Go To トラベル給付金不正受給、HIS記者会見一問一答【全文書き起こし】

エイチ・アイ・エス(HIS)は、子会社のミキ・ツーリストとジャパンホリデートラベル(JPH)による、Go To トラベルキャンペーンの給付金不正受給問題で、調査委員会による報告を受けて、12月24日午後に記者会見を開いた。

澤田秀雄会長兼社長、中森達也専務、織田正幸常務、矢田素史上席執行役員(CFO)が記者の質問に答えた(括弧内は編集部による補足)。

ー今回の調査結果を受け、HISとしてはこの責任についてどのような処分、対応を考えているか。

(澤田)HISとしては、今回の問題を大きく受け止めまして、子会社のミキ(・ツーリスト)に関しましては、社長を解任させていただきます。ジャパンホリデー(トラベル)に関しましても、厳しく処理をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

ーHIS本社についてはどのように対応する考えか。

(澤田)HIS本社に関しては、本社はほとんど今回関与はしておりませんけども、関係役員に関しては若干の処理をしたいと思っております。

ー中森さん、織田さんはJPHの役員も兼任されているが、責任はどうお考えか。

(澤田)役員でありますので、責任がないというわけではないと思っております。処分に関しましては、後日にさせていただきたいと思います。

ー澤田会長本人は子会社2社でこのような問題が起きていることについてはいつ認識したか。

(澤田)認識したのは、12月の初旬だと思っております。

ーGo To(トラベル)事務局の調査などは今年4月ぐらいから始まっている。ミキ・ツーリストに関しては11月中旬には全社員に説明をするメールも出ている。そういった中で、HIS本体としてこの問題の認識が遅れたんじゃないか。

(澤田)関連子会社、2、30社ありますので、そのうちの今回2社が問題を起こしたわけですけど、若干遅きに期したかなという感はあります。

ー調査報告書では、今回の契約、特にミキ(・ツーリスト)については、給付金を不正に受給するための契約だったと認定されている。荒武(純一)弁護士(調査委員長)も詐欺にあたるとおっしゃっていた。HISとしてこの点はどう認識されていて、どう対応するか。

(澤田)もちろんもってのほかだと思いますので、まずそれに対してどういう風にきちっとするかということは、今後もう少しきちっと内部で協議してからにしたいと思ってます。ただ、ミキ(・ツーリスト)の社長もしくは役員に関しては、今年中、遅くとも来年には一応解任したいと思っております。

ー告発をされる考えはあるか。

(澤田)今のところはまずないですけども、状況次第では考えないこともないです。

ーHIS本体の関与はなかったということだが、ガバナンスの意味で責任はどう会長自身考えているか。

(澤田)ガバナンスが少しやっぱり甘かったかなと思ってますので、まあ今後ここらも全部、もう一度見直していきたいとは思っております。

ーもう一度見直していきたいっていうのは、例えば、今回こういう点が足りなくて、どういう風にしていきたいというのはあるか。

(澤田)先ほど申しましたように、うちに2、30の子会社がございます。この子会社にもう一度全社長と面接をしまして、物の考え方、倫理観なんかも教育をしていきたいと思っております。それと共に規程類、ルール類、ガバナンスももう一度見直していきたいと思っております。厳しく対処していきたいと思っております。

ー(澤田会長)ご自身の処分は何かお考えか。

(澤田)今のところはまだ考えておりませんけど、内部できちっとした委員会が開かれて何かあれば、それは処分されても少しは仕方ないかなと思っております。先ほども申しましたけど、HISは一切関与をしておりませんので、たまたま子会社の管理不行届ということは申し訳ないと思っておりますけども、今のところは考えてまだおりません。

ー今回その不正受給が委員会で認定された給付金について、返還についてどうお考えか。

(澤田)これはきちんと話し合いまして、返還するものは返還したいと思っております。

ー今回認定された分について、全て返還するということまではまだ言えないということか。

(織田)先ほども6.8(億円)というあの最大限の数字をお示しさせていただきましたが、その内容を精査して、不適切というものは返還させていただきたいと思います。監督官庁さんとも十分に協議をさせていただきたいと思います。

