Tuesday Vegan Cafe(チューズデーヴィーガンカフェ) ~ 営業は火曜日だけ!野菜の旨さを味わうヴィーガンランチ

福山市春日町に、火曜日にだけ営業するヴィーガンカフェがあります。

その名も「Tuesday Vegan Cafe(チューズデーヴィーガンカフェ)」。

美容室の建物内にある、隠れ家的なカフェです。

笑顔がステキなオーナーが作るワンプレートランチには、野菜の美しさと旨さがたっぷりと詰まっています。

福山市内や井原市の契約農家などから旬の野菜を仕入れ、その野菜を活かすように料理法を決めていくので、何度行っても同じランチにはなりません。

ヴィーガンのかたもそうでないかたも、一緒に笑顔のランチタイムを過ごしてみませんか?

Tuesday Vegan Cafeのワンプレートランチ

ヴィーガンとは「完全菜食主義(者)」のことで、肉や魚はもちろん、乳製品や卵、はちみつも使わない食生活(をする人)を指します。

「肉も魚も使わないなんて、味気ないのでは?」と思うかたも、ぜひ一度こちらのヴィーガンランチを体験してみてください。

肉も魚もなくても野菜がしみじみと旨い!そしてカラフル!

さまざまな調理法で展開される野菜の姿に、「豊かな食」を感じてもらえるのではないかと思います。

筆者が注文するのは、もちろんヴィーガンワンプレートランチのデザートセット 1,350円(税込)です。

150円しか違わないので、ぜひともデザートまで食べることをおすすめします!

店内はコンパクトながらも、落ち着いた雰囲気です。

キッチンで調理しているのは、オーナーの平田 夕花(ひらた ゆうか)さん。

ランチプレートが運ばれてきました。

手書きのおしながき。

いつもはだいたい8品くらいだそうですが、取材した日は玄米ご飯も含めて12品!

料理のなかで特におすすめは「旬の葉野菜のソテー」とのこと。

ミブ菜とナバナ、カツオ菜(カツオのような風味がある野菜)の3種類を使っているそうです。

ニンニクを効かせた葉野菜のソテーはシャキシャキとした歯ごたえ。なるほど、これはうまい!

かぼちゃの周りにあるのは、レンズ豆

レンズ豆は下ごしらえの手間が要らず栄養豊富なおいしい豆で、海外ではよく食べられているそうです。

ガラムマサラ、コリアンダー、フェネグリークなどのスパイスで煮てあります。

かぼちゃとレンズ豆とスパイスのマリアージュは初めて出会う味ですが、素直に体に入ってくる感じです。

その隣の赤い不思議な大根は、紅芯大根(こうしんだいこん)という、もとから中身が鮮やかな紅色をしている大根で、普通の大根よりも辛味が少ないのも特徴なのだとか。

紅芯大根のステーキは、やわらかく甘く、とろけます。

スープは、2色のマーブル状になっています。

さつまいも、さといも、じゃがいものポタージュスープの一部を取りわけて紅芯大根で色づけしてから、出す前に混ぜているのだそうです。

3種類のお芋の旨さが溶けたやさしい色合いのスープが、気持ちも温めてくれました。

では、存在感たっぷりの揚げ物を食べてみましょう。

厚揚げとひらたけの唐揚げです。

下味のついた厚揚げに、五香粉(ウーシャンフェン)の香りをまとわせています。

噛むほどに旨さが押し寄せてくる、満足感のある一品です。

スイスチャードのサラダには、麹ドレッシングをかけて。

赤、黄色、オレンジなど、色鮮やかなスイスチャードはクセのない、爽やかな味。

紅芯大根の赤も映える、美しいサラダです。

焼きかぶに添えられた、ブロッコリーのソースがまた、旨い。

ご飯は減農薬の玄米です。

ふっくらとおいしい玄米の滋養をいただきます。

春菊としいたけのおひたしは、しいたけの食感がたまりません。

料理に使う野菜は、山野町の日曜朝市や、井原市で農業をしている友人、山野町に移住して自然農に取り組んでいる友人などから仕入れているそうです。

仕入れた旬の野菜を見てからメニューを考えるので、出す料理は毎回違ったものになるのだとか。

他の日のお料理を見せてもらいました。

(画像提供:Free style)
(画像提供:Free style)

