昭和初期の木造技術伝える 花峯橋、土木遺産に

本年度の土木学会選奨土木遺産に認定された花峯橋

 日南市の堀川運河に架かる木造の花峯橋が、本年度の土木学会選奨土木遺産に認定された。建設から90年以上を経過して老朽化も進んでおり、同学会は「保存、活用の一助となることを期待する」としている。
 同学会は全国の研究者や土木建設業者などで構成。2000年から橋やトンネル、ダムなどの歴史的土木建造物の保存、活用を目的に全国で毎年20件程度(本年度は25件)を同遺産に認定している。
 花峯橋は1929(昭和4)年の建造で、長さ26.8メートル、幅5.6メートル。現存する貴重な木造方杖式の橋で、伝統的な木造技術とボルトや鋼板などの近代工法を併用している。当時の木造橋の建設技術を今に伝える点が高く評価された。
 17日に同市役所で認定書の贈呈式があり、同遺産委員を務める第一工科大(鹿児島県)の本田泰寛准教授(土木史)が、高橋透市長に認定書と銘板を手渡した。高橋市長は「花峯橋は日南の宝の一つ。後世につないでいくきっかけをいただいた」と述べた。
 橋は2004年に国登録有形文化財となったが、老朽化により現在は通行止めとなり、崩落の危険性も指摘される。本田准教授は「認定を機に価値を再認識していただき、対策を取る追い風になれば」と話した。
 本県の同遺産は五ケ瀬川畳堤(延岡市)や上椎葉ダム(椎葉村)などが認定されており、今回で計8件となった。

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