一度その認定された分に関して、会社として精査して返還する分は検討するということか。

(織田)そうですね。もちろん不適切、不適当というものはあのお返しするべきだと思います。

ーGo Toトラベルの来年また再開が見込まれている。今回子会社2社も含めて、HISグループとして参画はどう考えているか。

(中森)2社に関しては参画できないと考えております。希望として、親会社であるHISは参加したいと考えていますが、私たちが決められることでもないと考えております。

ー2社に関しては自ら参画を取り止めるという理解でよろしいか。

(中森)そうですね、辞退すべきだと思います。

ー延期していた決算の発表を近くとおっしゃっている。例年年明けに株主総会の招集通知かけているが、そのスケジュールに間に合うようにするには、年内に普通に考えると決算発表しないとと思う。どうお考えか。

(澤田)年内に決算発表をしようと思っています。株主総会も本来の予定通り行いたいと思っております。よっぽどのことがない限りですね。

ー今回の報告書でもJHAT(の平林氏)という以前、御社で社長を務めていた方が大きく関与されている。澤田会長自身、その間平林さんとやり取りされたかとか、今そこについてどう考えているか。

(澤田)僕がハウステンボスに10年ほど社長をしてて、まあその時少し平林(氏)が(HISの)社長をやってて、僕は(HISに)帰ってから彼を社長から外したという経緯があります。それ以後の話し合いとか取引とかいうことは一切ございません。

ー平林さんが社長を務められてるJHATが大きく関わっていることについての受け止めはどういうものか。

(澤田)非常に問題だなという感じをしてます。今後当たり前のことですけど、JHATとの取引は一切、うちはしませんし、関連子会社もそういうことはさせませんので、という風に決めております。

ー今回の問題の根っこはどこにあるとお考えか。個人に帰属するものなのか、組織なのか、それとも旅行業の何かその商取引の慣習によるものか。

(織田)不正不祥事というのはですね。いろんな要因が残さなくて起きるものだと思っております。大きく3つある。1つは意思・意図・思い、2つ目は能力、3つ目が環境・土壌ということで、ミキ(・ツーリスト)さんの件でいえば、意図・意思って言うと業績が落ち込んで、それを何とかしたいとかいうところ。能力的にはトップ経営陣の関与。土壌・環境と言うとコロナによる経営悪化、そしてJHATとの人的繋がりというようなものが3つが揃ったのかなというような感じで、必ずしもその業界とかそういったものではなく、不正というのはそういう状況で起こるのかなという今回の感想を持っております。

ーミキ(・ツーリスト)は御社の子会社というだけではなく、他の大手旅行会社も出資しており、広く旅行業界の大手ツアーオペレーターとしてかなりの取引があり、ミキに依存してる部分がある。御社だけではなく、旅行業界のインパクトでも大きいと思うが、自社、旅行業界の影響度について、どう考えているか。

(澤田)ミキトラベルさんというのは全くヨーロッパを中心にランドオペレーターといって現地手配の会社でございます。今ほとんど海外でございませんので、すぐに大きな影響はないと思います。将来海外が始まっても、我々HISは海外に支店がございますから、そんなに大きな影響はないと思います。他の旅行会社さんも入れ先というのはたくさんございますので、若干はあっても大きな影響はないんじゃないかと思っております。

ーミキ(・ツーリスト)も主体的に関わったんじゃないかというところで非常に業界、ものすごく衝撃を受けてるのが実際だと思うが、HISに何か業界からの反響、取引先からの問い合わせ等含めてといった声が入ってきていて、どういう風に受け止めているか。

(中森)ヨーロッパのランドオペレーターとしてミキ(・ツーリスト)が必要だということを非常に言われております。今回社長が解任になりますけど、HISから社長を送って、継続して業務ができるようにしたいと考えております。