Tuesday Vegan Cafeのデザート

いよいよ、デザートタイムです。

ドリンクは、メニューのなかから好きなものを選べます。

悩んだ末、梅の酵素ジュースに決めました。

取材した日のデザートは、豆乳プリンとブルーベリーのバルサミコソース、そして、キャロットケーキでした。

豆乳プリンにブルーベリー、甘味と酸味のバランスが絶妙です。

キャロットケーキは、シナモンの香りが効いていて、いくらでも食べてしまいそう。

酵素ジュースとは、果物を発酵させて作るジュースのこと。

胃腸にやさしい飲み物として、断食中の糖分摂取に使われることもあるそうです。

梅の爽やかさと甘さで、ここちよく喉を通っていきました。

料理のことやお店のことなどを、平田さんに聞きました。

Free style 代表 平田 夕花さんインタビュー

飼っているヤギの話になると笑みがこぼれる平田さん。「かわいいんですよ、ヤギ!」

Tuesday Vegan Cafe を含め、平田さんは Free style の名前でさまざまな活動をしています。

山野の暮らしとカフェ

──なぜTuesday Vegan Cafeは、火曜日しか営業していないのでしょうか。

平田(敬称略)──

実は、日曜日に山野町のキッチントレーラーで営業していますし、木曜日にはヨガ教室をやっています。

他の曜日には、友人の畑で自然農を教わったり、お弁当の注文をお受けしたり。

今、興味のあることにいろいろ挑戦してみているところです。

山野町のキッチントレーラー。手前が平田さん、奥はお母さん。

平田──

2019年の6月から、実家の美容室の敷地(Teusday Vegan Cafeの場所)にキッチントレーラーを置き、スムージーのお店を始めました。

福山市内を中心にイベント出店もしていたのですが、友人に誘われて2019年の秋に山野町の「おやまのいろどり市」でお店を出したんです。

そこから、山野の自然の中でお店をやってみたいという思いが募ってきました。

母の友人だった山野峡大田ワイナリー代表の大田さんに相談したところ、ワイナリーの駐車場でやっていいよと言っていただき、2020年の3月から土日祝日の営業を始めました。

現在は、ワイナリーで毎週日曜日に開かれる朝市に合わせて、日曜日のみ営業しています。

山野峡大田ワイナリー。写真左端にキッチントレーラーがある。
ピンクの建物がワイナリーの目印

──山野のキッチントレーラーでは、どんなメニューがありますか。

平田──

コーヒーや手作りのドリンク類、山野の野菜と豆乳を使ったスープ、玄米がゆなどを出しています。

焼き野菜のそば粉クレープも取り入れたいですね。

キッチントレーラーで出していた野菜と豆乳のスープ。野菜の旨みがたっぷり。
おやまのいろどり秋市で出していた、焼き野菜のそば粉クレープ。そば粉も山野でとれたもの。

キッチントレーラーの営業日

  • 4月~12月は毎週日曜日営業
  • 1月~3月はワイナリーの公開日に合わせ、月1回第3日曜日に営業予定

──今、山野にお住まいだとか。

平田──

はじめは実家から山野に通っていましたが、ますます山野の自然の魅力に取り憑かれてしまって。

大田さんから「いい家があるよ」と紹介していただいたので、思い切って山野に移住することにしました。

自分で家を修理したり、畑を作ったりしながら、犬、猫、ヤギ、ニワトリと一緒に暮らしています。

周りは温かいかたばかりですし、山野の暮らしを満喫中です。

山野では、ヨガ教室も開いています。

「おやまのちいさなヨガトリート」として、ランチ付きのレッスンをやったり、山野の公園でヨガをしたり。

瞑想のクラスも計画中です。

──カフェの営業が火曜日だけの理由がよくわかりました!それで全部をひっくるめて「Free style」なんですね。

平田──

Tuesday Vegan Cafeをオープンしたのは、2021年の9月です。

少しずつ、やりたいことを形にしてきました。

お弁当の注文は火曜日以外でも受けつけていますので、お問い合わせくださいね。

(画像提供:Free style)

ヴィーガンとヨガの考え方

──ヴィーガンに出会ったきっかけは。

平田──

ハワイに留学したときにヴィーガンを知り、ダイエット目的で始めてみたのですが、環境問題や動物愛護の精神とも通じることがわかって続けています。

最近は完全なヴィーガンではなく、卵と魚を少し食べることもあります。

マクロビオティックに近いかもしれません。

──ヴィーガンとヨガは似ているのでしょうか。

平田──

2つの考え方は同じではないのですが、似ているところもあります。

たとえばヨガの考え方のなかには、「暴力的なことを慎む」、「捕まえようとして逃げるものは食べない」などがあるんです。

(画像提供:Free style)

──なるほど。料理はどのように勉強したのですか。

平田──

ナチュラルフードコーディネーターの資格を取っています。

ここでヴィーガン料理の基本を勉強しました。

他には、インターネットや書籍からレシピを探して参考にしています。

──豆乳のスープはしみじみと野菜の旨味が感じられてとてもおいしかったのですが、ヴィーガンメニューだと、ダシは何を使うのでしょうか。

平田──

昆布やきのこを使います。

それに、いろいろな種類の野菜をじっくり煮込んでいくと、いい味が出てくるんですよ。

隠し味として、味噌やスパイスを加えるのも旨味を引き出すポイントです。

──たしかに、ランチプレートにもいろいろなスパイスが使われていました!

平田──

大量生産も気になるところです。

だから、ヴィーガン料理にはよく使われる大豆ミートも、袋に入っている工場生産のものは使わず、自分で豆を茹でて潰したり、豆腐や厚揚げなどを利用したりしています。

これからやってみたいこと

「この間、ヤギが脱走して大変だったんですよ~!」と笑顔で雑談。子ヤギでも柵を軽く飛び越えるそうです。

──今、少しずつやりたいことを形にしているとのことですが、これからどんなことをやってみたいですか。

平田──

もっといろいろ勉強したいと思っています。

たとえば、山野にはたくさんの知恵があるのですが、若い人が受け継いでいないので、このままでは文化が廃れてしまう。

漬物の作り方や、塩の作り方、野菜の栽培、そんな知恵をたくさん持っているおばあちゃんたちがいなくなる前に、学びたいのです。

お客さんに自分の畑でできた野菜を食べてほしいですし、ヨガのクラスも発展させたい。

やりたいことはたくさんあります。

自由としなやかさと強さ

平田さんから感じたのは、ハワイの自然のような自由とおおらかさ、山野の風景のような美しさとストイックさ、そしてしなやかさと強さです。

Free styleにその形を変えながら、さまざまなことに挑戦する平田さん。

これからも、いろいろな姿を見せてくれることでしょう。

とても楽しみです。

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