正月の食卓を彩るカニの値段が高騰している。栃木県内のスーパーでは昨年比で5割近く値上がりした商品もあり、売り場担当者も「ここまでの高値は初めてだ」と衝撃を受けている。高値の要因は主要な産地が禁漁となり、供給量が世界的に減少していることだ。カニだけでなく、イクラなどの正月食材も不漁の影響を受けて高値が続いており、この年末年始は一層物入りになりそうだ。
「例年にない高値だ」
県内に計30店舗を展開するスーパー「オータニ」(宇都宮市)の担当者は驚きを隠せない。価格を昨年比で3割ほど値上げせざるを得ない上、「商品を集めるだけで手いっぱいだ」と打ち明けた。
21日午前、宇都宮市簗瀬町のスーパー「新鮮食材キャッシュ&キャリー昭和簗瀬支店」。海産物コーナーの一角には「お正月用」との店内広告と共に、タラバガニ、ズワイガニが並び、正月の準備に訪れた買い物客でにぎわっていた。
価格は数千~1万円台とさまざまだが、店によると昨年より3~5割ほど高いという。鹿沼市内から夫婦で訪れた会社員川村玄(かわむらげん)さん(52)は「今年は高いね。縁起物だから買わないことはないけれど、まず値段を見てしまう」。売り場をのぞき込み、品定めにいそしんでいた。
宇都宮中央卸売市場の水産物卸売会社「宮市宇都宮魚市場」などによると、高値は世界的に主要な産地のアラスカでの禁漁によって供給量が減少した影響が大きい。9月ごろに禁漁が決まって以降、ロシア産など別の主要産地のものを買いに走る動きも世界的に加速し、価格が高騰しているという。
正月食材では、長期的な不漁や需要拡大の影響を受け、イクラ、タコ、エビなどの高値が続いている。担当者は「年が明けても(高値は)しばらく続くだろう」と推測した。