ーJPHの今回の不正の認識について、中森さんと織田さんがいらっしゃいますので、直接当時の認識についてお伺いしたい。

(中森)毎月、私と織田が取締役会に参加しております。取締役会の議案、業績報告を受けていましたが、この件は報告されていませんでした。報道等が出だして問題が発覚しましたので、HIS本体の役員をすぐ集めて、社長より報告させて本日に至ります。見解とすれば、JHATとのビジネスで安易に受注型の企画旅行を社長の単独判断で、JHATの平林とやってるってことは適切性に欠くものと思われます。今回の不祥事を認識できていませんでしたので、今後、代表取締役の職務の執行を厳しく監督する体制を強化するとともに、不祥事に責任のある役員に対する処分の検討をしていきたいという風に考えております。

ーそもそもこういう契約自体あったことすら知らなかったということか。

(中森)あの取締役会での報告はありませんでした。

ー至らない点があった時、お2人はどういう体制であれば、これは把握できたというような認識はあるか。

(中森)やはり社長単独判断ですね。ここでやられることが先ほど申し上げた通り、適切性を欠くというところですね。この辺が役員会議のきっちり出されて議論されていれば、この辺が防げたんじゃないかなと考えております。

ー決算は年内にというお話ありましたけど、一方で実際にいくら返金するのかが決まらないとなかなか難しいところもあると思うが。

(織田)決算はあの監査法人の作業中でございますので、作業中において、金額確定できるのか、後発事情になるのか、それは今後のご指導をいただきながらやっていきたいと思います。

ー返金額が決まらないでも発表する可能性はあるということか。

(織田)監査法人さんと詰めていきたいと思います。6.8(億円)最大限を見込んでやるという手段もあるかと思います。

ー澤田会長が12月上旬に知ったという発言があったが、今、役員を集めてという中森さんの説明もありましたが、関係性、澤田会長は何をもって、どういうルートで知ったのか。

(織田)関係会社管理管掌ということで、職務を負っておりますけども、ジャパンホリデー、ミキトラベルから第一報を受けたのは私です。その時期はミキトラベルに11月の社員に向けた、いわゆるメッセージが走られた時、この時の翌日にミキ(・ツーリスト)の社員から当社の社員に対してそういった情報が入り、その情報を僕が入手したという経緯でございます。その後、個人情報の問題だけなのか、正直内容はものすごく深い内容だったので、口頭の説明だけでは分からない、きちんと経緯報告をしてください。顛末書を書いて説明しなさいという指示を出し、それを受け取って共有したのが12月になっているという認識、理解できよろしいかと思います。ジャパンホリデーも同様に、初めて私に報告があったのが、口頭説明が11月の後半です。11月30(日)か29(日)、そのあたりだったと思う。その報告を受けて、同じように口頭だけの説明、同じような内容なんですけれども理解に苦しむということで、書面において説明する、それを説明をしっかり役員で共有したのが、こちらに書いている11月30(日)ですかね。ミキ(・ツーリスト)が12月1日。第一報を受けたのは11月に入ってから、後半以降という認識でご理解いただければよろしいかと思います。

ー澤田会長の認識の12月上旬というのは、11月30(日)でいいか。

(織田)澤田会長にお話したのは、我々の役員が集まった朝会がある。そういった場で報告しておりますので、それより以降、12月に入ってからだったかもわからない。

ーJHATの平林さん、(HISの)元社長ということで、ハウステンボスが帰ってきて辞めたとやめさせた、やめてもらった。その後どういうその関係だったのか、社長まで任せるような人物とそこまで疎遠だったとは通常は思えない。

(澤田)いや、ほとんど会話もなければ連絡をしてませんのでほとんどないです。これは間違いないです。

ー同じビルに入ってたりして、色々こうすれ違ったりとか色々。

それも知らなかったんですね。我々が今のビルに入ってそれから来られたみたいですけど、空いていたこと自体をほとんど知らなかったですね。だからエレベーターで会ったことも一度もないんですね。これは本当です。

