鳥獣被害予防アプリを開発 出没地を表示、警告音でお知らせ 五島市

出没情報を示して警戒を呼び掛けるアプリ「けものおと」の画面

 長崎県五島市は、シカやイノシシなど鳥獣の出没情報を収集し、出没地に近づくと警告音で知らせる市民・観光客向けの鳥獣被害予防アプリ「けものおと」を開発した。情報通信技術(ICT)を活用した鳥獣被害対策事業の一環。来年1月から試験運用を始め、同4月から本格運用する予定。同市によると、同様のアプリ開発は国内で初めて。
 アプリは、住民の協力者がシカやイノシシを目撃した場所、日時などを投稿し、利用者がスマートフォンにダウンロードして各情報が蓄積されたリストや地図で状況を確認する仕組み。
 さらに「けもの予報」として、スマホの位置情報を基に、出没地周辺を通過すると警告音が鳴る機能を搭載。自動車で走行中に速度を落として未然に事故を防いだり、危険を避けて散歩したりすることができる。警告音が鳴る範囲は、出没地の半径300メートルから10キロまで6段階に設定が可能。警告音はシカの鳴き声など3種類から選ぶ。
 市広報誌の1月号に、アプリにアクセスできるQRコードを掲載している。
 市の地域おこし協力隊で有害鳥獣対策に取り組む野澤努さん(54)によると、市内では、地元住民の自家用車や観光客のレンタカーがシカなどと衝突する事故が報告されている。野澤さんは「獣害対策への関心を高めることにもつながる。五島モデルとして全国に広がれば、例えばヒグマの出没情報など応用も可能になる」と話した。
 市内の捕獲従事者向けの同様のアプリは先行して導入。捕獲情報を従事者同士で共有するなどしており、捕獲隊の一人近藤秀二さん(43)=木場町=は「効率が上がる」と語る。同市では10月、ICTを活用し、より広範囲の捕獲通知が届く機材「ほかパト」の運用も始めており、アプリと連動させてさらなる効率化を図る。

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