<書評>『公民館のしあさって』 「一体何者?」が集結

 沖縄(繁多川)からの発信! 「しあさって??」を語る彼らは、一体何者たちなのか?
 本当に、面白い、しかも、考えさせられる「公民館」本が、ここ沖縄(繁多川)に生まれている。「地域」には、こういう場所があり、そこで、人と人とが出会い、学び、そして、つながる/広がる活動がある!そういうことを、対談、座談会を挟みながら、「力まず」「楽しく」、しかし、「冷徹に今を見据えて」紹介してくれている。写真/イラスト(学者顔負け?)/コラム/スタッフ・関係者等の一言も効果的。だから、「公民館」の何たるかも、リアルに、そして、深く分かる。
 しかるに、本のタイトルは、「公民館のしあさって」である! 「あした」でも、「あさって」でもないのである。そこに込められた思いとは? まなざしとは? この著者たちは、一体何者たちなのか。そして、彼らは、そこに何を見いだしているのか。「面白いが、考えさせられる」のは、その異色の執筆陣によるわけであるが(ここでは、残念ながら、彼らのことを具体的に紹介できない。彼らの出会いは、偶然?必然?)、彼らの熱き思いと「しあさって」を見つめる目には、間違いなく時代(次代)がある。
 しかも、そこには、あの「おきなわ」にまとわる「怨念?」もない! それが、すがすがしい。ただし、ここでは、エジプトの「ミギードさん」のことは(「ター公民館」や「グローバル公民館」も含めて)、ぜひとも触れておかなければならない。それがなければ、本書もなかった。最初の引き合わせ人?として(今更おこがましいが)、まさかこんなことになろうとは!
 最後に、「NPOの指定管理」であるが、「人事異動がない。思い、やる気のある人が頑張れる。だが、その指定の保障はない。職員の生活には潜在的なリスクがある」。だから行政の意識(覚悟?)が、一方で問われる。そういうことであるが、これからどうなっていくのか。とにかく、今は、やるしかない。 頑張れ、(繁多川)公民館! 思いをもった人たち!
 (井上講四・教育協働研究所岳陽舎代表・元琉球大教授)
 公民館のしあさって出版委員会 公民館館長、社会教育・生涯教育の専門家、建築家などで構成。13人が執筆に関わり、熊井晃史(個人事業主)と西山佳孝(タウンキッチン取締役)の2氏が編集した。

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