ーミキ(・ツーリスト)の事案を発覚は11月の「いつ」と理解しているか。

(織田)社員向けにメールを流されたその翌日だと思います。

ーそれはいつか。

(織田)11月の16(日)か(1)7(日)だったと思います。

ー先程の社長の単独犯というおっしゃられ方をしたが、ミキ(・ツーリスト)のことを指されてるのか、それとも両者のことを指してるのか、あれはどちらを差しているのか。

(中森)ジャパンホリデー(トラベル)もミキ(・ツーリスト)も。ジャパンホリデー(トラベル)の方が、単独犯という方じゃないですけど、単独判断っていうのが強かったかなという風に思います。

ーミキ(・ツーリスト)なんですけれども、協賛金契約を結んでいて、それによって折半されたという風に認定されているが、社長が個人的にキックバック的なものを受け取った可能性は疑っているか。

(織田)その辺は調査委員会の方でしっかり調べていただくということでしか我々ははないんですけども、疑っているという意味ではそういうこともあったかもしれないなという疑念は持っておりますが、我々の中の調査では全くわからない。調査委員会にその辺の主導権は預けて調べていただけるというところでございます。

ーJHATは御社の直接の関係の会社ではないが、先ほどの調査委員会の会見でも、上下関係というか、元々HIS社内での人間関係というものが影響した可能性はあったのではないかという発言があった。別の会社とはいえ、ある意味人間関係が継続したことによるHISとしてのガバナンスの問題ということも考えられなくもないと思う。この点はどうお考えか。

(澤田)僕は一切の連絡も話も食事も一切してませんし、僕はございませんけど、まあうちの幹部役員の中でコミュニケーション取った人間がいてる可能性があると思います。

ーそれに関して、社内的なガバナンスという意味で、どうお考えか。

(澤田)もちろん既に発令してますけど、一応JHATとの一切の関係取引は厳罰に処するということで、今のところは全部ストップさせてるつもりです。それはないと思ってます。ただ、昔うちにいた人材ですので、昔の人間関係は若干あったとは思っております。

ーこれからのミキ・ツーリストは役員は総退陣し、HISから社長を送り込んで再建するという形になろうかと思う。今後どのように成長させていくかという青写真あればお聞きしたい。ミキの(檀原)社長が鳥取県の八頭で地方創生事業をやられてるが、それはどうするお考えか。

(織田)ミキ・ツーリストに関しましては、ヨーロッパマーケットに非常に強い会社ということで、HISとしてもなんとか再生をしていきたい、立て直したいと思いが強くあります。経営陣は刷新し、弊社のヨーロッパ市場に強い人間を送り込み、ヨーロッパにある当社のHISの拠点、ミキの拠点をしっかりと融合し、シナジーをとりながら、新しい新生ミキ・ツーリストを作っていこうという思いでおります。営業計画的には向こう5年間で、コロナ等との影響ございますが、まあ7割、8割このぐらいまでの業績回復、信頼回復が最大の我々の仕事だと思っておりますけども、それをしっかりと履行した上で、前に積極的に再生させていきたいという風に思っております。

地方創生事業、檀原(社長)のミキ(・ツーリスト)でやっているとはいえ、強い意向が入ってた事業でございますので、こちらの方からは当社からは、先方との話でもあるんですが、我々の勝手なところで行きますと、事業からの撤退っていうようなところを考えていかなければいけないと思ってます。

ー今後の経営方針、経営戦略について、第2四半期の決算会見の際に国内旅行をアフターコロナに向けて飛躍的に伸ばすと、従来の4倍くらいに伸ばすかですね、Go To トラベルが始まれば19年比の2倍くらいには達成できるんじゃないかという話もありましたけども、今回こういう事案を受けて、その辺の戦略に何か変更あるのか、影響はあるのかどうかを教えてください。

