的な国の考え方」だとして譲らず、開門派は「国は解決を阻んでいる」と反発を強めた。
 請求異議訴訟は結審し、来年3月に判決が言い渡されるが、司法判断が抜本的解決にならないことは、これまでの一連の訴訟の結果が物語る。開門派が求める訴訟外での話し合いにも国が応じる気配はなく、開門問題は出口が見えない長いトンネルの中にある。
 主なニュースは▽大久保潔重氏が市長初当選▽長崎ウエスレヤン大が鎮西学院大に改称▽ソニー長崎工場拡張▽轟峡のり面崩壊事故で、市が管理瑕疵(かし)責任認める▽本明川ダムの工期8年延長決定▽千々石ミゲル墓所推定地でほぼ全身の骨格が出土


© 株式会社長崎新聞社