(澤田)引き続き国内旅行は強化していきたいと思っております。今でも、昨年の倍伸びておりますけど、これをできれば3倍、4倍伸ばしていきたいなと思っております。経営方針としては、先程も言いましたように、海外が今ほぼ0でございますので、国内に全勢力を注ぐということと、新しい事業、新しいビジネスをどんどん育てようということをやっていくつもりですし、やっております。

ー今回こういう事案が起きて、お客さんの間でもやっぱりHISとGo Toトラベルを結びつける意識もあるかと思うが、影響の想定はないか。

(澤田)今のブッキング大体4,000前後なんですけれど、毎日。今のところ大きな影響は出てないと思っております。

(中森)HISはお客さんのためにですね。旅行を通じて、サービスのできることをですね、サービスを提供することにこういうことがありましたけど、全力を尽くしたいという風に考えております。

ー役員会では報告がなかったとお聞きしたが、コロナ禍で、インバウンドをやっている会社の中で、合計20億円強の取扱高が目立たないくらいの状況だったのかというのが、いささか不思議に思う。

(織田)Go To トラベルが始まって、給付金枠がJPHに対して、最初6億円ぐらいから始まった時に記憶してるんですけども、そこで在日中国人の方に国内旅行を販売していく、そういった報告を受けていましたので、そういった意味ではそこで増えてるというところでは、我々ちょっとそこで疑念を待つことは正直なかったです。

ー平林さんに関して、澤田さんとの長い間、多分20年以上、HISにいた方だと思うが、今回の事件の前の段階でどういう人となり、どういう風な存在の方だったのかってことと、HISの社長を辞めることになった理由は。

(澤田)実力はあったと思いますよ。だから上り詰めていったと思うんですけども、ただ若干、若干ですけども、人間性にちょっと腑に落ちない点があるかなということは感じてましたので、僕はハウステンボスの10年間の社長を終えて、帰ってきた時に社長を外したというのが現実的ですね。はい、これ実際にやったわけですから。

ー今回事件が発覚してから直接コンタクトは一切してないか。

(澤田)一切ないですね。

ーミキ・ツーリストの方なんですけど、普通、旅行会社が手配した場合は旅行会社のGo To(トラベル)の給付枠を使うというのが一般的であって、ミキ・ツーリストは訪日、海外のランドオペレーターで、Go To の給付枠が少ないことで、今回JHATの枠を使ったということになると思いますけど、常識的に旅行会社が手配していて、その旅行会社の枠を使わずホテル側の枠を使うということはあり得るのか。

(織田)ミキ・ツーリストは、もともと日本人のヨーロッパに送る、現地でのランドオペレーターでございまして、今回のいわゆるGo To トラベルのスキームは、いわゆる国内旅行のスキームでして、ミキ・ツーリストそのものはGo To(トラベル)の給付枠を持っていないっていうのが出発点っていう風に理解してます。

ーそういうところがGo To(トラベル)の枠を使って手配するということは普通はありえないと思うんですけど、JHATの枠を使うという今回スキームは普通ありえないんですよね。

(織田)ですので、私どもも調査委員会の報告を受けまして、JHATとミキ・ツーリストとがいわゆる一緒にやっていたっていう結論に至っているということを我々も認識しております。

ーJHATの平林社長との接点、先程澤田社長はないというお話でしたけれども、やり取りすることがあったのか、仕事の相談も含めて。

(中森)HISを退社されてから一度も会ったことがございません。

ー会ったことはないというは連絡も取ってないっていうことか。

(中森)連絡も一切取っておりません。あの一度はですね。ヒルトンホテルの前で会って、こんにちは、こんばんはと言いましたけど、それ以来は一言も話しておりません。

(織田)辞められてからですね、すぐの時に、今handyっていうですね、彼がやってる会社があった。そこに出資してくれというような依頼を受けて、いろんなプレゼンテーション資料をもらったり、そういうことはしたことあります。それでも出資は断ってます、当時。その後はですね、個人的な付き合いはございません。偶然に会った、半年前ぐらいですね。偶然に会ったことは一度だけございました。

ーということは今回の件でも全く相談だったりとかはなかった。

(織田)全くないですけど、それ全くないです。

ーJHATとのスキームで20億円を超える取扱高を計上できる見込みだという説明をあえて社長は隠していたということか。もし隠したんだとすると、主体性がないというのが腑に落ちなくなってくる。

(織田)隠した、隠蔽したっていう風に私どもは理解しております。その理由は、HISにこの件を報告をあげると、手前どもがJHATとそういう取引をなぜするのと、必ず我々は言うと思います。それを当人は避けたんではないか。これ憶測ですけども、本人と話してませんので、そういうことだと思います。

ーJHATの設立の経緯なんですけれども、澤田社長は先ほど平林さんとは全く会われてないっていうことだったんですけれども、ただ実質株主としてJHATの親会社という部分も一部あるかと思うんですけれど、全くその相談がなく設立された、そういう認識でいいんですか。

(澤田)株式は一切出資していませんし、さっきも言ったように一切のそういう関係も連絡も、僕とかHISは取ったつもりはないですね。

ーJHATの一番メインの株主の方と澤田社長、面識はありますよね。

(澤田)JHATの株主ですね。完全には知りませんけどもあるかも分かりませんね。

ーその方だったりから、今回相談を受けたとかですね。JHATのところを心配するような声っていうのは何か聞かれたりとかあったんですか。

(澤田)僕自身は一切ないですね。まあ相談もなければ、はい。

(織田)あの、私もそういった相談を一切ないですね。

ー先ほどから平林さんの話が出て、振られると皆さんいい感じを持ってないのかなと思うんですけども、なぜ辞めたのか。

(澤田)なぜ辞めたかは分かりませんけど、多分僕がハウステンボスで10年間社長やって、HIS(の業績)が若干落ちてきてましたから、HISを立て直すんじゃないしね、もう1回盛り返そうということで帰ってきたのが関係してるんじゃないかと思ってます。

(中森)辞める前に私がですね。最後挨拶する時に聞いたのは、当時アコーディア(・ゴルフ)の社長をやるんで、新しいことにチャレンジしてみたいって言ってた記憶はあります。実際アコーディア(・ゴルフ)の社長されてますし、50代前半で新しいことにチャレンジしたいって言っていた記憶はあります。

ー調査委員会の報告でも、今回のこの不正については、JHATの平林さんの主導というところが強く出る。先ほど澤田さんも人間性に問題があるということもおっしゃいましたけれども、HISの元社長の平林さんによって、今回の不正でHISの子会社がそこに関わることになったということについて、率直にどういう思いを持ってらっしゃるのか。

(澤田)あの人間性に問題があるとは言ってませんので、少しあるんじゃないかと感じただけであってですね。今回の問題は痛く、HISは何もやっておりませんけども、子会社がこういうことになるということ自体はやっぱり問題ですので、僕としては非常に反省しまして、今後子会社の管理、コンプライアンスの問題とか強化していきたいなと思ってます。もう一度先程も言いましたように、2、30の子会社がございますので、もう一度社長と面接して人間性の問題とか、物の考え方とか、倫理とかの教育をしていきたいなというのが今の本音です。

ー平林さんに対しておっしゃりたいことはあるか。

(澤田)いや、もうなんて話ムカついてますね。何でそんなことするのかと。いつも僕はスタッフに言ってますけど、悪いことしたら必ずわかるんだから悪いことは絶対するなとスタッフに言ってますので、そういうこう、どの程度悪いがちょっと置いておいてもですね。そういうことがされたということは非常に残念に思いますよね。

ーHISとしては、Go To トラベルを正しい使い方で、去年やられてきたということなんですけど、澤田会長にとって、Go To トラベルという制度自体、非常に会社の業績に貢献したというか、救われたという部分も含めて、Go To トラベル対しての考え方、思いがあったら教えてください。

(澤田)Go Toトラベルはお客様に取っても、我々旅行業界にとっても非常にプラスですので、非常にいいあれ(施策)かなと。旅行にみんな行っていただいて、地域の活性化にもなって、非常にいいかなと感じております。

(中森)非常に観光業界がですね、今インバウンドが来なくなったり、海外に出れなかったりですね、非常にあの旅館もはじめて苦労しております。旅行者がコロナが収まってですね。旅行者が動き出すきっかけになると思いますので、それは制度的に感染の結果にもよりますけど、制度的に非常に旅行業界、観光業界を助けるものだという風に思います。ただ、割引額は20%ぐらいになるってことなので、あの以前のようにに50%とかないので、その範囲でやっていただければ日本国内でお客さん増えるんじゃないかとで旅館とか、ホテルが助かって将来の国策であるインバウンドにつながっていくんじゃないかという風に考えられると思います。

ー元々海外旅行の売上比率が高かった中で、お客様の中から本当にこの1、2年、HISが国内旅行を強化していろんな商品ができたっていう声も聞かれてますけど、海外に行けなくなってからの国内旅行の強化はどういう形で、今までGo To トラベルを含めて取り組んでいらっしゃったか教えてください。

(中森)Go To トラベルがスタートした時は売り上げが60億とかになってましたので。海外がほとんどの会社でしたけど、国内旅行の企画を強化することによって、随分とお客さんに支持されるようになったという風に考えております。

(澤田)国内旅行のHISって呼んでいただいてもそろそろいいかなと思ってます。

ーグループ全体でGo To トラベルの給付を受けた額はどれくらいあるか。

昨年実施されたものに関して、HISグループトータルではおよそ70億円の給付を受けたというところが実績値となっております。

ー対象期間は昨年の7月に開始され、年始に止まるまでの取り扱いということか。

7月〜12月の支給分で、70億のうちおよそ60億円近くが、HIS本体で取扱わせていただいた額になりますので、ほぼあのHIS単体での実績ということになります。

ーGo To(トラベル)をこれからも扱えるかどうかっていうのは本社で決めることはないという発言があった。当然今回関与していないという立場でGo To(トラベル)を今後もHISグループでやっていきたいということか。

(中森)そうです。関与してませんので、希望としましては親会社であるHISはあの観光業界のためにも参加させていただきたいと考えております。

(織田)親会社が関与してませんけども、我々の監督不行届、ここに関しては重く受け止めております。個別の法人だったとはいえ、連結子会社でございますので、こちらの方を管理監督する姿勢に対して、私も含めて役員一同、反省をしておりますので、親会社の指示ですとか隠蔽ですとか決してございません。知れなかった事象ではあるんですけども、これを未然に防ぐことができなかった、このことに対する反省、責任というのは感じております。

ー報告の中に、調査の限界として、時間的な制約の中で行われたっていう点が挙げられている。特にJPHに関しては疑問点が多いと思うが、さらに踏み込んで社内的に調査される予定があるか。

(織田)先程の調査委員会の報告でもありましたかと思いますが、今の体制ではですね、一定の事実があぶり出されたされたかなと思っております。従いまして、発表した事実の誤りとか、新しい事実が出てくるとか、そういうようなことがあれば続けるべきだと思いますが、これ以上、特に外に出回ってるお金の流れとか、そういったようなものは我々あるいは言い方変えますと、民間の手段では限界があると思いますので、その辺の判断もいるのかなとは思っております。

ー調査委員会の構成について、委員長の方が弁護士の方ということだと思うんですけど、メンバーに社内の方も含まれていて、客観性を疑う声っていうのもあり得るかと思うんですけども、選任のプロレスを含めて、客観性をどのように担保されていたとお考えか。

(織田)客観性、独立性にという観点では第三者委員会というところだと思うんですが、10月決算真っ最中でございましたし、この不祥事のですね、不適切な事案の迅速な解明、そして適時開示、そういったものをちょっと優先させていただきまして、こういう調査委員会というのを立ち上げさせていただいて、一定の結論を得たかなと。その得た結論も、かなりのところはあの分かったんじゃないのかなと。

ーメンバーの構成に関してもその時間的な制約があったっていう認識ですね。

(織田)そうですね、発覚から2社が独自でやってても手に負えなくなって、親会社に報告になって、我々も決算も、という勝負の中でですね。構成メンバーもお願いしたところでございます。当然、決算会計が途中でございますので、監査法人の指導とかもいただきながら独立性を確保したいなと思っておりました。

ーJPHの件について、取締役会でJHATさんとのその取引を隠し、報告しなかった理由は、それをHISに報告すると、JHATと取引してるのかという風に言われてしまうので、それを避けたかったのではというお話があった。以前からJHATさんとの取引はするな、というようなお話をしていたということですか。

(織田)はい、そうです。するなっていう、禁止ですということではないんですけど、いわゆるビジネスライクにやる、いわゆる部屋が取れないとか料金が安いですとか、弊社にとって有利なものがある時はそれをやっていきましょう。ただ、我々ホテルは他にグループ持ってますね。中で。そっちを優先しましょうね。というようなことが常に言ってましたので、そういったことが気にしてるのかなという風には理解している。

ー今回の事案は、海外旅行や訪日専業会社がかつてないほどの経営危機に晒されてるとそういうことが背景にはあると思う。欧米やアジアと比べると、かなりその海外旅行が再開されたり色々動いてると思うが、日本の場合はオミクロン株のことあり、なかなか海外旅行再開の目処も立っていない現状ある。今後の海外の見通しとHISはどのようなプロモーション展開をしていくか。

(澤田)海外旅行は当面難しいんじゃないかと見てます。まあ早かったら来年3月、遅くて夏くらいまでかかるんじゃないかと。我々が要望したいのがですね。今行って帰ってきて2週間の隔離、これはきついですので、2週間じゃあ行く人がほとんどいませんので、これをぜひ我々と意見というか、声をあげてですね、ワクチンを2回打って陰性証明のある人は帰ってからの隔離を3日にしていただくと、3日になれば出る方が随分増えると思いますから、そして徐々にやっぱり海外を再開をしていっていただきたいと。ヨーロッパでは徐々に始まっておりますけども、そういう形で少しでも海外が増えれば我々としてはありがたいかなと思っております。

ー処分とかじゃあどうするのかという話の中で、今のところは決めてないけれども、状況次第ではっていう状況次第っていう言葉を使われてたんですが、それはどういう状況なのか。今の感じだと、これでもう最終なのかっていう感じではなかったかと思うんです。今回の調査結果を受けて、更にっていうような話もちょっとあったかと思うんですけども、宙ぶらりんのような気がしたので、いつその処分するしないとか。すっきりするのがいつなのかなっていうところは気になった。

(澤田)もちろん当たり前ですけど、ミキトラベルの社長は解任すると、新しい社長をHISからを送り込むということ。うちの役員の中でも、関与というよりも、管理監督にしてきた役員に関しては少し処分は年明けですけど、必要かなと言えば感じております。

ー海外専業、訪日専用の所は、今回のコロナに関しては本当に大変になったと思う。その中でこういう騒動があった時に、少し真水が必要だったんじゃないかっていうような一般の人の話もあったと思います。直接旅行会社に支援というのがあったらちょっと違ったんじゃないか。そのあたりの考え、何かあるようでしたらお聞かせていただければと思います。

(澤田)もちろんいただけないありがたいんですけど、まあそういうまあまり失礼な言い方ですけど、そういうのには頼らずにですね。自力でなんとか生き抜いて、そして今伸ばせる国内旅行、その他うちの新しいビジネスで伸ばしていって利益を分けて、それで生き抜いていきたいとは思っております。

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